きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2007.12.11 浜離宮・中島の御茶屋




2008.1.31(木)


 今日から2月4日までの予定で、小田原市のアオキ画廊で西さがみ文芸愛好会の第12回「西さがみ文芸展覧会」が開催されています。会員の詩やエッセイ、短歌・俳句・川柳、書画など約80点を展示しています。会員著作の展示即売もあり、特別展は「文芸作品に描かれた西さがみ」。これは泉鏡花以下20名の文人が描いた小田原や湯河原・真鶴・箱根、そして我が南足柄が出てくる箇所を紹介しようというものです。

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 写真は会場の入り口風景です。私は今日は所要で参加できませんでしたので、昨日の搬入時に撮ったものを載せました。本日の入場者は45名だったそうです。地方都市の小さな展覧会としてはまずまずのお客さんだったのではないかと思います。

 お近くにおいでの節はぜひお立ち寄りください、、、と書きたいところですが、実はこの日記、3月19日に書いています(^^; とっくに終わっていて申し訳ありません。こんなときのためにもリアルタイムで書きたいなと、つくづく思います。



詩誌『驅動』53号
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2008.1.31 東京都大田区
驅動社・飯島幸子氏発行 350円

<目次>
現代詩と「笑い」(八)/周田幹雄 14
美術館にて/長島三芳 2          オーバー・ザ・レインボー/中込英次 4
猫の喧嘩/飯島幸子 6           茶碗 他二編/星 肇 8
富士の私語
(ささやき)/忍城春宣 12       靴底 他一編/周田幹雄 18
糸車/内藤喜美子 21            生命
(いのち)の引っ越し先 他一編/小山田弘子 24
バンコク通信 リピート/石川文絵 27    笑顔 他一編/金井光子 30
「かもや」のおあねさん/池端一江 32     断片・十五歳の試練そして決断(二)他一編/飯坂慶一 34
予知能力/田中雄 40
同人住所・氏名 42             寄贈詩集・詩誌 42
編集後記                  表紙絵 伊藤邦英



 予知能力/田中雄

人間の信仰は いたっていい加減なものだ
我々ネズミ族は 人間共の不都合な信仰のせいで
中世のヨーロッパでは
悪魔や魔女の使いとして
徹底的に迫害され

日本では
大黒天の使いとして
正月には 五穀豊饒を祈念して
我々の通り道に
餅を供えられたりもした
いずれにしても我々ネズミ族が
人間たちより早くから存在していたことへの
畏怖と敬愛の念である

最近では
アニメ「トムとジェリー」や
「ミッキー・マウス」で人気となり
人間社会で
ペットとして飼い馴らされたラットやハツカネズミは
野生の時は持っていた
地震や火事の微かな前兆をも見逃さない
鋭い五感が 退化してしまわないか心配だ

いつかは
人間社会から逃れ
野生を取り戻してみせる

 人間の都合によって「悪魔や魔女の使い」になったり「大黒天の使い」になったりする「ネズミ族」をうたった作品ですが、人間によって「鋭い五感が 退化してしま」っているのではないか、という視点が新鮮です。それだけ人間が自然界に脅威を与えているということでしょう。最終連はそんな人間社会から逃げることによってのみ「野生を取り戻」すことができると言っているわけで、作者の自然界への慈しみが感じられます。動物の「予知能力」さえ奪ってしまう人間って、いったい何なのか考えてしまいました。



個人詩誌『凪』20号
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2008.1.30 千葉県八千代市
「凪」事務所・星清彦氏発行 非売品

<目次>
返事について…2   夏を売りに…3    秋の支度…5
戯れにブランコ…6  寒い朝…7      宣告…8

夭折の詩人達(4)「生きた 臥(ね)た 書いた」 淵上毛銭についての小考察…13
受贈深謝・あとがき…28



 返事について

「ハイ」という言葉は
「拝」という漢字を書く
「ハイ」とは拝む
あなたの意見を尊重しますという意味
「ハイ」という返事を
気持ちの良い日本の言葉を
あなたもきっと好きでしょう
人の話に耳を傾け
人の話も尊重して
そうして生きていきたいですね
「ハイ」と明るく
「ハイ」と優しく
素敵な返事を交わしながら
気持ちの良い返事を交わしながら

