きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.5.3 前橋文学館




2008.7.22(火)


 裏の畑の西瓜が食べごろになり、初めて収穫してみました。食べられそうなのは3個ほどですが、そのうちの1個を冷蔵庫へ。冷えた頃に割ってみると、もう少し赤みが欲しいなとは思うものの、おいしい! プロの農家が作ったものには及ばないでしょうが、我が家の味かと思うと甘みも増すようです。
 全部で30個ほどが実をつけています。ひと夏では食べきれそうにもありません。もう少し熟してきたら妹の家にでも持って行ってやろうと思っています。



アンソロジー
『そっとポケットのなかに』
sotto poket no nakani.JPG
2008.7.25 東京都千代田区    1200円+税
日本出版制作センター発行 マグノリアの木の会編

<目次>
1章 ごめんねタンポポさん
はるかぜさん/さとうなおこ 10       チュウリップ/川端律子 12
あさひ/岩佐敏子 14            ガードレール/山中利子 16
家族の面積/岩佐敏子 18          石ころ/川端律子 20
かたつむり/野田沙織 22          たけのこ/川端律子 24
キャベツ/さとうなおこ 26         紙ふうせんの歌/川端律子 28
飛行機/岩佐敏子 30            ごめんねタンポポさん/川端律子 32
お天気よほう/山中利子 36
2章 電池の切れただんご虫
たいづくし/岩佐敏子 40          ないづくし/岩佐敏子 42
コップに 水を入れると/川端律子 44    たちあおい/さとうなおこ 46
なつやすみのできごと/山中利子 48     ホームラン/川端律子 52
せみ/野田沙織 54             ろくろくび/山中利子 56
青色/山中利子 58             電池の切れただんご虫/岩佐敏子 60
トランポリン/さとうなおこ 62       こもりうた/岩佐敏子 64
うそ/さとうなおこ 66           なつのあじ/野田沙織 70
海のこもりうた/山中利子 72
3章 野原があった
秋みーつけた/さとうなおこ 76       カラスの ひとりごと/川端律子 78
友達/野田沙織 80             ベンジャミン/さとうなおこ 82
おまつりの夜/山中利子 84         てぬぐいぼうず/山中利子 86
ちぎれた尻尾/野田沙織 88         ヘリコプタのうた/野田沙織 90
ゆうひ/岩佐敏子 92            おちばのプール/川端律子 94
ひざこぞう/野田沙織 96          雑草/さとうなおこ 98
野原があった/山中利子 100         利尻富士/川端律子 104
四季/岩佐敏子 106
4章 トイレットペーパーくん
かるがも/川端律子 110           おとの織物/岩佐敏子 112
トイレットペーパーくん/さとうなおこ 116  きもち/岩佐敏子 118
こま/さとうなおこ 120           メニュー/岩佐敏子 122
おままごと/野田沙織 126          予習/野田沙織 128
ドーナッツ/山中利子 130          家出のマーチ/岩佐敏子 132
にんぎょう/さとうなおこ 136        北風に向かって/川端律子 140
5章 プレゼント
瞬間/岩佐敏子 144             トイレ掃除のおじさんより/さとうなおこ 146
わたしはひとり/山中利子 148        プレゼント/野田沙織 150
こばまない/川端律子 152
この詩集を読んでくださった皆さんへ 155
表紙と本文の絵 高田三郎          装丁 松本 絵



 ガードレール/山中利子

ガードレールが
おててつないで
ずうっとずっとたっている
どこまで どこまでたっている

たいくつだけれど
動けない
すましてじっとたっている

おててつないだ
手がいたい
ちょっとはなしてみたいけど
はなしちゃいけないきまりだよ

ガードレールのひそひそばなし
犬がくんくん
ききにきた

 あとがきによると〈
マグノリアの木の会〉というのは詩の勉強会から出発したようで、もう30年も続いているとのことでした。会としての詩集も今回で2冊目。会員は5人だけですが、地道に児童向けの詩を書き続けている集まりという印象を受けました。
 ここでは「ガードレール」を紹介してみましたが、ガードレールについて書かれた詩を初めて見たように思います。最終連ではガードレールと犬の目線が同じになり、それが児童の目線と同じだということに気づかされます。まさに子どもの目線に立った作品と云えましょう。



おしだとしこ氏著『正宗白鳥』
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2008.7.26 東京都千代田区 沖積舎刊 2500円+税

