ょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.4.28 富士・芝桜




2008.5.27(火)


 地元の日刊紙『神静民報』の5月24日号が送られてきて、同新聞に求められて送った詩が載っていました。伊豆ドライブの昼食時に寄った店に「一斗二升五合」という扁額があって、それに想を得た駄作です。機会のある方はご覧になってみてください。
 ちなみに「一斗二升五合」の読みは、御商売益々繁盛。庶民の豊かな言葉遣いに感激したことを書かせてもらいました。



詩誌『鰐組』228号
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2008.6.1 茨城県龍ヶ崎市  350円
ワニ・プロダクション 仲山清氏発行

<目次>
論稿 高橋 馨/陵辱論 18
連載エッセイ 村嶋正浩/俳人摂津幸彦の生きた時代(7) 13
詩篇
村嶋正浩/あなたに合えてよかった 02    佐藤真里子/田植えの朝 14
小林尹夫/棲息36 03            坂多瑩子/母 06
石井藤雄/黒子 12             草野早苗/天空へ 08
仲山 清/残光あり 16           福原恒雄/ふうせんかずらの気色 10
平田好輝/ある日、見も知らぬヤツが 04
執筆者住所録/原稿募集 33



 ふうせんかずらの気色/福原恒雄

失敗
(しくじり)があればこそよと
部屋ははちきれんばかりに花という花。
迎えられ
メモしておいた
一言の
挨拶も
ひっくり返って
逃げ腰

晴れ晴れのこの日 門柱のわきで
目にもつれるように から元気のように
つるつる伸びてきて
ゆるゆると気のゆるむ風が取り巻いていたと告げたい足だったが

くっついて離れない
疲れを
慰撫する思いやり装置だよとふくらむふくらむ
ハッピーエンドの童話のような満面の笑み

せっかくの便りをなぞって訪ねたのだから
字面の詭弁で
夢見るメロディとでもふざけてくれたら
明日の鳴きごえを擬装してでも
ふうせんかずらのハートの種子のようだねえなどと
おずおずと とぼけたかもなあ

花の説明はいらない。
名はもともと闇のようにまばゆい
やかましい闇に見つめられ庭をぜんぶ掘り起こし(と命令され)
総動員の子どもだって 耕して耕して
曲がってしまう畝にも親しく
甘藷馬鈴薯南瓜の増産種に胡瓜えんど豆それから
甘藍に吸いつくアオムシとも遊んでいたんだから

でも
仰山の花のまえでこころひっくり返るなんて
ほんに ごめんな
忘れていなかったふうせんかずらのせいにしてよ。
不遜な来訪者は
いま ハート形の種子ひとつ頂戴すれば
ふくれあがっている花たちへも満面の笑みにも
きれいなお辞儀ひとつ
できそうだ

 「迎えられ/メモしておいた/一言の/挨拶」とありますから、何かの慶事だったのかもしれません。しかし、「総動員の子どもだって 耕して耕して/曲がってしまう畝にも親しく/甘藷馬鈴薯南瓜の増産種に胡瓜えんど豆それから/甘藍に吸いつくアオムシとも遊んでいたんだから」というフレーズからは、戦時中の庭まで畑に変えてしまった時代を想起させます。そこから関連づけて読み直してみると、「字面の詭弁」や「不遜な来訪者」が引っかかりますね。「ハッピーエンドの童話のような」時代への警鐘のように読めてしまいます。もちろん慶事の詩と採ってもよいでしょうが、私にはその裏を見てしまったような作品です。



詩とエッセイの一枚誌『てん』48号
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2008.5.18 山形県鶴岡市 万里小路譲氏発行 非売品

<目次>
それ(
it)/北原千代            リレーゾーン/北原千代(解説:万里小路譲)
メンデルスゾーンの館/北原千代       万事こともなく/万里小路譲
世界/万里小路譲              対話/万里小路譲



 対話/万里小路譲

話したいことが
山ほどあって
ひとりでは会話にならないから
きみが必要なのさ

「ふたりで真剣な会話をすべきときね」
「あれこれたがいに話しあうこと?」
「いいえ違うわ
 何かこう一方的な話をね」

人生はいつだって
真剣なひとときだから
向かいあって
語るのさ

自分の考え
自分の悩み
自分の世界観
自分中心の物語

 第2連は Charles M.Schulz PEANUTS より。私訳。

 チャーリー・ブラウン連詩の「対話」を紹介してみました。対話というのは「ひとりでは会話にならないから/きみが必要」なんですけど、その実は「あれこれたがいに話しあうこと」ではなく、「一方的な話」の押し付けだという、対話の実態を曝け出しておもしろいですね。最終連の4ツ重ねた「自分」に思い当たる人は多いんじゃないでしょうか。もちろん私もその一人です(^^;



CD 韮山混声合唱団
『20周年記念コンサート』
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2007.12.2 伊豆の国市
長岡総合会館
AXISかつらぎ大ホール

<収録>
[第一部]
『典礼ミサ曲より』
[1] Sancta    曲 F.Schubert       [2] Tantum Ergo 曲 N.Hyden
[3] Ave Verum  曲 C.Saint-Saens     [4] OSaltaris  曲 Della Maria
『海 三部作』 編曲:朝岡真木子
[5]砂山 詩:北原白秋 曲:山田耕作   [6]海     文部省唱歌
[7]われは海の子    文部省唱歌

[第二部]初演 混声合唱とピアノのための組曲
『富士』 詩:貞松瑩子 曲:朝岡真木子
[8]Prelude                [9]夢あかり
[10]わが歌                [11]富士を仰いで
[12]山は招ぶ               [13]ふるさとの富士
[14]Intermezzo              [15]富士願望
[16]春を待つ               [17]富士
『アンコール』
[18]富士山                [19]夕やけこやけ
指揮・指導:守屋 中
ピアノ伴奏:木内美保(第一部)、朝岡真木子(第二部)
パーカッション:松本はるみ



 昨年12月に伊豆の国市のホールで開催された、
韮山混声合唱団の『20周年記念コンサート』のCD版です。私もカメラマンとして参加させてもらいましたが、第二部は貞松瑩子さんの詩集『富士』をもとにした初演です。CDを聞きながらこれを書いていまして、混声合唱の迫力と、華麗な舞台を思い出しています。



   
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