きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.4.18 東京国立博物館・平成館 |
2009.5.11(月)
午後から日本ペンクラブの電子文藝館委員会が開かれました。今回は2008年度最後の委員会で、形の上ではこれをもって全員が解任となります。実際にはほとんどの委員が再任されますけどね。正式には5月25日の総会で承認された委員長が、新たな委員を選任します。
最後の委員会では掲載作品が814点となったことなどが報告され、来年度からのHPの改善点などを話し合いました。
写真は日本ペンクラブ会館の全景です。楕円形の4階建ての、建築史にも遺るようなビルだそうです。鳥居とワゴン車は隣の敷地で、関係がありません。
委員会の中で、ペン会館の全景ってなかなか撮れない、という話があって、それじゃあ帰りに試してみましょう、となりました。私の携帯では上の写真のようになって、確かに撮りづらいです。ちょっと大きめの口径のレンズでは無理かもしれませんね。
と、皆なで写真を撮りながら懇親会へ。こちらも四方山話に花を咲かせて、楽しく過ごしました。
○上田由美子氏詩集『八月の夕凪』 |
2009.5.30 東京都板橋区 コールサック社刊 2000円+税 |
<目次>
T
八月の夕凪 10 赤いパラソル 14 行列 18
炎の風車(かざぐるま) 22 赤い群れ 26 石畳 30
靴をぬぐ 34 原爆ドーム 38 広島の川 42
過去からの声 46 奇蹟の友 50 遠ざかっていく友 54
刻印 58 その日の空 62 その時 海は 66
宿命の桜 72 ヒロシマを詩(うた)う理由 76
言葉のかくれんぼ 80
U
分身 86 ガラスの器 90 満ちてくるもの 94
月下の野仏 98 風媒花 102. 風景 106
黄色の追憶 110. ざくろ 114. 花野から 118
椿 122. 帰郷 126. 凍蝶(いてちょう) 130
時の向こう側 134. 母の涙 138. 薔薇のつぶやき 144
V
海軍兵学校 150
あとがき 156
八月の夕凪
広島の夏は
夕凪が街を覆う
一日に一回 夕暮れ時
風を一斉に止め
木々が葉音を止め
空気が微動だにしない
広島の夏は
街全体がこの時 静止する
晩景 色を伏せ
黙祷するかのように夕凪に従う
この時間
公園のブランコはゆれ始め
ベンチには夕陽に透けて人影が座る
水面から蒼い光が立ち上がり
岸辺に浮いていた小舟を音もなく
滑るように漕いでいく
橋の欄干から
土手の芝生から
花時計の香りの中から
この世を懐かしみながら
追憶の糸をほぐしながら
ほんのりとかすんだ暮色に抱かれて
被爆者たちの霊が
無常の苦界に一時を憩う
やがて風が
夕凪の終わりを告げはじめると
街は一斉に動き始める
誰も束の間の鎮魂を見た者はいない
広島の夏を語り継ぐことの苦しさに
ケロイドの刻印を隠しながら
己の影を引きずったまま
人生を終えようとしている年老いた人々
私は被爆者として道の最中にある
原爆ドームを正視出来ない呪縛にとらわれながら
八月の鐘を音もなく鳴らし続けるのだ
著者は広島生まれの広島在住。〈被爆者として道の最中にある〉詩人です。拙HPでは初めての紹介になりますが、ここではタイトルポエムであり、かつ巻頭詩の「八月の夕凪」を転載させていただきました。自然現象の〈夕凪〉と人々の〈黙祷〉、〈鎮魂〉とを重ね合わせた見事な作品だと思います。さらに〈被爆者たちの霊が/無常の苦界に一時を憩う〉時間とも捉え、広島の過去、現在、そして未来へと繋ぐ時間のベルトを想起させました。心して読まなければいけない詩集です。
なお、〈祷〉は示偏に壽の本字ですが、表現できないので略字としてあります。ご了承ください。
○詩誌『詩区 かつしか』118号 |
2009.5.20 東京都葛飾区 池澤秀和氏連絡先 非売品 |
<目次>
メッセージ/しま・ようこ 屋上から/みゆき杏子
金縛り/工藤憲治 表と裏/工藤憲治
ボクのオバチャン/内藤セツコ スオウの花 菅原克己さんに−/石川逸子
変奏/池澤京子 斜光/池澤秀和
咲いた/堀越睦子 埃りをかぶった『ジャン・クリストフ』/青山晴江
人間117
どこへ行くのか/まつだひでお 人間118
生きるのがつらい/まつだひでお
家族/小川哲史 帰宅/小川哲史
ノクターン/小林徳明 お人好し/小林徳明
○詩誌『墓地』65号 |
2009.5.8 茨城県古河市 山本十四尾氏発行 500円 |
<目次>
赤い風船――アルベール・ラモリス讃/大掛史子
探された人/石下典子
もどかしい言葉/岩崎和子
空木(うつぎ)考/山本十四尾
雑記(山本十四尾)