きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2006.6.11 京都・泉湧寺にて



2006.7.2(日)

 13時から小田急線伊勢原駅近くの割烹「こみや」で丹沢大山詩の会の集まりがあって、出かけてきました。10周年記念誌
『丹の山』第7集出版記念会です。どういうアンソロジーかはハイパーリンクを張っておきましたのでご参照ください。また、関連の10周年記念展も4月に行われており、これにもハイパーリンクを張っておきましたので合わせて見ていただければと思います。

 丹沢大山詩の会の関連イベントには3回ほど参加させてもらっていますが、今回は初めて膝を交えた形になりました。30名ほどの会員のうち約半数が出席、二次会までつき合わせていただいて、皆様をより身近に感じることができました。一次会で挨拶をしろと言われましたので、同人制でもなく主宰誌でもないゆるやかな結社でありながら総会があり機関誌があるという、一本筋が通った運営が10年という長きに渡る継続を可能にしたのではないかとお話させていただきましたが、それを実感した集まりでした。小学生から90歳のお年寄りまでが会員という、全国的にも珍しい会の秘密の一端は、このゆるやかさでしょうね。
 お酒が好きな方も多いようで、これも安心(^^; 焼酎「神之河」、地酒「菊勇・大山街道」と呑み続けて、ちょっと酩酊気味でしたけど、心地好いお酒でした。ありがとうございました。また寄らせてください。



早川綾香氏詩集『自然 風と心』
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2006.3.20 東京都千代田区 碧天舎刊 1000円+税

<目次>
まえがき
自然・風
春が来た 14         早春花模様 16
育つ 20           さくら 22
森と私 24          空(くう) 26
みそ汁 28          そうでしょ? 30
寝転んで 32         ある風景 34
山は生きている 36      初恋 38
赤とんぼ 40         歩く 42
知る 44           風と木の葉と私と 46
融解 48           冬が来た 50
雪国の唄 52         寒中 54
力  56           離さないで… 60
さあ これから 64      アホやんか 66
アリス 68          水は生きている 72
自然・心
出勤 80           朝  82
風に吹かれて 84       夜勤 88
輝く 90           入院 94
決められない 96       健忘 100
何故? 102
.         ある始まり 104
死ぬこと 108
.        サイボーグにはなりたくない 112
忘れたくない(老いの健忘)116
. これって変! 120
これって変 その2 126
.   思い出 130
いざ! 132
ある手紙
ある手紙 142
随筆「ひとりごと」
コーディネイト 146
.     きっと白鳥に 152
詩の心は人の心 156
あとがき 158



 アホやんか

あの人、普通じゃないのよ

普通やないて?
普通って何やねん
自分と同じやないからちゅうて普通やないって?
そんなの変やん
    おかしいのちゃうか
じゃぁ、言わしてもらいまっけど
あんた普通の人でっか?
  あんた平均的人間でっか?
あんた、平均の出し方って知ってはるよね
バラバラの数を全部足して
その合計をバラバラの数の分で割った数でっせ
平均値と同じ数
     いくつあると思いまんねん?
あんただって平均値と同じじゃないんやん
      顔だって
        体重だって
          学力だって、収入だって
みんな違ってあたりまえやんか
普通やのうてあたりまえやんか

あんた、アホやんか
     そないな事にも気ぃつかへんで

 前出の出版記念会で著者より頂戴いたしました。著者は看護師さんのようです。仕事と家庭と縦横無尽にご活躍の様子が詩集から見えますが、ここでは詩集の中ではちょっと異質な作品を紹介してみました。著者は現在神奈川県にお住まいですが、略歴によると岡山県出身、大阪で看護師資格をお取りになったようで、作品の関西弁はそれに由来していると思います。軽妙な中にも「平均値と同じ数/いくつあると思いまんねん?」と本質を突いた視点が光っている作品です。この詩人の基本的な姿勢が良く現れていると云えましょう。



個人紙『地球の詩』22号
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2006.6.22 神奈川県伊勢原市
岡本昌司氏発行 非売品

