きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.3.12 湯河原町・幕山公園 |
2008.4.10(木)
元日本詩人クラブ会長・元横浜詩人会会長の筧槇二氏が亡くなったと横浜詩人会から連絡がありました。今朝3時半過ぎだったそうです。77歳。ご冥福をお祈りいたします。
通夜は4月12日(土)18時〜19時、告別式は13日(日)10時半〜11時半、いずれも「セレモニーホール衣笠斎場」[JR横須賀線・衣笠駅徒歩5分]だそうで、駅前に案内係が配置されるとのことでした。。
12日は日本詩人クラブ3賞の贈呈式がありますから、私は告別式に出席する予定でいます。
筧さんの主宰する『山脈』には、私も30代から50代の20年間在籍させてもらい、大きな影響を受けました。詩界の右も左も判らなかった私を、いろいろな人たちに紹介してくださり、今日、私がこの分野でそれなりの仕事をさせてもらっているのは、ひとえに筧さんのお陰だと思っています。まだまだ活躍できる人でしたのに、残念です。
○佐藤勝太氏詩集『夕陽の光芒』 |
2008.4.1 大阪市北区 竹林館刊 2000円+税 |
<目次>
序詩 1
§T
佇む昭和 10 めだかのいた校庭 14
少年の川 20 小田川情景 22
少年の十字路 28 空拳 30
履ものエレジー 32 一九四五年八月六日の朝 34
六十三年目のヒロシマ 38 父のおぼえ書 42
おかあさん 44 感傷のふるさと 48
§U
春の音 52 一日二万四千人 54
青い星 58 息子の結婚 60
平和のかたち 62 珊瑚海の幻 66
歩く青年 68 婦唱夫随 72
母を浄める 78 二つの森 80
朝の散歩道 82 飾り窓(ショーウィンドウ)の人 84
男は寂しいか 86 触れあいの仲 90
夫婦の絆 92 夏の一日 96
蝶の別れ 100
枯れ葉よ 104
何処へ 106
迷路 110
愛のかたち 112
一杯の素うどん 116
ランチタイム 118 太郎≠フ晩年 120
§V
錆びたピッケル 126
自画像 130
すみれの咲く道 134
抱き枕 138
青春をなぞって 140
なつかしい女(ひと) 142
せめぎ合うもの 144
秋風の庭 146
老いの僻目 150
啜り啼く胸 154
翳 156
死よ おごる勿れ 160
再びの春 164
あとがき 169
カバー絵・題字 著者
青春をなぞって
正月三が日が過ぎて
人混みがなつかしく街に出た
デパートは
どの階も女性客がひしめき
男は数えるほど
売場には女物が絢爛と波打っていた
バーゲン台の人垣を分けて
後ろの方から
―― どう地味やろうか
七十路の女性が胸もとで広げた
花模様の派手なセーター
―― よく似合っているわ
連れの女性の顔が揺れて
濃い化粧の皺が笑っている
二人はともに
地味な人絹地のモンペ姿で
その下に可憐な花弁を隠して
竹槍を肩に戦争を駆けた
女学生時代があった
いまようやく喜々として
遠い青春をなぞっていた
3年ぶりの第6詩集のようです。他の作品から、著者は敗戦時には中学生だったことが判ります。従って、この作品の「七十路の女性」たちとは同年代なんでしょう。「濃い化粧の皺が笑っている」と辛辣な言葉の裏に、第3連や最終連の言葉があると思います。「竹槍を肩に戦争を駆けた/女学生時代」から、「いまようやく喜々として/遠い青春をなぞってい」る女性たちへの温かい眼差しが表出している佳品だと思いました。
本詩集中では「迷路」「自画像」をすでに拙HPで紹介しています。初出から若干改作されているところもありますが、ハイパーリンクを張っておきましたので、合わせて佐藤勝太詩をご鑑賞いただければと思います。
○詩誌『詩区 かつしか』104号 |
2008.4.20 東京都葛飾区 池澤秀和氏連絡先 非売品 |
<目次>
人間一〇四 ケロイド(4)/まつだひでお 人間一〇五 国へ帰ろう(ダモイ)/まつだひでお
片道橋/小川哲史 予定調和/小林徳明
五蘊皆空(ごうんかいくう)/小林徳明 キロクY/しま・ようこ
木魚/みゆき杏子 赤ちゃん/工藤憲治
花子/工藤憲治 突然に/内藤セツコ