<目次>
序章…7
第一章 落莫…13
第一節 孤独と懐疑…15           第二節 未知の世界…22
第三節 知的憧憬…32            第四節 受洗…36
第五節 二十歳の日記…41          第六節 苦悩を越えて…47
第二章 白鳥の文学と宗教…55
第一節 覚醒…57              第二節 覚醒と執着…67
第三節 作品の中の宗教観…71        第四節 読売新聞退社と作品の傾向…83
第五節 一時帰郷の頃の作品…95       第六節 「入江のほとり」の誤算…105
第三章 白鳥の信仰…111
第一節 白鳥の棄教の真偽…113        第二節 年譜における入信棄教の意味…121
第三節 外遊の頃…126            第四節 肯定と否定と…138
第五節 死を超えるもの…151
あとがき…161                装釘*秋山由紀夫



 序章

 フランス革命からニーチェに至って、伝統的なキリスト教国で神が否定され、ニーチェの有名な言葉「神は死んだ」はずでしたが、世界では宗教戦争ともいえる、凄惨な争いが絶えません。
 日本の社会に於いても様々な宗教組織が勃興して、縋ってきた弱い人々が犠牲になる、社会を震撼させる事件が多発しています。
 その反面では神を否定して、「死せば無になる」から生きている間は好き勝手に、他者を顧みない自己中心の生き方も蔓延しています。神仏を信じていた人々は、死後の世界を夢想して「生前正善」を心がけました。形而上的思考を失ってしまった人々の生き方から、あらためて「神」や「宗教」を考える機縁になりました。
 そこで正宗白鳥が一度は棄てた、キリスト教の祈り「アーメン」を唱えて彼岸へ旅立った、その真意を覗くことで、微かにも「神」や「宗教」の像が表れるなら喜ばしいことです。
 正宗白鳥が臨死の床で植村環女史の祈りに唱和して「アーメン」を唱えたのが報じられると、幾つもの雑誌で追悼号が出され、四十余人もの文士によって「棄教」論争が姦しく起きた、正宗白鳥の作品から、その真意を読み解いて宗教観の考察を進めてみました。
 (以下略)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 副題に〈死を超えるもの〉とある正宗白鳥論です。たしかに正宗白鳥(本名:忠夫 1879〜1962)は名前は知っているものの、その生涯の概略さえ知らない人がほとんどでしょう。私もその一人で、〈正宗白鳥が臨死の床で植村環女史の祈りに唱和して「アーメン」を唱えた〉ことさえも本著で初めて知ったほどです。ここでは〈序章〉の冒頭部分のみを紹介してみましたが、この後に続く〈序章〉の中盤・後半でさえ、白鳥の生涯の大きな部分を論じていると思います。続く第1章から第3章では豊富な資料を基に白鳥の生涯と思想に迫っています。副題ともなっている第3章第5節は本著のまとめですが、私はあとがきも簡明な良い文章だと思っています。本当はそのあとがきを紹介することが本著を理解する上で最善なのですが、あえて止めました。ぜひ手に取って読んでみてほしいからです。正宗白鳥研究のみならず、明治生まれの一文学者を、そして21世紀という現代を理解する上でも読んでもらいたい本です。お薦めです。



個人誌『翔』38号
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2008.8.1 名古屋市緑区
おしだとしこ氏発行 非売品

<目次>
招待席 亡きこころの師 1

大根になりたい/尾崎淑久 4        サイダー/尾崎淑久 5
過客/DAIKI 6            懐帰/DAIEI 7
真昼の花火/おしだとしこ 8        山峡のながれ/おしだとしこ 8
試論 ことばの森のなかへ/おしだとしこ 9
労作の窓 17
エッセイ「扉をひらいて」 19
受贈詩誌・詩集 21     あとがき    表紙写真(花々たち)



 真昼の花火/おしだとしこ

祭りの夜のひとごみを
はぐれないように
たがいに小さな手をしっかりにぎって
ざわめきのなかを
ゆれているだけでよかった

街の公園では
噴水が落下するためにせりあがり
真昼の花火のように
きらめきながら砕けちって
昼も夜も祭りのはなやぎなのに

かつて 家族とよびあったものたちは
いま どのあたりをさまよっているのか
にぎりあった手をほどいて
歳月の闇をくぐり
都会の迷路にまぎれこんだものたちは
行方知れずのままだ

 〈花火〉は夜空に咲くものと思っていましたから、〈真昼の花火〉とは何だろうと興味津々でした。〈噴水〉のことだったのですね。その噴水のように〈昼も夜も祭りのはなやぎ〉だった〈かつて 家族とよびあったものたち〉が〈行方知れずのままだ〉というのがこの詩の主題ですが、対比の妙を感じさせます。〈たがいに小さな手をしっかりにぎって/ざわめきのなかを/ゆれているだけでよかった〉家族の不在を、私はそのまま人間の不在として捉えた作品です。



   
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