きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2007.12.11 浜離宮・中島の御茶屋 |
2008.1.10(木)
今日も終日読書、HP更新に追われました。
○詩誌『詩風』16号 |
2007.12.30 栃木県宇都宮市 詩風社・仲代宗生氏発行 300円 |
<目次>
南青山瞑想研究所/あらかみさんぞう 1 わが名はアロン/綾部健二 23
薔薇が戦場で/金敷善由 27 蘭/金子いさお 29
なげいれ堂/和田恒男 33
詩は芸術であるとして 詩人を助け救い語らせたもの…
須藤洋平著『みちのく鉄砲店』を読んで/和田恒男 37
逃げ水・ひとすじの思い/仲代宗生 63
編集後記
わが名はアロン/綾部健二
わが名は黒柴犬のアロン
アラン・ドロンのアランにあらず
某強力接着剤の名称に酷似しているが
本質的には似て非なるなるもの
旧約聖書の「十戒」で名高い 預言者モーゼ
その兄の名が アロン
指導者としての弟をサポートする名わき役
それこそ わが名の由来
一九九一年初春 宇都宮市生まれ
栃木県の登録番号は第〇七二七五号
成犬になってからの体重は一六キログラム
つやの良い毛並みとパワフルな吠え声は
近所でも評判の小型番犬
竹串もろとも焼き鳥を食べる失態で
その竹串を取り出す開腹手術も経験したが
好きな家族の順番は
愛ちゃん おかあさん 最後がおとう
えさの用意と散歩の回数はちょうど逆順だけれど
おとうはすぐ怒るから あまり好きじゃない
そうそう 子犬の頃は躾がきびしかった
でも わしは生来の奔放者(犬)
散歩もあちらこちらに ぐんぐん引っ張るし
家族が喜ぶようなしぐさもきわめて不得手
結局 それなりのフリースタイルで通してきた
二十一世紀に入ると家族はそれぞれの生活圏へ
愛ちゃんは埼玉県の大学生に
おかあさんは神奈川県の病院勤務に
おとうは宇都宮から筑波まで遠距離通勤
その間に わしは鳩や尾長鳥 すずめたちと
えさと水を分け合う仲になった
半径数メートルのエリアに住む 年老いたわしにとって
彼らから聞く「まあるい世界」の話は興味が尽きなかった
そして 二〇〇七年盛夏
八月十日(金曜日)の午後は一時的に強い雨
弱ったこの心臓に 今年の猛暑と雨はきつかった
犬舎に入る気力も消え 萎えたわしは地面に沈んだ
雨が上がり 宙(そら)から自分のからだを見下ろしていると
気付いたおとうが家の中から走り出てきた
享年 十六歳と五ヵ月
人間の年齢なら八十二歳くらい?
おとうよりもはるかに年長になっていた
「この家で長く生きてくれてありがとう」
他県にいる家族の声も代弁するかのように
おとうの声が聞こえた
忘れることなかれ!
わが名はアロン
アラン・ドロンのアランにあらず
預言者モーゼの兄の名(おとうの命名)に由来する
家族のサポーターであったことを
わ が 名 は ア ロ ン !
