きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.5.3 前橋文学館 |
2008.7.7(月)
午後から日本ペンクラブの電子文藝館委員会が日本橋茅場町の会館で開催されました。今回はオブザーバーとして3名の女性が加わり、にぎやかな委員会となりました。いずれも英語やフランス語に堪能な会員で、委員として任命されるでしょうから、今後のご活躍に期待しています。
主な議題はルビについて。ご存知かもしれませんが、インターネットで多く使われているHTML形式は日本語のルビに対応していません。そのため「新聞方式(しんぶんほうしき)」などのように、以前新聞社が採っていた手法を電子文藝館では採用しています。これは基本的にはこのままですが、PDFではきれいにルビが振られることが分かって、その対応を検討しました。
問題はルビの開始位置です。たとえば「新聞方式」の「式」だけにルビを振りたいと思って「新聞方式(しき)」とやると「新」に「しき」が振られてしまいます。これを回避するためには、手作業になりますが「新聞方※式(しき)」とすることにしました。こうすれば※の後の文字に「しき」というルビが振られるのだと分かります。電子文藝館委員会で欠席の皆さんはご承知おきください。
その他には特別室に「環境」が加えられ、広報委員会HPのリニューアルの状況などが報告されました。私は現在進めている高村光太郎作品の他に、知る人ぞ知る伊馬春部の作品獲得に動いていることを報告しました。
懇親会はいつもの「浜町亭」。今夜は新委員に内定した女性2名も加わって、いつも以上に賑やかでした。
○城塚朋和氏著 『中国宜興の窯址から発掘された堤梁煮水砂器(湯沸し)』 |
2008.3.25発行第16号抜刷 明星大学研究紀要−造形芸術学部−造形芸術学科 |
<目次>
はじめに 35 「茶疏」に記された煮水器 38
日本の錐管付き湯沸し 41 発掘煮水砂器実見の印象 42
終わりに 43
はじめに
お煎茶の湯を沸す道具に湯沸し(湯瓶・湯罐《鑵》・ボーフラとも)がある。一般には馴染みの薄いものだが、お煎茶で新鮮な水を入れ、涼炉(りょうろ)と呼ばれる炉の火にかけ、湯を沸かすための道具である。お湯の沸いた薬罐や土瓶に茶葉を入れ火にかけ少し煮だす烹茶(ほうちゃ)から、茶葉に湯を注ぎ、成分を抽出する飲み方、淹茶(えんちゃ)(現在の一般的なお茶の飲み方)が行われるようになるとともに、茶を入れるための急須(茶瓶、茶銚、茶注とも)と分れ、湯を沸かす為の専用の容器となった。素炊きのものが第一とされるが、焼き締めのものも多くみられる。ボーフラと呼ぶのは、そのふっくらとした形状がかぼちゃに似ていることから、ポルトガル語のかぼちゃを意味する語からボーフラと呼んだことから、湯沸し全般をそう呼ぶようになったということである。
その湯沸しで、中国明代の許次ジョ(糸偏に予、村山註)の茶論「茶疏」に登場し、またわが国の田能村竹田『茶説図譜』中に「砂銚」と図示されてはいるが、ほとんど見かけることのない錐管(煙突風の筒)付き湯沸しの現物、煮水砂器が中国の急頻の町、宜興の窯址から発掘された。
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上述、電子文藝館委員会で著者よりいただきました。改めて御礼申し上げます。
紹介したのは「はじめに」の冒頭部分ですが、ここにも書かれています通り「錐管(煙突風の筒)付き湯沸し」の考察です。土瓶の底から煙突風の筒が出ていると思ってください。それがある理由は火の通りが早いこと。早く湯を沸かすことで土瓶に茶葉を入れた際の味を逃がさないことが目的のようです。私たちの日常生活ではほとんど見かけない湯沸しですが、それ相応の理由があることが写真入りで詳しく解説されていました。茶器に興味のある人には垂涎ものでしょうね。機会のある方はぜひ読んでみてください。
○日本ネパール合同詩集『花束』5集 |
2008.5.10 横浜市西区 日本ネパール文化交流・ナマステ会発行 2000円 |
<目次>
「花束5」発行の言葉
Acknowledgement for the publication of “BouquetsV”
福田美鈴 Misuzu Fukuda
I ネパール詩人詩集 Poems by Nepalese Poets
ティルタ・シュレスタ Tirtha Shrestha 3
シンドパルチョーク、神、村 Sindhupalcbok,God,Village
スシミタ・ネパール Susmita Nepal 6
みずうみ Lake
バススレー・パンデ Bashushree Pande 12
離れられない同士、わたしはどこでも微笑んだ Inseparable Company,I Smiled Everywbere
キショレ・パハディ Kishore Pahadi 14
村の老人−スケッチ、妻が病むとき、無垢 Old Man at Village:A Sketch,On Wife’sS ickness,Virginity
ウサ・セルチャン Usha Sherchan 19
