きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.4.18 東京国立博物館・平成館




2009.5.30(土)


 
今次さんの雨/村山精二

さざんか雨は12月
ざんざか雨は山田今次さん ※
〈ざんざか ざんざか〉
〈ぼくらの くらしを かこんで たたく〉

ぼくらの暮らしはコンクリートに囲まれて
雨の音さえ遠のいてしまいましたけれど
梅雨は今年もやってきました

バイウは黴雨
黴には気をつけましょう
バイウは倍雨
倍の雨が降るからでしょうが
でも これは嘘
梅の実が熟す頃の雨 が
たぶん正しい

裏の畑に眼をやると
野菜たちが濡れています
ざんざか打たれて濡れそぼっています
明日はきっと晴れ
梅雨の
合間の陽を受けて
耀く姿が見られます

今次さん
天国でも雨はたたいていますか
お酒をざんざか呑んでいますか
野毛の居酒屋であなたが朗読した「あめ」を
想い出しながら
60年前の雨音を聴いています

※ 横浜の詩人(1912〜1998)
  引用の詩は「あめ」(1948年発表)

 地元の日刊紙『神静民報』に求められて、こんな詩を作りました。6月中旬ごろに載せるようですから、そのときはたぶん梅雨の真っ最中でしょう。それに合わせた詩を、と考えていて、すぐに浮かんだのが山田今次さんの「あめ」です。教科書にも載っていたそうですから、ご存知の方も多いかもしれません。亡くなる直前まで親しくさせていただきました。私の理想の詩人です。
 載せられた日が雨なら問題ありませんが、晴れたらどうしょう…。それで〈明日はきっと晴れ〉と入れておきました(^^; これでどっちになっても通用するだろうという姑息な手段です。詩としては最後の〈60年前の雨音を聴いています〉だけが詩になっているかどうかですね。詩人ではない、一般の読者を想定した詩は、やはり難しいです。




季刊詩誌GAIA28号
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2009.6.1 大阪府豊中市
上杉輝子氏方・ガイア発行所 500円

<目次>
桜の道         横田 英子 4     リイーゼンの桜     小沼さよ子 6
こわい ゆめ      前田かつみ 8     鐘が やまぬ      前田かつみ 9
猫の食事        立川喜美子 10     ガッツポーズ      猫西 一也 12
桜島          海野清司郎 14     冬を交響させる     平野 裕子 16
雨戸          国広 博子 18     集積          中西  衛 20
春           中西  衛 21     またね         竹添 敦子 22
風解          上杉 輝子 24     潮解          上杉 輝子 25
バイオリンコンチェルト 熊畑  学 26     旅           熊畑  学 27
少女の声        水谷なりこ 28
同人住所録             30     後記          水谷なりこ 31




二人誌『すぴんくす』8号
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2009.5.30 川崎市麻生区 佐伯多美子氏他発行
非売品

<目次>
寄稿 雨あがり 瀬崎祐…2
《瞬く国の物語》 海埜今日子…6
エッセイ 明日になれば、また白い墓の太陽が――『Pirosmani』 海埜今日子…9
蓑薫憂目の民、そしてヤヌスの均衡。−佐伯多美子『睡眠の軌跡』海埜今日子…10
まだ、始まっていない 佐伯多美子…12
Bastet's Room






   
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