きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.4.28 富士・芝桜




2008.5.22(木)


 夕方から日本詩人クラブ事務所で第2期「詩の学校」の運営委員会が開かれました。第1期は昨年10月から今年の3月までの6回に渡って開講されたのですが、評判が良かったので第2期もやろうということになったものです。下記のように決まりましたのでご案内いたします。参加ご希望の方は谷口ちかえ理事にお申し込みください。

「詩の学校」第U期 「世界の詩を楽しむ夕べ」PartU
    ――越境する詩 モダンから現代まで――

日 時 9月18日(木)〜2月19日(木)
 毎月第3木曜日 18:00〜20:00
場 所 日本詩人クラブ事務所
     〒162-0808 東京都新宿区天神町71 宇野ビル4F 電話&FAX 03-6413-7245
      地下鉄東西線「神楽坂」駅矢来口(2番出口)下車、徒歩約5分
      地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅(1b出口)下車、江戸川橋通り沿いに南へ徒歩約5分

内 容 2008.09.18(開講式)中村不二夫…山村暮鳥「聖三稜玻璃」の衝撃
    2008.10.16     岡  隆夫…エミリディキンソンのマイクロコズムからミクロコズムへ
    2008.11.20     太原千佳子…オランダ語圏の詩 1×1の詩学
    2008.12.18     西岡 光秋…萩原朔太郎と萩原葉子
    2009.01.15     田部 武光…日本の詩・フランスの詩ー音比べと訳の試み
    2009.02.19(終了式)神品 芳夫…リルケにおける悲歌とソネット(実作に即して)

参加費 全講座受講:10,000円
    1回ごとはその都度2,000円(可能な限り6回単位でお願いします)
    学生半額
申込先 谷口ちかえ fwjg1222@mb.infoweb.ne.jp



『かわさき詩人会議通信』47号
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2008.6.1 非売品

<目次>
「サラリーマン川柳」に詩作の着想、表現などを学ぼう/河津みのる
地図にない山/枕木一平           短詩三題/斉藤 薫
ガス橋/寺尾知紗              下水管の流れ/山口洋子
梅桃
(ゆすらうめ)の唄/さがの真紀        人生いつも板挟み/寺尾知紗
春 小鳥たち/小杉知也           空気の中でもがく/寺尾知紗



 地図にない山/枕木一平

どんどん山がつくられる
あっちにも こっちにもつくられる
全国津々浦々 北海道から沖縄にいたるまで
大きな都市も小さな村も例外なくつくられる

その山の名は うばすて山
地図を開いてもどこにも載っていないが
現実に存在する
あまりにも多すぎて
地図に載せきれないのだ

そんな山だらけの国が日本
私たちが精一杯生きている国だ
敗戦の焼け野原を
ここまで豊かにし 平和にした国
食べるものもなく、汗水たらし
みんなで力をあわせてつくった国

それなのに それなのに 酷い仕打ち
こんな山だらけの国をつくるために
私たちは働いてきたのか

あの山に早く行けと
私たちの尻をたたく国のおえら方
せめて 杖の一本もめぐんでくれませんか
できることなら
あなた方が先に立って
その山の登り方をみせてくれませんか。

 「地図にない山」とはどんな山かと思ったら、「その山の名は うばすて山」でした。たしかに「地図を開いてもどこにも載っていないが/現実に存在する」山ですね。「こんな山だらけの国をつくるために/私たちは働いてきたのか」という思いは私にもあります。
 国が勝手に始めた戦争で国民は「敗戦の焼け野原を」さまよい、やっと「ここまで豊かにし 平和にした国」のに、今度はまた国が「うばすて山」を作る…。国民のための国ではなく、国のための国が現在の日本のように思います。「あなた方が先に立って/その山」に行ってほしいものです。そうすればどんなに住みよい国になることか。そんなことを考えさせられた作品です。



詩誌WHO'S107号
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2008.5.1 東京都八王子市
WHO'Sの会・樫村高氏発行 500円

<目次>

無明…2 高橋優子             椅子…4 中村不二夫
同じ時刻に…7 水谷 清          ささやかな奇蹟 9 市川 愛
風のむこうに…13 小池輝子         終点…15 高橋英司
5月の風吹く…18 森やすこ         動詞百態…21 樫村 高
翻訳 ささやき…25 クロード・ロワ <訳>水谷 清
エッセイ 半島の旅(三)…26 市川 愛
あとがき
表紙 福田都基子  目次カット 網島蛍子



 同じ時刻に/水谷 清

千葉方面から品川駅経由 逗子行きの]輌編成の電車
そのなかの乗客のひとりであるぼく
多摩川の鉄橋を渡りおわってまもなく
「只今 人身事故がありましたので暫く停車致します」
と車内アナウンス
目の前の空席の窓から 緩やかな川の流れを挟んだこち
ら側の河川敷の芝生で
キャッチボールをしている仕合せそうな中年男と
少年の姿
(あるいは去る年 優しい妻であり母を亡くした寂しい親
子かも知れない)
またそれと並んでゴルフ・クラブの素振
(すぶり)(註)を楽しん
でいる男の姿がかいま見られる
(あるいは経営不振の重役の気晴しかも知れない)
そんな風景をいままで気付かなかったものの
鉄路のうえの一瞬の惨事と河川敷の 同じ地上の 同じ
時刻の いま垣間見られた光景

そう、いまどこかの高齢者ホームでは
卒寿をはるかに越えた老人が息を引きとり
どこかの産院では一卵生双生児が呱呱の声をあげている
ことだろう
 地球のうえの東洋のこの列島の人口 少子化と言われ
ているものの 単純な生と死との繰返しが 同じ時刻に
 何事もなかったように行われているのは確かなことだ
ろう

〈註〉練習や鍛錬のために、実際に打つ時のように刀、バット、ラケットなどを空で振ること(小学館、国語大辞典)
              (二〇〇八年一月十日)

 「キャッチボールをしている仕合せそうな中年男と/少年の姿」は、「あるいは去る年 優しい妻であり母を亡くした寂しい親/子かも知れない」。「ゴルフ・クラブの素振を楽しんでいる男の姿」は、実は「経営不振の重役の気晴しかも知れない」。と、ここでは見る側の一面的な見方の危険性を言っているように思います。その上で「卒寿をはるかに越えた老人が息を引きとり/どこかの産院では一卵生双生児が呱呱の声をあげている/ことだろう」と人間の生死に思いを馳せ、「単純な生と死との繰返しが 同じ時刻に/何事もなかったように行われている」と結びます。いずれも想像力の豊かさが必要だと謂っているのではないでしょうか。そのように受け止めた作品です。



   
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