きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.3.12 湯河原町・幕山公園 |
2008.4.11(金)
午前中は裏の畑を小型耕耘機で耕しました。1時間ほどで作業が終わって、耕耘機を洗いながらフと、そうだ、クルマも洗おう! 愛車スバル・インプレッサも数ヶ月ぶりで洗車しました。それだけのことですが、なにか清々しい気分になりました。やっぱり、たまには身体を使うことでリフレッシュできるようです。
○総合文芸誌『葦』28号 |
2008.3.1 三重県度会郡玉城町 村井一朗氏発行 非売品 |
<目次>
□詩
変貌 武藤ゆかり…2 ひるの月 岡田千香代…4
感応の集り 辻田武美…6 姉のような人は 池田みち…8
伝説 松沢 桃…34 メッセージ 村井一朗…36
−高校生六人集−
本当の私 高倉園佳…16 絵の具 小菅成美…18
読書 井俊吾…19 雲 川村法貴…20
見つける 諸岡夕貴…22 孤独から 不二 一…24
□短歌 (遺作)父母 東 季彦…12
□エッセイ
峠の向こうへの手紙(10) 中田重顕…10 詩人の恋(34)「城山三郎」 清水 信…14
鈴木哲雄詩集「神様だって」所感 村井一朗…26 ここだけの話(25) 松嶋 節…31
伝説/松沢 桃
そのひとはまえぶれもなくいたのでした
ときおりあらぬほうにめをやるかげのこいよこがお
あくまでもしずかなたたずまい
いくつものカメラがシャッターをきる
みつめるレンズのさきは無心のおのれか芒洋としたみらいか
すっくりたってはひょうひょうとはなすゆるやかなリズム
いつかどこかで耳にしたあたたかななまり
アルコールとかいわの海をただよう初老のくらげはワインレッド
素のままにひろげられたうでには際会があふれた
はかりきれないおもいがいくそうにもかかえこまれたにちがいない
ばくだんをきおくするあたま つい先月もびょういんのベッド
ぼうけんの旅はなつさいごのいちだいエベントあいさつ
ときゆけば
そのひとはいちはやく風ときえていたのでした
浅学にして「際会」の正しい意味が判りませんでした。辞書によると「重要な事態にたまたま出合うこと」や「巡り会うこと、出会うこと」と出てきます。「素のままにひろげられたうでには際会があふれた」というフレーズには、そのような意味があると思います。
「そのひと」はカメラマンでもあるのでしょうか。「いくつものカメラがシャッターをきる」のは「そのひと」なのか、その人が撮られているのか不明ですが、ここでは前者で、首から提げた数台のカメラと採りました。その方が次の「みつめるレンズのさきは無心のおのれか芒洋としたみらいか」へと繋がりやすいと思います。「そのひと」は「伝説」の人でもあるのでしょう。「いちはやく風ときえていた」魅力的な人と読み取りました。
○隔月刊誌『新・原詩人』17号 |
2008.4
東京都多摩市 江原茂雄氏方事務所 200円 |
<目次>
《この詩15》ハイネと海/訳および紹介:江原茂雄 1
読者の声 2 いいなづけ/ゆきなかすみお 3
歩いている/まつうらまさお 4 灯台(こえ)/佐相憲一 4
赤石岳/長谷川修児 4 ひきこもり/神 信子 4
愛と別れの詩(うた)(広告)5 川柳と狂歌/乱鬼龍 5
水鏡(2)/江 素瑛 6 事務局より 6
◆川柳と狂歌 乱鬼龍
イージス艦海のモラルはナミの下
何事か包み隠して毒餃子
働けば過労死働かねば飢餓死
楽しげに仕事に通う人がない朝のラッシュの重い沈黙
(「風刺の種2008.03.11」より)
今号では「川柳と狂歌」を紹介してみました。「イージス艦…」は海底に沈んだ海のモラルを言っていますが、これは自衛艦だけのことで、一般の漁民は違います。自衛艦も漁民に追いついてほしいものです。「何事か…」は餃子の皮に包み隠したものは何だったのかを暴きたいものです。「働けば…」はまさにその通り。働くとは本来、希望であり喜びであったはずなのですが、労組を解体した、私自身を含めた労働者自体の責任も問いたいところです。「楽しげに…」は上述と同じですが、自分の世代だけでなく、孫子の代までを見据えた労働運動なり政治活動が必要だったなと、改めて感じています。
○個人詩誌『魚信旗』46号 |
2008.4.15 埼玉県入間市 平野敏氏発行 非売品 |
<目次>
邂逅 1 不明 4 ヒストリー 6
誤謬 7 よわい 8 匿名 9
後書きエッセー 10
匿名
名を隠して咲いている花もある
花にはもともと名など必要ないのである
人と自然と通じあう心があればそれでよい
世界の終わりに名の無い者が勇躍して
戦話をいろどり
我武者羅に都市を再興して
大伽藍に未来の鐘をつるす悪役(ヒール)もいる
テロリストと呼ばれる者も一味である
名を偽ることは欺きそのものだ
覆面つらした鞍馬の天狗より下等な動物
花衣をまとい匂いを変えれば
千之丞のように変幻自在の雪柳
泥鰻がいればしめたもの
偽装といえば鰻にみたてた穴子もある
・・・・・
ひとだましするなら気品をもて
遠い人にここに花があるよと
繰り返し立ち現れる過去のように
やさしく呼べたらこの上なくうれしい
名は何であれ
匿名であれ
ひととき華やぎの謎に染まるためにも騙されてみたい
人も赤とんぼと同じように
死んだことさえ知らずに飛べていたらと
ひそかに匿名で祈る
「名を偽ることは欺きそのもの」ですが、「匿名」は違うということを「名は何であれ/匿名であれ/ひととき華やぎの謎に染まるためにも騙されてみたい」というフレーズで言っているように思います。匿名とは「名を隠して咲いている花」であり「勇躍して/戦話をいろど」った「名の無い者」なのでしょう。最終連の「ひそかに匿名で祈る」というフレーズがよく効いている作品だと思いました。
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