来た 来た/石川逸子 鳥のつぶやき 3/石川逸子
満月のむこうに/池沢京子 山茶花/森村孝吉
みかん 哀歌/池澤秀和 ぅぅきい ぽんぽん/堀越睦子
サンフランシスコの春/青山晴江
来た 来た/石川逸子
来た
来た 来た
チンコンカンと書留で
死への督促状
後期高齢者医療証が
日の光にすかしてみると
あぶり出てくる文字
「汝 本来なれば 即刻 深山に運びて
谷底に突き落とし カラスに食わせる年齢なれども
格別のお慈悲をもって 現在地にとどめ置き
医療費等補助おこなうもの也
芳恩を謝し 一刻も早く黄泉の国へ向うべく
用意相整えるよう申し渡すもの也」
ハハアッ と平伏
横を向いてペロリと舌を出す
なかなかに食えない じじばば ではあるのだ
と 木々をゆらす 歌あり
(いくつになろうと 心は乙女 ホイホイ
白髪になろうと 心は少年 ホイホイ)
歌に連れて 一陣の突風吹き抜け
終ってみれば
アリャリャ 後期高齢者の文字が
光輝高嶺者に変わっていた
まるで手ぐすね引いて「後期高齢者医療証」を待っていたような作品ですが、「日の光にすかしてみ」て「あぶり出てくる文字」は、現政権の本音を鋭く糾弾していると思います。「横を向いてペロリと舌を出す/なかなかに食えない じじばば」は、戦争を体験した世代のしたたかさを言っていて、頼もしい限りです。私と同じ未熟な戦後世代が政権を担って、あるいは官僚として国家運営をやっているのですから、「なかなかに食えない」この世代の逞しさを軽く見ない方がよいでしょうね。
最終連の「光輝高嶺者」は名訳です。国を造ってきた人たちへは、せめてこの位の言葉を贈りたいものです。
○季刊・詩と童謡『ぎんなん』64号 |
2008.4.1 大阪府豊中市 ぎんなんの会・島田陽子氏発行 400円 |
<目次>
まってるよ/雀のごはん 森山久美子 1
あなた ゆうきあい 2
つみきのなげき/はじめは しかく 池田直恵 3
たんぽぽねっこ/父ちゃんのおにぎり いたいせいいち 4
しずかに しずかに 井上良子 5
昼さがりの縁側/ゆるゆると 井村育子 6
感想/母ちゃん かわぞええいいち 7
ちゅうりっぷぷっ/リサイクルショップ/バレンタインデイ/月夜/かんちがい/うれしい日 柿本香苗 8
カバほめ歌/朝/夜 小林育子 10
いるかいるかわ 島田陽子 11
ばんざーい/ママおねがい すぎもとれいこ 12
かゆくなったら/波 滝澤えつこ 13
なってごっこ/石の苔 富岡みち 14
商店街で/公園で 富田栄子 15
赤い川/家出 中島和子 16
かぜ 中野たき子 17
霜柱/道草 名古きよえ 18
毛虫の おっさん/アリさんかて…… 畑中圭一 19
はとの声/バラ園/ドア 藤本美智子 20
おじいちゃんとバラ/フラミンゴ 前山敬子 21
秋かなあ/ことりのオルゴール 松本純子 22
大地の鼓動 萬里小路和美 23
なっちゃんとむし/台所 むらせともこ 24
ハーモニカのおっちゃん もり・けん 25
本の散歩道 畑中圭一・島田陽子 26
かふぇてらす 小林育子・井村育子・富岡みち 28
INFORMATION 29
あとがき 30
表紙デザイン 卯月まお
感想/かわぞええいいち
思いやりが大切だと思う
そう隣の席の子が書いていた
きのうのトイレ掃除
僕に全部させておいて
先生、終わりました!
そう言ったのは隣の子だった
感想って足りないものを書くんだな
幼いころ
泣いてばかりいた僕
泣かされて帰ってきたとき
玄関でお母さんが言った
噛みついて泣かせてきなさい!
そうしたら家に入れてあげる
泣きながら噛みつきに行った僕
感想のあとがドキドキ逃げたくなるよ
「感想って足りないものを書くんだな」には笑ってしまいました。でも、こういう子って、たしかにいますね。しかも、子どもだけではなく大人にも…。本人がそれに気付いていないことが多々あって面白いのですが、それで被害を蒙ったりしますから面白がってばかりはいられません。口先と行動の差を考えさせられます。そういう私もどこかできっと笑われているんでしょうね、と、ちょっと己を振り返りました。
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