きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.11.21 静岡県裾野市・五竜の滝




2008.12.26(金)


 特に外出予定のない日。今日も一日いただいた本を拝読して過ごしました。




志賀英夫氏編著『戦後詩誌の系譜』
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2008.12.22 大阪府箕面市 詩画工房刊 4000円+税

<目次>
着手に当たって   8
昭和二十年の詩誌 「鵬」(八幡)他二二誌     戦後という空間で生きた詩人の群像 10
昭和二十一年の詩誌「野性」(札幌)他一四三誌   16
昭和二十二年の詩誌「七人」(仙台)一五二誌    初期戦後詩誌の特殊性 40
昭和二十三年の詩誌「龍」(足利)他一〇〇誌    戦後民主化と勤労詩の役割 60
昭和二十四年の詩誌「聖家族」(東京)他一〇〇誌  詩学の興隆と国際化 82
昭和二十五年の詩誌「山脈」(横須賀)他一二四誌  戦後日本とアメリカ文化 100
昭和二十六年の詩誌「橡」(石川)他三一〇誌    戦後精神の解体と対日講和 122
昭和二十七年の詩誌「東海作家」(静岡)他一〇八誌 対日講和条約の背景 144
昭和二十八年の詩誌「再現」(神戸)他一二七誌   戦後詩人の台頭と日本 162
昭和二十九年の詩誌「赤土」(広島)他一〇二誌   祖父の書庫と米軍基地 184
昭和三十年の詩誌 「繭」(高知)他三一一誌    戦後詩十年の総括 200
昭和三十一年の詩誌「ALMEE」(福岡)他八七誌 戦後の終焉、戦後詩の総括 220
昭和三十二年の詩誌「城」(小樽)他七四誌     力道山の戦後 236
昭和三十三年の詩誌「極」(秋田)他六二誌     貸本文化と安保改定 250
昭和三十四年の詩誌「現代詩批評」(東京)他五九誌 安保と三池争議 262
昭和三十五年の詩誌「京浜文学」(川崎)他三九誌  子供たちの日本野球 274
昭和三十六年の詩誌「世界像」(足利)他四二誌   東西ベルリンの壁構築 284
昭和三十七年の詩誌「河童」(富山)他六五誌    経済の高度成長前期 292
昭和三十八年の詩誌「でいもん」(名古屋)他三九誌 経済大国日本への助走 304
昭和三十九年の詩誌「地下鉄」(京都)他五四誌   ベトナム戦争前後の詩界 312
昭和四十年の詩誌 「猿」(高知)他三七誌     ベトナムと反戦詩の系譜 322
昭和四十一年の詩誌「菱」(鳥取)他三四誌     文化大革命の恐怖 330
昭和四十二年の詩誌「詩と現実」(那覇)他五四誌  第三次中東戦争と戦後 338
昭和四十三年の詩誌「北海詩人」(滝川)他五二誌  公民権運動とキング牧師 348
昭和四十四年の詩誌「タンポポ」(秋田)他五八誌  全共闘運動の余波 358
昭和四十五年の詩誌「無番荘」(福島)他六五誌   ポスト戦後日本への助走 368
昭和四十六年の詩誌「青素」(東京)他四八誌    友よ 闘いの灯をもやせ 380
昭和四十七年の詩誌「青い階段」(横浜)六一誌   戦後の高度成長の終焉 388
昭和四十八年の詩誌「朱流」(名古屋)他四一誌   オイル・ショックと紙不足 398
昭和四十九年の詩誌「若葉頃」(大阪)他五六誌   七〇年代詩の光と影 406
昭和五十年の詩誌 「カオス」(徳島)他六八誌   戦後詩三十年と鮎川信夫 416
昭和五十一年の詩誌「道標」(岡山)他四五誌    荒川洋治『水駅』の衝撃 430
昭和五十二年の詩誌「ションガネー」(那覇)他六五誌 七〇年代詩と石原吉郎 442
昭和五十三年の詩誌「メタセコイヤ」(宮崎)他五〇誌 詩の専門家/大衆化の問題 456
昭和五十四年の詩誌「かるま」(函館)他五七誌   七〇年代詩総括 468
昭和五十五年の詩誌「詩季」(いわき)他四二誌   八〇年代詩始動 480
昭和五十六年の詩誌「黒衣」宇都宮)他五二誌    日本現代詩人会『資料・現代の詩』 490
昭和五十七年の詩誌「黄金時代」(東京)他四八誌  八〇年代詩所見 502
昭和五十八年の詩誌「はーめるん」(川崎)他五表  ラ・メール創刊 514
昭和五十九年の詩誌「砺波野」(宮山)他四九誌   八〇年代の商業詩誌 526
昭和六十年の詩誌 「山繭」(美農加茂)他四八誌  詩誌「地球」創刊三十五周年 538
昭和六十一年の詩誌「反架亜」(大和高田)他四八誌 詩誌「柵」第二次復刊 550
昭和六十二年の詩誌「防虫ダンス」(岡山)他五六誌 戦後詩の解体と創造 560
昭和六十三年の詩誌「ハンガー」(松山)四四誌   昭和戦後詩の終焉 572
昭和六十四年の詩誌「天秤宮」(鹿児島〉五三誌   昭和戦後詩から平成へ 582
あとがき 616
索引 594〜614