「預言者モーゼ/その兄の名」から採られたという愛犬の生涯を描いた作品ですが、その性格がよく書かれていると思います。「竹串もろとも焼き鳥を食べる失態」も犯し「家族が喜ぶようなしぐさもきわめて不得手」ながら、「鳩や尾長鳥 すずめたちと/えさと水を分け合う仲にな」るほどの優しい犬。犬は飼い主に似ると言われますけど、そのまま「おとう」の性格なのかもしれません。「享年 十六歳と五ヵ月/人間の年齢なら八十二歳くらい」の「アロン」の冥福を祈ります。
○詩・仲間『ZERO』18号 |
2008.1.10 北海道千歳市 綾部清隆氏方・「ZERO」の会発行 非売品 |
<目次>
ながれるもの/綾部清隆
抱擁/森 れい
かたくりの花咲く/斉藤征義
ながれるもの/綾部清隆
裸電球がじいじい音をたてている街灯に
寄りかかっている
少年
どうかはなしかけないでください
まだ 戻ってこないけど
かあちゃんとはなし中なので
寡黙な少年のこころの火を求めて
蛾が飛び回っている
ねえ かあちゃん
年とったら
とうちゃんに似てくるのかな
どろっぷの缶をがちゃがちゃ振って
ぶどー色をさがしている
だって 空の色が
むらさきに染まっていくから
のんだくれの 気短で
わがままなあの人に
どうか似ないでください
これがぼくのお願いです
宵の明星に手を合わせる
あんしんをし
おまえはわたし似だから
かあちゃんの霧のような声がふってくる
ぼくは街灯の下にしゃがみこんで
かあちゃんの眼をさがしている
近頃 壁の裏側で
どくどくと一本の管をながれる音がして
時々背中をまるめたあの人の薄い影が
部屋の壁に寄りかかったりしている
そしてあの時 母のついた孤独なうそが
わたしの隣りで
乾いた寝息をたてているのだ
タイトルの「ながれるもの」とは、最終連の「どくどくと一本の管をながれる音」に由来しているわけですけど、これは血管ではないかなと思います。血のつながりを謂っているのでしょう。「のんだくれの 気短で/わがままな」「とうちゃんに似て」きた現在の「わたし」の詩、と読み取りました。「裸電球がじいじい音をたてている街灯」、「どろっぷの缶」などの懐かしい情景に「とうちゃん」の姿も浮かんできます。「母のついた孤独なうそ」という詩語も佳いですね。いま在る自分を考えさせられる作品です。
○『関西詩人協会会報』48号 |
2008.1.10 大阪府交野市 金堀則夫氏方事務局・杉山平一氏発行 非売品 |
<主な記事>
1面 関西詩人協会総会
2面 総会講演
3面 決算報告書・関西詩人協会賞
4面 小野十三郎賞を受賞して・新入会員
5面 詩画展報告・アンケートについて・運営委員会の模様
6面 会員活動・イベント
今号では第4回関西詩人協会賞の作品募集の記事がありましたので、転載して紹介します。関西在住でなくても関西を発行地とする詩誌に所属する人は応募できるようですので、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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関西詩人協会賞は、現代詩の振興と発展に寄与するため、刊行・作成された優れた詩集・詩作品集(小詩集)を対象とし推奨する。また、第4回から後援を受ける「桃谷容子基金」の現代詩の振興の趣旨をより顕彰するため、公募とし、毎年実施する。公募は、関西における詩的発揚と文学発展をめざし関西圏内とする。
※募集要項※
選考対象
第4回は、(1)2007年1月から2008年6月末までに刊行された詩集。(2)詩誌などに発表した作品または未発表作品10篇を1組に綴じた詩作品集(私家版の小詩集・ワープロまたはパソコンでA4用紙にプリント。タイトル、作成・発行の年月日等の奥付を入れる)。ただし、全詩集・選詩集・翻訳詩集・外国語による詩集および復刻・再版・遺稿集による詩集は除く。
応募資格
関西圏内に在住または関西を発行地とする詩誌などに関係する人。(関西詩人協会の会員は、地域に限定なく応募できる。)
選考委員
杉山平一・青木はるみ・以倉紘平・島田陽子・日高てる
賞と副賞
協会賞(優れた詩集・詩作品集を推奨する) 賞状と副賞10万円 → その後30万円にアップ!
奨励賞(新人の優れた詩集・詩作品集を奨励する) 賞状と副賞5万円 → その後10万円にアップ!
締め切り
2008年7月10日必着 (応募受付は5月1日から)
応募方法
別紙に(1)詩集・詩作品集(小詩集)のタイトル (2)氏名 (3)年齢 (4)住所 (5)電話番号 (6)所属(詩人団体、詩誌等)、略歴 (既刊詩集等)を記入したものを添付し、詩集・詩作品集(小詩集)を一人1点送付。(封筒に赤字で協会賞応募≠必ず明記)
送付された詩集・詩作品集(小詩集)は返却しない。
送付先
関西詩人協会賞事務局 金掘則夫方(住所・電話番号は省略しました:村山)
発 表
2008年10月下旬(会報1月号で受賞発表と選考報告を掲載。)
授賞式
2008年11月下旬の関西詩人協会総会にて行う。
主催・関西詩人協会
代表 杉山平一
後援・桃谷容子基金
関西詩人協会賞実行委員
以倉紘平・金堀則夫・佐古祐二・佐相憲一
《選考の方法については、第一次選考委員会(協会賞実行委員と運営委員)で数点の候補詩集・詩作品集を選出。9月の最終選考委員会(5名の選考委員)で候補詩集・詩作品集の内から決定。》
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