 「『ハイ』という言葉は/『拝』という漢字を書く」とは、思いもしませんでした。辞書をみても「返事」という意味は出ていませんでしたから、おそらく作者の個人的な「あなたの意見を尊重しますという意味」の解釈でしょうが、よく理解できます。そうなると確かに「気持ちの良い日本の言葉」になりますね。言葉を発したり聞いたりする場合、頭の中でひらがなを漢字に変換することは誰でもやっていることと思いますが、これからは「拝」と変換されそうです。



会報『「詩人の輪」通信』21号
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2008.1.25 東京都豊島区
九条の会・詩人の輪事務局発行  非売品

<目次>
子歳戯れ唄 白鼠/中 正敏         『扶川茂詩集 中四国詩人文庫』二〇〇七年一〇月について/多田統一
小田実をしのびつつ/磐城葦彦        憲法第九十九条/杉山満夫
殺すキカイ/ゆあさ京子           追悼 福中都生子さん/佐相憲一
事務局から



 憲法第九十九条/杉山満夫

憲法第九条は当然護らなければならない
同時に第九十九条も護らなければならない
戦後生まれの政治家は戦争の実態を知らないから
第九条を改変しょうとしているが
第九十九条【憲法尊重擁護の義務】は
忘れている
「第九十九条【憲法尊重擁護の義務】
 天皇又は摂政及び国務大巨、国会議員、
 裁判官その他の公務員は、この憲法を
 尊重し擁護する義務を負ふ。」

自衛隊は国民を譲らない
戦争を放棄してもしなくても
無防備の都市への空襲や
艦砲射撃や機銃掃射で殺されても
何の保証も救済もない
広島や長崎の原爆の他にも
殺された国民は多数いるのである

詩人の多くは公務員や教員や教授で
外国の詩人の作品や文章からの引用でごまかして
第九十九条【憲法尊重擁護の義務】など
知らない振りをする

ぼくの兄は南の海底に沈んでいる
だから靖国神社で「神」になどなることはない
参拝する国会議員は軍国主義のロボットである
徴兵された兄は好きで死んだわけではない
不意の戦闘の最中に輸送船が沈んで
行方不明になったのだ
護衛する戦力もなく

徴兵制などは馬鹿な若造の知事の言うことだ
偉い人間も偉くない人間もない
大臣も公務員も教員も教授もやがて死ぬのだ
子供も大人も大切にされなければならない
別に何かの権威があるのではない

君が代も日の丸も戦争中には法律もなかったが
頭の良い俳人が大臣になって
見えない権威を形成し法律にした
それは「人間」を離れたもので
自動車を造る会社が事故の多発する道路を
政府に税金で創らせているようなものだ

誰も不意に死んではならない

 「第九十九条」の条文を私は知っていましたが、知らない人も多いかもしれませんね。TVなどで大臣や国会議員が改憲の話をしているのを見ると、憲法違反なのになと歯がゆい思いをしていました。そこをこの作品はきちんと言ってくれています。第2連の「戦争を放棄してもしなくても/無防備の都市への空襲や/艦砲射撃や機銃掃射で殺されても/何の保証も救済もない」というのもその通りです。生命保険の証書をよく読むと判りますが、戦争による被害は補償されません。私たちにとって大事なそんな議論もせずに、改憲を唱える政治家はいったい誰に顔を向けているのか、と言いたいですね。どこに向いているかの一例が「自動車を造る会社が事故の多発する道路を/政府に税金で創らせているようなものだ」というフレーズです。有権者はよくよく考えて議員を選びたいものです。「誰も不意に死んではならない」国にするためにも。



   
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