時代背景(印象的な出会い)
相田 謙三 留置場に入れられる 15        泉沢 浩志 「モノローグ」のこと 15
平林 敏彦 田村隆一と再開 37          篠原 あや 公園のカマボコ兵舎 37
新川 和江 揺監時代 58             菊地 貞三 手造り喫茶小屋で 59
高橋 秀郎 安焼酎と詩話会 59          木村 利行 励みになった執筆要請 59
出海 渓也 「荒地」との座談会 80
.        乾   宏 デスクめぐり 81
小林 猛雄 三号雑誌 81             齋藤 庸一 印刷業を再開 81
久井  茂 「趣味の集まりなり」 99        内山登美子 雪の新潟に出かける 121
さやまりほ 「球根」から<詩研究>に 121      木島  始 一冊の連絡ノート 143
渡辺 正也 「サボテン」と「詩学研究会」 143
.   安水 稔和 私の同人誌 161
磯村 英樹 「駱駝」から「らくだ」 161
.      大河内 巌 二十歳で「琢磨」発行 161
筧  槇二 わが青春訓 183
.           岡 亮太郎 組詩「国鉄の人々」 183
朝比奈宣英 ムラサキのインキ 183
.        坂本 明子 闇紙を印刷所に運ぶ 218
原  子朗 革靴を質草に 219
.          丸木 明子 焼野が原だった御堂筋 219
和田 英子 ペンネームをやめる 219
.       伊藤 桂一 昭和三十年代のこと 234
宗   昇 さらば「荒地」 235          中原 道夫 はじめて詩誌発刊「棘」のこと 235
有馬  敲 とく伝え残しておきたいこと 249
.   鈴木  漠 詩誌『海』創刊の頃 249
比留間一成 ペンを持った武士たち 261
.      丸山 勝久 回想の昭和三十年代 261
鈴木  満 詩誌「白亜記」 271          大井 康暢 「岩礁」創刊のころ 272
黒羽 英二 「時間」同人の頃 272         西岡 光秋 北園克衛氏との、思い出 283
金子 秀天 元気な頃の文学仲間 302
.       原子  修 詩誌「核」を根城に 303
立川 千年 はるばると遠うし 303
.        石原  武 儚く消えた文芸誌『感覚』の記憶 328
三井 葉子 詩誌『日本伝統派』のころ 329
.    亀谷 健樹.北方の修羅.329
高艮留美子
.『蛸』のこと 337           東  延江 詩誌「情緒」と旭川 337
倉橋 健一 昭和40年代追懐 346
.         望月 苑巳 「幽血」と菊池千里のこと 347
前田 孝一 昭和四十年代の回顧 347
.       井奥 行参 現代詩オリンピック 379
小松 弘愛 「続ける」、そして「続ける」 379    葵生川 玲 詩的出発の時期に 415
川島  完 一地方詩誌の視点から 429
.      菊田  守 私の創刊した「砂」と関わった詩誌「風」 429
高階 杞一 パンゲアからの出発 441
.       富長 覚梁 「撃竹」創刊の機縁 441
埋田 昇二 地方にあって−「鹿」発刊雑感 455   曽根 ヨシ 詩誌「裳」創刊の頃と百号記念号 455
一色 真理 「異神」から「黄金時代」へ 467    西  一知 季刊同人詩誌「舟」のあり方 467
岡崎  鈍 詩誌「木立ち」(一次)のことなど 489 島田 陽子 同人誌活動とは 501
高田 太郎
.『風』の同人になって 512       暮尾  淳 「コスモス」の許容の限界 512
禿  慶子 詩の再出発の頃 512
.         松尾 静明 昭和五十年代のころ 537
原田 勇男 「ありうむ」とその時代 537      樫村  高 「WHO'S」について 549
岡崎  葉 草創期の『花のゆくえ』
.549      杉谷 昭人 宮崎の片隅で 559