美しい詩の流れに漂って…、カトマンドゥはクンバカルナのように眠りつづけ…、今日 人間は私の心を痛めつける
I am flowing with the beautiful rivers of poetry…,
Eathmandu acts like as if it always sleeps like Kumbhakarna,
These days humans ache all over my heart
ラメシュ・シュレスタ Ramesh Shrestha 25
新年に In the New Year
ラジャニ・ダカール Rajani Dakal 28
あなた、春はこぼれおちている、ブッダとともに You,Spring is falling down,With Buddha
ラキシミ・ウプレティ Laxmi Upreti 31
空と大地、愛の焔、痛みを祝福して The Sky and the Earth,The Fire of Love,Celebrating Pain
マンジュール Manjul 34
ポエム Poem
ビノド・ビクラム K.C. Bimod Bikram K.C. 40
大都市カトマンズの苦いバラッド A Bitter Ballad on Kathmandu Metropolis
チャンキー・シュレスタ Chanky Shrestha 43
武器、証拠 The weapon,Evidence
ギタ・トリパティ Gita Tripathi 46
小さかったとき、まわり道 When We Were Little,The Circuitous Paths
ヘム・ラジ・パハリ Hem Raj Pahari 49
わがネパールで、教師であること、私たちの幸福な子供時代 In our Nepal,Being a Tbacher,
Those Happy days of our Childhood
サルバクタ Sarubhakta 52
新年の挨拶 爆弾の落ちた丘から、マリア あなたを愛せない
New Year Greeting From The Hill Where Dropped The Bomb Maria,I cannot Love You
S・プラティクシャ Saraswoti Pratikshya 58
黒と白の夢 A Black and White Dreams
ビプロブ・プラティク Biplob Prtik 61
証し、予期せぬ出来事、制服されざる者 The Proof,The Unexpected,The Unvanquished
U 日本詩人詩集 Poems by Japanese Poets
天彦 五男 Itsuo Amahiko 67
絵はがき、花火 POSTCARD,FIREWORES
結城 文 Aya Yuhki 70
点滴、電池の詩 TX,Songs of Batteries
松田 悦子 Etsuko Matsuda 73
ウル・シャリム、到着、喫茶ドンキホーテ Uru・Sharim,Arrival,The Coffee House called DonQuixote
濱本 久子 Hisako Hamamoto 76
渡邊先生の授業、山丹長城の牛飼い Mr.Watanabe’s Class,A Shepherd of the Shandan Wall
働 淳 Jun Hataraki 79
雨にぬれた花束、闇に浮かぶまるい空 A Bouquet Soaked with Rain,
The Raound Sky Adrift in the Darkness
みせ けい Kei Mise 82
夏祭り、見ていた人 Summer Festival,A Mysterious Spectator
中原 道夫 Michio Nakahara 85
石の涙、人指し指 Tears in a Pebble,A Trigger Finger
植木 肖太郎 Shotaro Ueki 88
あけぼの、夜の入り口 Dawn,Nocturnal Entrance
新井 翠翹 Suigyoh Arai 91
笑い声、万華鏡 LAUGHING VOICE,KALEIDOSCOPE
酒井 力 Tsutomu Sakai 94
M 葬送 M’s Funeral
森 三紗 Misa Mori 97
アチャール、詩を演じる ACHAR,Playing Poetry
津金 充 Mitsuru Tsugane 100
水族館、小雀よ AQUARIUM,YOUNG SPARROWS
黒田 佳子 Yoshiko Kuroda 103
我が町、雪の夜に My town,At the snowynight
水島 美津江 Mitsue Mizushima 106
働き蜂と猫 A Worker Bee and A Cat
浅見 洋子 Yoko Asami 109
3月10日 三ノ輪の町で March 10th in the town of MINOWA
川端 律子 Ritsuko Kawabata 112
ヒマラヤ山脈を仰ぐ、危機 Looking up at the Himalaya Mountains,Warning Signal
福田 美鈴 Misuzu Fukuda 115
