きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
090516.JPG
2009.5.16 新潟・大棟山美術博物館(坂口安吾記念館)




2009.6.8(月)


 特に予定のない日。いただいた本を拝読して過ごしました。




すみくらまりこ氏詩集『夢紡ぐ女(ひと)
yume tsugumu hito.JPG
2009.5.20 大阪市北区 竹林館刊 1500円+税

<目次>
プロローグ Prologue  二日月
(クレセント) 11   夕闇 13
星まつり 17      夜露 19        影絵
(シルエット) 21
仮面の恋
(こひ) 23    女神の恋(こひ) 25    稲妻 27
(はな)の影(かげ) 29  水脈(みを) 31      炎(ほむら) 33
五月雨
(さみだれ) 37   心化粧(こころげしょう) 30  埋火(うずみび) 41
不協和音 43      石筍
(せきじゅん) 45    (まゆ)ごもり 47
白波 49        蜻蛉
(かげろふ) 51    七色(プリズム)の露 53
星の砂 57       夜風 59        海図 61
笹しぐれ 63      花映
(はなば)え 65    月夜(つきよ) 67
夢 69         蛍籠 71        青い麦 73
(オーキッド) 77     歌留多の恋(こひ) 79   愛の舟 81
初秋
(はつあき) 83.    落葉 85        命の影 87
白梅 89        銀芒
(ぎんすすき) 91.   出町柳 93
手巾
(ハンカチ) 97    心友(とも) 99.      春の雨 101
花蜜 103
.       京紫(むらさき) 105    こころの虹 107
心の翳
(かげ) 109    天女の涙 111      雪の夜 113
初恋
(はつこひ) 117.   せせらぎ 119      荒神橋 121
白い竜 123
.      駅舎 125.       感光(やけど) 127
爪紅
(つめべに)(鳳仙花) 129           遊戯(たわむれ) 131
山彦
(こだま) 133
エピローグ Epilogue  初霜 137
.       浪漫(ロマン) 139
あとがき 141




 (帯文より)

 五行で綴る愛の物語詩 全詩英語対訳

 すみくらまりこということばの蝶は金色の光を曳きながら闇の空を舞う。
 昇りゆく情念 落ちてゆく悲哀・・・ あるときは激しく あるときは妖しく
 投影される幻燈のスクリーンはあなたの心である。




詩誌『万河』創刊号
banga 1.JPG
2009.6.1 沖縄県名護市 網谷厚子氏発行 非売品

<目次>
夕凪(ゆふど)れの海、流離の果てに、/下司雅士 2
三日月/根路銘葉月 4
木 仕業 序章・プレリュード/スターフィールド 6
ま幸
(さき)くあらば/網谷厚子
詩的言語論−助詞の〈て〉の働きを中心に/網谷厚子
鑑賞(第一回) 北原白秋/網谷厚子
「万河・
Banga」創刊に寄せて/網谷厚子




 ま幸
(さき)くあらば/網谷厚子

生きながら死んでいる 死にながら生きている 境界
があわいものならば ま幸くあらば と仮定形で仮止
めされる命は あちら側から照らし出された 消え入
る影のようなもの 青くかすむ 大海原の向こう 蓬
莱 常世 遙か彼方が とてつもなく 近く感じられ
る 長い旅を終えて羽を洗う鳥 バシャバシャ 頭を
ぐるり回して 嘴で羽をふんわり整える まっすぐ前
を見て 細い足を掻きながら水面を滑っていく 何万
キロメートルもの旅 人が辿り着けない距離を 一ま
たぎして 小さな身体に弾ける命 決して長くは生き
られないだろうに 長い短いは 人が決めたもの 永
遠も 一瞬も 何を悲しむことがあろう ことわりが
少しも通らないのに ことわりだらけの世の中 理不
尽がことわりとなる 理不尽 声を荒げて ことわり
の上段から 人をなじる人 顔が醜く歪んで それな
らば ことわりの権力は醜い 見えるはずのないもの
を見たと言い 見えるものだけを真実にして 大勢の
声の届かない 暗闇に身を隠し 朝日も夕陽も 見る
ことなく あたり前の人の暮らしを 思い出すことも
できなくなって もはや人ではなくなった人が 人を
裁いている 理不尽 つみびと と呼ばれることの痛
みを やわやわと受けとめて 髷を揺らし 仰ぎ見る
松の枝 柔らかい枝を くるり結ぶ 伸び出したばか
りのしなやかな背中 少年のつややかな輝きを 真っ
黒の瞳にとどめて 仮定形が 仮定形で終わったとし
ても その思いは 椎の葉に結んだ露のように 留ま
っているだろう あちら側に ただひたすら歩いてい
くだけの影 振り返ることなく 青々とした首筋を伸
ばし たった一人の旅に出かける

※「ま幸くあらば」(「幸い無事でいられたなら」の意)は『万葉集』巻二・一四一番の有馬皇子の歌「磐代の浜松が枝を引き結びま幸くあらばまたかへりみむ」を踏まえる。

 沖縄県に赴任中の発行者による、新しい詩誌です。「創刊に寄せて」の冒頭では次のように述べられています。
<「万河」とは、大地を流れるたくさんの河のことである。大河もあれば、生まれ出たばかりの河もあるだろう。すべてのものは、ゆったりとあるいは激しく大地を流れ、天の有り様を映し出す。
 そんな風に、詩が流れていくことを願う。世の中に、ここにまた新しく同人誌の一つが、小さな産声を上げた。まだ、二十歳の学生もいれば、ジャズ・ヴオーカリストもいれば、研究者もいる。>
 ここでは発行者の作品を紹介してみました。〈長い旅を終えて羽を洗う鳥〉と〈もはや人ではなくなった人が 人を/裁いている〉現実との対比もおもしろいのですが、〈少年のつややかな輝き〉が出てきたことで、より深い作品となったように思います。
 今後のご発展を祈念しています。




隔月刊詩誌『叢生』162号
sosei 162.JPG
2009.6.1 大阪府豊中市
叢生詩社・島田陽子氏発行 400円

<目次>

明るい雲の 他       江口  節 1   チェンジ          木下 幸三 2
音言葉           佐山  啓 3   雀             島田 陽子 4
デイーバ          下村 和子 5   風             曽我部昭美 6
ボピーの花畑で       藤谷恵一郎 7   薄味            福岡 公子 8
カラスや 他        麦  朝夫 9   コンクリの町 他      原  和子 10
そう厳としよう厳と相仕様厳 毛利真佐樹 12   薔薇よ           八ッロ生子 13
消息            山本  衞 14   小さな家族の小さな会話(四) 由良 恵介 15
花筏            吉川 朔子 16   運             竜崎富次郎 17
芳ばしきひと        秋野 光子 18   エッセイ 身辺雑記(2)   毛利真佐樹 20
本の時間 21  小 径 22  編集後記 23   同人住所録・例会案内 24
表紙・題字 前原孝治   絵 森本良成






   
前の頁  次の頁

   back(6月の部屋へ戻る)

   
home