きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.6.30 東京・新宿 |
2006.8.29(火)
8月26日付けの地元紙「神靜民報」が郵送されて来ました。エッセイを求められていて、日本詩人クラブの詩書画展を紹介した「銀座出勤&ィ語」が載っていました、、、って、当り前ですけど(^^; 400字詰め原稿用紙換算で3枚半弱の小文です。機会のある方はお読みくださると嬉しいです。
○宮城松隆氏詩集『しずく』 |
2006.8.15 三重県鈴鹿市 編集工房アオキ刊 1500円 |
<目次>
断片(1)…4 断片(2)…6
断片(3)…8 しずく…11
海の変遷…13 極限悪…16
化身…20 気配…23
鞄…25 波紋…29
幽明…33 生きる…34
黒い馬…38 形骸…41
道…45 グルクンの目…47
風…51 夜…54
夜の悪意…56 深夜のベル…59
歩道…64 黙示…66
馬と少年…68 日中対訳詩 穀雨…71
日韓対訳詩 錯乱…75 あとがき…78
しずく
一枚の紙片が切断された
鋭利な言葉が折れた
夜を徘徊する言葉が空を裂く
もどることの不可能な地平で瞳が燃える
会話の糸で繕うことも
汚れた酒で泡を立てようとも
不安は乗数となる
あの晩僕は何を考えたのだか
禁断の夜道に迷い込んで
崩れた脳から黒い血を取り出していた
凌辱された睫毛にしずくがたまる
夜の細胞がもたらした体液
酒毒の中でもがいている
睫毛のしずくが亀裂を深める
星々の点滅が心臓をもぎ取った夜
幽体が星々の間を泳いでいた
破滅の ひとつの星との出会い
暗い瞳とその星は
流星のように瞬時に輝く
寡黙な夜
あの夜僕は何を考えていたのだか
禁断の夜道
破滅の星
天体のしずく
繕いが命運を狂わせる
第5詩集です。タイトルポエムを紹介してみました。第1連の「一枚の紙片が切断された/鋭利な言葉が折れた」というフレーズから魅了されています。例えば新聞紙を鋏で切ると「鋭利な言葉が」「切断され」ていきます。そのイメージの先鋭さに驚きました。続く「夜」のイメージも「あの晩」「あの夜」「僕は何を考えていたのだか」へと繋がって面白みを感じました。タイトルの「しずく」は「睫毛のしずく」から「天体のしずく」へと壮大に展開していきます。このスケールも魅力ですね。
詩集中の「鞄」「錯乱」は拙HPですでに紹介していました。「錯乱」は日韓対訳詩のうち日本語のみですがハイパーリンクを張っておきましたので合わせて鑑賞していただけばと思います。
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