心研ぎ澄ませ Sharpening senses
田中 眞由美 Mayumi Tanaka 118
シーソーがゆれて、ねじれ The Seesaw Moves Up and Down,Twisted
星 雅彦 Masahiko Hoshi 121
骨の唱え、何もないシマ The Bone Chant,Shima With Nothing
菊田 守 Mamoru Kikuta 124
天秤棒をかついで Shouldering a Carrying Pole
平出 鏡子 Kyoko Hiraide 127
転ぶな、黄砂 Don’t Tumble Down,Yellow Sand
古田 康二 Koji Furuta 130
絶望の老年、フライト HOPELESS OLD AGE,FLIGHT
秋元 炯 Kei Akimoto 133
演劇療法 Drama Therapy
名古 きよえ Kiyoe Nako 136
梅、咲いている命 Plums,Blooming life
サーカー 和美 Kazumi Sarkar 139
物乞い、風の音 Beggar,The Sound of Wind
冨長 覚梁 Kakuryo Tominaga 142
容器、虹 The Container,Rainbow
山口 敦子 Atsuko Yamaguchi 145
永遠の静寂、流人 Eternal Silence,An Exile
谷口 ちかえ Chikae Taniguchi 148
子供たちへ、結婚二重奏 To My Children,Duet of Weddings
中村 不二夫 Fujio Nakamura 151
横浜地蔵王廟、二度と歌わない歌 Triptake Cemetery Yokohama,A Song He’ll Never Sing Again
中井 ひさ子 Hisako Nakai 154
異国、捨てる捨てない The Exotic Land,Keep them or Throw them Away
金子 秀夫 Hideo Kaneko 157
はぐくむみなもと、砂の川 Nourishing Source,River of Sand
北岡 淳子 Junko Kitaoka 160
水の祀り、草の塒に A Festival of Water,To Grassy Roost
ポエム 3/マンジュール
母を思い出すとき
ぼくは一羽の鳥になる
果てしない空は
ぼくの翼の下で一つになって
母とぼくは
妖精の国へとむかう
そしてぼくたちは出会うのだ
悲しみに沈む人の涙をぬぐってくれる妖精に
悪しき化けものは立ち去っていくだろう
あるいはとても小さくなるだろう
そいつが吼えれば
ぼくらは雲を覆いかぶせてしまうだろうだから
化けものはぼくらを捕まえることはできやしない
それぞれの母を思い出しながら
鳥になった人たち
自分たちの翼の下に
空を感じる人たち
そんな人たちにとって
妖精の国に飛んでいくことは
ずっと素晴しいことではないか?
地獄に生きて
泣くよりも
屈することなく化けものと勇敢に戦いながら
涙をぬぐってくれる妖精を探すこと?
それは 君の心
それこそが君の母の心からうまれた
妖精なのさ
1999年5月1日、3:20pm 谷口ちかえ訳
日本語・英語・ネパール語の3言語併記のアンソロジーです。ここではネパールからマンジュール氏の作品を紹介してみましたが、マンジュール氏は日本詩人クラブとも関係の深い詩人です。「ポエム」は1〜4まであって、いずれも「母」をうたってもので、驚いたことに1999年5月1日の午後2時48分から3時20分の30分ほどで出来た作品のようです。年齢は私とそれほど違わないはずですが、次から次へと溢れてくるものがあるのでしょうね。最終連が佳い作品だと思いました。
○会報『ふーるこ ぐっちゃはる』6号 |
2008.6.25 横浜市西区 日本ネパール文化交流・ナマステ会発行 非売品 |
<目次>
シュレヤ・パンディ 特集<戦争の余波>
夏の催し ネパールミュージシャン2組来日
「劇のなかの僕の役割」/シュレヤ・パンディ 結城文訳
くらがりにもいたくないし
まばゆいスポットライトを浴びてもいたくもない
最高の席が一番いいのだろうが
真ん中ぐらいの席がちょうどいい
大劇場のなかでは
深淵にいるデーモンになることをも
天の高みにいる神であることも望むな
もっとも長く出ていられる役がいちばんいい
けれどこの大きく広い世界のなかでは
僕はただの一人の観客でありたい
<戦争の余波>という総題のもとに10編の詩が訳されていましたが、作者のシュレヤ・パンディは驚くなかれ、13歳の男の子とのこと。日本では中1ぐらいですけど、11歳ですでに詩集を出したそうで、第2詩集が『戦争の余波』というタイトルの詩集だそうです。今回はそこから10編を翻訳したようで、ここでは「劇のなかの僕の役割」を紹介してみました。「真ん中ぐらいの席がちょうどいい」、「僕はただの一人の観客でありたい」などのフレーズに、すでに大家の匂いを感じ取ることができますね。
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