<目次>
詩 六月 湧水
今、街で−ダ・ヴィンチ・コード
時代の風−大学淘汰/朝食と学力/ああ負けちゃった
詩 南十字星を求めて
  わたしが一番きれいだったとき(茨木のり子)
記者の目−紫陽花



 紫陽花

紫陽花の美しい季節である。
紫陽花は、別名「七変化」とも言われる
その地質によって、花の色も変わる。
また、同じ所であっても、時間の経過によっても、色は微妙に変化するらしい。
まさに七変化であるが、どうも日本人はそれを、「変節」と受け止める向きもあるらしい。
「頑固一徹」もいいが、その環境に適応して、自分を変化させてゆくのも悪くはない。
 少子高齢化が顕著である。中高年が、めっきり増えた。石を投げれば、五〇、六〇代の頭に当たる確率は高い。
中高年の「頑固者」も多いらしい。
頑固というより、融通の効かない石頭。
 紫陽花のように、環境に適応して、美しく、自分を変化させてゆく。争いの絶えない砂漠地帯に、紫陽花を植えたどうか。七変化こそ平和共存の智慧である。

テキサスのガンマン、保安官。
「かかってこい」のお粗末大統領
郵政・靖国総理と国民のチルドレン化
中東の髭面の大統領
「ホロコーストは、存在しなかった」と。
テポドン発射、隣国のやくざの親分
危険な頑固者のオンパレードである
共通しているのは
単細胞で、思いだけは強いこと
権力を支配していること
民より自分の思いが先行する独断専行型
この手の頑固者が
戦争を始め、民を泣かせてきた歴史

だから、紫陽花・・・。
環境に適応しながら、自分を染め上げる
風に頭をふりながら笑顔を絶やさない
時代は、紫陽花である
ナンバーワンよりオンリーワンである
世界にたった一つの花
争わず、個性美を競い合う。

世界を紫陽花の花で埋めよう、六月の花!

 こちらも前出の出版記念会で頂戴しました。岡本さんは「丹沢大山詩の会」の代表でもあります。紹介した作品は「記者の目」として巻末に載せられていました。あとがきに相当するかもしれませんが、詩としても読めると思います。原文では18字で改行されていますが、ここでは一部ベタとしました。小さな画面の携帯電話で見た場合でも見やすいようにしてあります。
 「七変化」は「変節」でなく「平和共存の智慧である」とするところが新鮮です。「争わず、個性美を競い合う」世界にしたいものです。



詩誌『谷神』6号
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2006.7.15 千葉市稲毛区
楓舎・中村洋子氏発行 非売品

<目次>
うずまいて   肱岡督子 1
あいうえお        2
must be 〜   田中憲子 4
満月           6
天気雨     増田恭子 8
飛び散った鱗       9
はなびらこわい 中村洋子 10
玉川      松田治江 12
楓舎の窓    中村洋子 16
あとがき



 
must be 〜/田中憲子

長いあいだ
must be に
就縛されていました
縄目は食い込んで
血が滲んで膿んで
自由は陽炎
浮遊して掴まらない

must be
笑わなくては
いい家庭には笑顔が欠かせません
良妻のふりしてこころは寒く
賢母の猿真似に躓いて
must be
まっすぐに若竹を育てましょう
健やかな魂は
3歳までが勝負です
冷たい体
頑なな穀のなかのこころ
閉ざされた空間にはなにも見えません

must be
行き場のない
呪縛は輪廻を重ねます

さあ今日から
want to 踊る肉体
脳は柔らかに流れに沿ってダンシング
体は軽く
心は輪舞して
解き放たれて
自由は味方です

 確かに「長いあいだ/must be に/就縛されてい」たかもしれませんね。特に「いい家庭」や「3歳までが勝負」などは「呪縛」だったように思います。それを断ち切るのは「want to」。「must be」から「want to」への飛躍は何だろうと考えてしまいましたが、それは考える必要もない一瞬のことだとこの作品は言っているように思います。「頑なな穀のなかのこころ/閉ざされた空間」を打ち破るのはほんの半歩の行動、それを行間から読み取りました。




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