 あとがき

 『戦後詩誌の系譜』を月刊詩誌「柵」の誌上で掲載を開始したのは平成十五年の秋、私が喜寿を迎えた年である。
 『戦前の詩誌・半世紀の年譜』は、その前年の一月の刊行で、これは平成八年から十年にかけて、約二年間「柵」誌上で連載した資料を纏めたものである。この資料の元になったのは、神戸・淡路大震災で倒壊した芦屋の吉沢独陽氏の書庫から、埃まみれになった蔵書を掘り起こされたご子息から頂いて、多くの戦前の詩誌があるのに着目、これを役立てるのに血潮が騒いだことを思い出す。

 「誰かがやらねばならぬことだ」。これは大正十四年に発行された詩誌「抒情詩」の編集後記に記された編集者・内藤銀策氏の言葉である。大正初期から「抒情詩」を発行され、近代詩発祥から大正時代にかけての詩誌を一堂に纏めることを思い付いたが、断念せざるを得ないと述懐している。恐らく関東大震災で資料を焼失されたのであろう。内藤氏は、高村光太郎、智恵子が結婚した昭和三年に、詩集『道程』の上梓を薦めた編集者である。

 『戦後詩誌の系譜』に収録した約三千点の詩誌の半数は、北海道・美幌在住の井谷英世氏所蔵のものである。着手に先立って美幌を訪ね、ご夫妻とお会いし、資料提供のご快諾を頂いた。そして摩周湖の湖畔にあるホテルまで送って頂いたが、美幌峠を越える道端で戯れる北狐のあどけない姿が忘れられない。
 中村不二夫氏には全面的なご協力により、約四年間の連載をお願いできた。また、古書店から入手されたかなりの数の詩誌を提供頂いた。
 最後に、詩誌を提供頂いた延べ二百人の各位から、約三百点の資料提供を頂いた。また、険しい戦後の道を歩まれて詩界に貢献された約七十諸氏から、印象的な記憶の文を戴いた。感謝し、厚く御礼申し上げます。

 平成二十年十月    志賀英夫




りょう城氏詩集『はるつぼ』
現代詩の新鋭5
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2008.11.11 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊
1800円+税

<目次>

はるつぼ      8         待ち針      10
ラー麺       13         拙朕       16
にほん足      17         うれしい言葉   20
洗濯物       23         体        26
金縛り       28         鼓動       30
洞腑        32         やぎそば     35
かでな基地     38         平日       40
やみを愛する    42
**
ひとつ       46         雪        50
プラネタリウム   53         乱視       56
ふわふわちょうちょ 58         ふすまのうた   60
おぉろら      62         耳茸       64
***
俗浴        68         こころこし    70
赤色の脳みそ    73         うつむきが原   74
駄目        76         濡れ衣      80
とやまブラック   81         眼線       86
虚速        88         みかん      90
後ろむきバンザイ  92




 
はるつぼ

それは内臓のできごと
気もちがふさいで
どんどん発酵して
匂いたつ
春のおまつり

つぼの中
春のるつぼ
鼻うたのもとを辿れば
内臓が膨れている

内包して
内包して
春を繰り返すたびに
内包する

春のかぜに
両手ぶらり
内臓のおまつり

 第1詩集です。ご出版おめでとうございます。ここではタイトルポエムを紹介してみましたが、〈はるつぼ〉とは著者の造語で、〈春のるつぼ〉から採っていると思ってよいでしょう。不思議な感覚の言葉です。それが〈内臓のおまつり〉だという視線も新鮮です。しかし、その視線は〈春を繰り返すたびに/内包する〉というように内部にも向けられていて、なかなか一筋縄ではいかないなと感じさせます。今後のご活躍に期待しています。




季刊詩誌『竜骨』71号
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2008.12.25 さいたま市桜区
高橋次夫氏方・竜骨の会発行 600円

<目次>
〈作品〉
武蔵野 梅雨寒     篠崎道子 4     冬ざれの野      上田由美子 6
そらのジュース     対馬正子 8     どこにもない場所    横田恵津 10
守宮
(やもり).       木暮克彦 12     森の囁き        今川 洋 14
「いのち」列
(なら).   森  清 16     神のみこころ      松崎 粲 18
犬も歩けば       高野保治 20     かざぐるま       庭野富吉 22
海がきれいだったころ  河越潤子 24     ただ一度の抱きしめでも 島崎文緒 26
箒づかい        松本建彦 28     茶碗と箸        友枝 力 30
押し間違え      内藤喜美子 32     息子へ        長津功三良 34
丸太ん棒        高橋次夫 36
羅針儀
一葉の栞       上田由美子 38     本所・深川、隅田川(四) 高野保治 39
書窓
澁谷直人著『大江満雄論』木暮克彦 44     南川隆雄随想集『他感作用』
海嘯 自省       高橋次夫 1         (たかんさよう)松本建彦 45
編集後記             46     題字 野島祥亭



   
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