きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
070208sarusuberi.JPG
百日紅(さるすべり)




2007.4.1(日)


 埼玉詩人会主催の「2007埼玉詩祭」に招待されて行ってきました。午後1時から「さいたま市民会館うらわ」にて。第13回埼玉詩人賞贈呈式と、新川和江さんの特別講演がメインです。その他に若い女性だけのトラッペット・クァルテットの演奏や歌唱、自作詩朗読があり、4時間を越えるボリュームでした。
 埼玉詩人賞は北畑光男さんの詩集
『死はふりつもるか』に。人と作品紹介は佐久間隆史さん。お二人とも以前、日本詩人クラブの作品研究会講師でしたので、よく存じ上げていますし、受賞も当然、紹介者も妥当と思いましたね。ちなみに受賞詩集は拙HPで紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたのでご参照ください。
 詩祭のテーマは「−詩の原点 いのちへの讃歌−」。新川さんの講演もそれに基づいたもので「詩の原点・・・わたくしの場合を語る」でした。新川さんの幼少の頃から西條八十に師事したくだり、現在までの文学活動をお話しなさって、これだけ網羅的に講演なさったのは珍しいかもしれません。詩作にはできるだけ長い時間と広大な空間を盛り込むことを意識した方が良い、というお話が印象的でした。ちょっと時間が足りなくて、ご本人も聴衆としても物足りないところがありましたけど、まあ、致し方ないかなと思います。

 自作詩朗読は圧巻でした。埼玉で発行している詩誌、10誌の代表が朗読するという趣向で、コンセプトがはっきりしていて気持良かったです。たまたまなのかもしれませんが、全員女性というのも華やかで詩祭≠轤オいと思いました。

070401.JPG

 写真はその女性陣の一部です。手に持っているのは朗読の御礼に主催側からプレゼントされたもの。その細やかな配慮には驚きました。日本詩人クラブのイベントなどでも参考にしたいと思いましたけど、私のガサツさでは無理かな。

 懇親会、二次会と時間はアッという間に過ぎてしまいました。帰りの小田急は新宿10時40分発の特急を押さえてありましたが、早く終わるようなら早めの予約に切り替えようと思っていました。しかし、そんな余裕はありませんでしたね。呑んで、たくさんの人とお話できて、楽しかったです。埼玉の皆さん、ありがとうございました。また呼んでくだされば嬉しいです。



詩誌『豆の木』3号
mame no ki 3.JPG
2007.4.1 埼玉県北葛飾郡栗橋町
石島俊江氏事務局 非売品

<目次>

電車に乗って/中村傳一 2         わたしは海を/村田寿子 4
明日も晴れますように/松下美恵子 6    三十槌の氷柱/塩田禎子 8
ディーゼル車/里見静江 10         背なか/石島俊江 12
狙撃兵/秋山公哉 14
ティールーム
ふたりの詩人/石島俊江 17         僕のプロ野球/中村傳一 18
鹿児島/松下美恵子 19           バランス/里見静江 20
手作り詩集/秋山公哉 21          波の音/村田寿子 22
古河を訪れて思うこと/塩田禎子 23
詩集評 秋山公哉詩集「河西回廊」/石島俊江 25
同人名簿 24
編集後記 26



 電車に乗って/中村傳一

幼かった頃は
いつも電車の一番前に乗った
ガラス越しに白い手袋した運転手が
レバーを廻して発車させたり
しゅっしゅっとブレーキをかけるのを
珍しく見ていた

前方で二本のレールが
これから わくわくする景色を見せると
誘っていた通り
すべての風景はぼくのために近づき
川や野原やきれいな町並みのお伽話に
吸い込まれた

中年を過ぎた頃
大きな川の鉄橋を渡っているとき
急停車したほどの衝撃が
ぼくの胸を走った
もう人生の半分は通過してしまった
そのうち終点も見えてくるだろうと

この頃は
よく電車の最後尾の車両に乗る
レールが狭まってゆき一本に閉じられ
景色は遠ざかり
美しく凝縮されて胸に収まるのを
じいっと眺める

ぼくは ありがとう電車くんと
小さく声をかけていた

 当日、二次会の席で頂戴したもので、拙HPでは初めての紹介になります。大宮駅に待ち合わせ場所として豆の木≠ニいう処がありますが、そこから採ったそうで、良いセンスだと云えましょう。
 紹介した詩は巻頭作品で、第3連が佳く出来ていると思います。「もう人生の半分は通過してしまった」という思いは、「大きな川の鉄橋を渡っているとき」などの何でもないときに急に訪れてくるもので、それを「急停車したほどの衝撃」と表現したところが素晴らしいですね。「レール」に関して第2連と第4連が呼応しているのも見事です。新川さんの講演ではありませんが、「幼かった頃」と「中年を過ぎた頃」という時間≠ニ、「電車の一番前」から「電車の最後尾」という空間≠熬B成しています。帰りの小田急線の中で感心しながら拝読していました。





『関西詩人協会会報』45号
kansai shijin kyokai kaiho 45.JPG
2007.4.1 大阪府交野市
金堀則夫氏方事務局・杉山平一氏発行 非売品

<主な記事>
1面 文学散歩と講演会・『関西詩人協会自選詩集』第五集
2面 1面関連記事・第六回詩で遊ぼう会・in伊賀上野
3面 ポエム・セミナー「自作を語るW」
4面 同上・詩画展のお知らせ
5面 追悼犬塚昭夫さん・新入会員紹介・運営委員会の模様
6面 会員活動・イベント



 (ほっ)さん/金堀則夫

光の
養分を吸い取っている
そんな山がある
山地の霊が 空からの
好物を蓄積している
太陽は
月は
金星、土星、火星、木星の星たちは
それぞれの輝きを


銅、鉛、鉄、錫の
   、
すきな養分を地中の魂と牽き合っている
鉱物の含む土からは
シダが一面に生い茂っている
星を祀る
星田妙見宮
空と地が牽き合っていたが
なぜか
ここからはその鉱物が出てこない
どこにもその鉱石はない
廃坑も見当たらない
謎の
星降る里
地上に星が現れた そのときから
地中の霊は 眠ってしまった
眠ってしまったから
かえって
巨石は
高く空と触れ合う
影向の塔となって 崇められた
千古の化石
山々に星は煌めいている
金の気力
巨石に駆け登り 手を伸ばし
伸ばしきって
星と牽き合う祀りが
まだそこにある

 紹介した詩は「ポエム・セミナー『自作を語るW』」に載っている作品です。2003年刊行の詩集
『かななのほいさ』について述べた中で引用されていました。ご自身の珍しい姓について調べていくなかで創造された作品です。作者がお住まいになっている交野市星田の星≠ニ「鉱物」、そして「金堀」という姓が謎めいた宇宙を創りだしている作品と云えましょう。おそらく日本では唯一のテーマと言ってよいと思います。ちなみに詩集はすでに拙HPで紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたのでそちらもご参照ください。



   back(4月の部屋へ戻る)

   
home