きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.4.18 東京国立博物館・平成館




2009.5.26(火)


 2週間前に知人から依頼された本の原稿は2点ありました。いずれも太平洋戦争末期の満州(現・中国東北部)を舞台にした小説で、ソ連参戦から逃れる若い母娘を描いた「見捨てられた人々」と、ソ満国境からの脱走兵を扱った「逃亡」です。分量は、前者が後者の約半分。分量からいけば後者が総合タイトルとなるのでしょうが、前者としました。「逃亡」ではそのものズバリで面白みがありませんし、このような小説のタイトルとしては多く使われています。吉村昭さんの有名な『逃亡』もありますしね。
 ちなみにネットで検索すると「見捨てられた人々」は11万件、「逃亡」は71万件で、前者の方が稀少とも考えられます。

 今日は著者による略歴とあとがきを電子化して完成させました。手書き原稿ですから、読み難い字があったり、誤用があったりして、電話で確認を取りました。これで電子化すべきものは全部完成させたことになります。これからレイアウトに入るわけですけど、まだテキストだけなのでワープロソフトで進めなければなりません。拙宅のワープロソフトはMS-Wordと一太郎のみ。当然、一太郎で作ります。最新のWordがどうなっているか知りませんが、日本語処理は、やはり一太郎の方が優れています。特にWordのルビ処理は目も当てられませんからね。マイクロソフトさん、なんとかしてくださいよ!
 というわけで、明日からは楽しい本作りが本格化します。




横倉れい氏詩集『詩人の樹』
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2009.4.4 千葉県山武郡大網白里町 ノア出版刊
2500円+税

<目次> 表紙画 安元亮祐
閉じ込められた時間
閉じ込められた時間 10             生きている 14
正当な理由 22                 階段が左手に…… 26
ある日 30                   へび 42
白蟻記 44                   狩人蜂 46
−つんぼの家ではほどこしがない−
ロダンのブロンズ 52              −つんぼの家ではほどこしがない− 56
つまみ絵のにわとり 60             「生命の水くみ」 66
ニュース 68                  花瓶のばら 74
感情移入
ゆかず後家の感傷的回想 80           すっぽりと暖かいものに…… 86
感情移入 90                  ロンサールのひそみにならいて 94
革袋 96                    思い出せぬ場所 100
初冬 104
.                   透明な道 108
透明な問答 110
.                山道のひそかな愉しみ 112
時の仕掛人 114
.                シャッター・チャンス 116
静かにほほえむヤヌス
秘かな愉しみ 120
.               みずみずしいことがとりえの 122
蝶の季節は憂鬱 126
.              記憶 130
静かにほほえむヤヌス 134
.           とうとう 136
或る日突然 140
.                火星が地球に挨拶にきた年 144




 
静かにほほえむヤヌス

細かく刻んだおせちを
盛りあわせながら呟く
あと何回 祝い膳を
作ってあげられるかしらね
淋しく悲しい予感
家族で介護というのは
絵にかいた餅だと
思いしらされる医師の言葉
もういちど腰を痛めたら
あなたのほうが歩けなくなります
加齢の槌は容赦なく
いのちの足許をゆさぶり
生のよろこびと苦しさを縒りあわせる

 エッセイや翻訳の本は多い著者ですが、詩集としては30年ぶりの第3詩集だそうです。紹介した作品について、あとがきで次のように述べています。
 <「静かにほほえむヤヌス」のヤヌスについて。ヤヌスは「双面神」ともいい、古代ローマの神で、頭の前と後に顔を持っており、事の初めと終りを司どり、門や入口の守護神。英語のジャニュアリの語源。旧年と新年両方に面しているから、一月を双面神ヤヌスの月ともいうとの事です。あとがきに一つ解説を入れました。私はこのヤヌスの響きがとても好きです。>
 従って、ここでの〈祝い膳〉は正月のことだと分かります。さらに「双面神」は〈生のよろこびと苦しさを縒りあわせる〉〈家族〉をも見ていると採れましょう。本詩集の中では最も短い詩ですが、ヤヌスに絡めて〈家族で介護というのは/絵にかいた餅〉だという現実を突きつけた佳品だと思いました。




万里小路譲氏詩集『マルティバース』
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2009.6.6 山形県上山市 書肆犀刊 2000円

<目次>
T章
薫風の海 6       五月の公園 8      薫風の五月に 12
トイレの窓際 14     緑の森の恋人たち 16   河馬と私 22
空に浮かんでいる雲たちへ 25            愛しのタイタニック 28
休息の必要 32      紅葉狩の恋人たち 34   落日 36
午前三時 38       風の歌 40        朝焼け 43
旅の途中 46       生と死のメルヘン 48   マルティバース 50
世紀末の鴨たち 54    大晦日 56        新千年紀元旦に 58
U章
FALL 62       二月の恋人たち 64    初春の掛け算 66
雨の塔 68        罠 70          世代 74
秋の夕暮れ 76      百年の人生 79      三日月 82
逢ひびき 85       恋 89          晩秋 92
五月そして六月の風 94
V章
晩秋抄 100
.       交響詩 105.       風の記憶 121
初冬抄 126
W章
額縁の春 132
.      五月の鯉 134.      太陽 136
進路選択 140
.      夏の終わり 142.     初秋 146
EVENING GLOW 148
.           日だまりの窓辺で 150
秋の日の散策 153
.    夕焼け 156.       戦場から 158
夢の惑星 162
.      転生と邂逅 165.     初冬の曇り空の下 168
墓碑名 170
.       TODAY 172.     NOW 174
休眠打破 176
あとがき 178
.      初出一覧 180.      引用文献一覧 184




季刊個人詩誌『ぽとり』14号
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2009.5.30 和歌山県岩出市
きのかわ文芸社・武西良和氏発行 非売品

<目次>
14号特集=歩く=について 1
詩作品
黒猫 2        歯科検診 3      少年選手 4
草刈り 5       いもほり 6      トカラ山羊 7
ピアニスト 8     モノレール 9     雨上がり 10
蛾 11
ボトリの本棚・ベンヤミンを読む(5) 12
エッセイ 15






   
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