きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
1999.8.22(日)
青山メトロ会館で「ポポを語る会(筧槇二著『おーい
ポポよ』出版記念)」を行いました。100名近い人に集まっていただき、盛会でした。
左が筧槇二さん、右はシャンソン歌手の平野レミさん。レミさんは料理愛好家としてもテレビなどに出演していますから、ご存知の方も多いでしょう。「料理研究家」ではなく「料理愛好家」だ、とはレミさんの弁です。あくまでも本業はシャンソン歌手だ、ということでしょうね。2曲ほど披露してくれました。
『おーい ポポよ』は、6/28の頁で詳しく紹介してありますが、筧さんの愛犬ポポの追悼記です。昨年3月に18歳という高齢で亡くなっています。しかし、それにしても100名の人たちが集まるとは! 世界一幸せな犬ですね。
○月刊詩誌『柵』153号
大阪府能勢町 詩画工房・志賀英夫氏発行
ふしぎな時計/成田武夫
束の間の黙思が訪れるのは
あの上下する小さい箱の中である
エレベーター
そこには見知らぬ数人が
何気なく立ったままで
お互に別々のことを考えている
乗り合わせた一瞬のとき
不意に訪れる不思議な沈黙
忙しい時間が静止して
人々は はっと己れの内部を差しのぞく
大切な秘密にふれるように
忘れがちなこころの奥を手探ってみる
この箱の上り下りで
天は偶然の出逢いを
人生の片隅にそっと用意している
人々は
ぱっと扉が開くと
また黙って別々の方向へ別れ散ってゆく
タイトルのつけ方がすばらしいと思いました。最初は「ふしぎな時間」と誤って読みました。しかし「ふしぎな時計」なんですね。エレベーターそのものを「時計」ととらえるとは! この感覚はさすがです。「時間」ととらえた自分の浅はかさを恥じます。
エレベーターの中というのは確かに不思議な場所です。見知らぬ者同士が一緒になって、例えば地震などで閉じ込められたらどうしょう、などと誰でも思ったことがあるはずです。妙齢の女性と一緒なら、まあ望むところですが(^^; あのムサイおやじさんとだけは勘弁してほしいなあ、などと思ったはずです。現実は私自身が「ムサイおやじ」になっていますが(^^;;
でも安心していられるのは最終連があるからですね。結局、ドアは開いて、みんな別々の方向に去っていく。いろいろ考えさせられたエレベーターは「ふしぎな時計」だったという訳です。おもしろい詩に出会いました。
○西岡光秋氏短編集『外野手ジョン』
1999.8.15 秋光文庫第8巻 1500円
月刊誌で「愛犬ジャーナル」という雑誌があります。愛犬家相手の雑誌で、私も何度か見たことがあります。そこに、実に28年に渡って書き続けた短編小説の単行本です。著者の西岡光秋さんは、元日本詩人クラブ会長で、現在も理事をなさっており、私もご一緒させてもらっています。
愛犬家の雑誌ですから、当然犬の話が主体です。そして犬を通しての人間観察となっていて、これがなかなかおもしろい。人間に近い犬の話ですから、人間を描くには好都合なんでしょうね。私も犬と一緒に生活していますから、あらゆる場面で共感しました。
特に巻頭の「暴走族狩り」や表題の「外野手ジョン」はお薦めの作品です。一度はやってみたい、暴走族を懲らしめる、ということをペソという名の犬がやっています。しかし、懲らしめた相手は……。
この続きはお読みになってから、ですね。お読みになりたい方はご一報ください。著者に無断ですが、仲介します。
pfg03405@nifty.ne.jp までメールを。
表紙の犬は「コン太」でした。6/26の頁でも紹介していますが、月に一度は行っている横浜・野毛「今福」の犬でした。今年の5月に亡くなっています。それにしてもコン太といい、ポポといい、いい飼い主に恵まれた犬は幸せ者です。うちの百個(モモコ)嬢はどうかなあ?
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