きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.9.27 栃木・和紙の里




2008.10.2(木)


 姪から昼食の誘いがありました。いつもは彼女の好きな、いかにも若い女の子が行きそうな店に連れていかれるのですが、今日は私の行きたい処で、ということになりました。熟慮に熟慮を重ねて、「18丁目茶屋」にしました。
 私の住んでいる南足柄市には
曹洞宗最乗寺大雄山導了尊といういかめしい名前の禅寺があります。天狗の寺、鉄製の大下駄のある寺としても有名かもしれません。どんな処かは、勝手にリンクを張っておきましたのでご覧ください。なかなか佳い処ですよ。

 その長い長い参道の途中に「18丁目茶屋」があります。その昔は歩いて参拝したわけですから、途中の休憩所として発達したものでしょう。お蕎麦程度の簡単な食事やちょっとした宴会もできるという店です。やや古めかしくて、いかにも中年好み(^^; そこで蕎麦を食べました。嫌がるかなと思ったのですが、けっこう面白がってくれてホッとしました。若い人でも古いものを好む人は意外に多いと思いますが、姪もその口だったようです。今度、友達にも紹介しようと言っていましたから…。
 私も久しぶりに訪れましたけど、回りは鬱葱とした杉林で、ああ、山の中に来たなという気分になります。やっぱり落ち着きますね。冬に来るのは厳しいかもしれませんが、それ以外の季節はいつ来ても心地好い処です。当地随一のお薦めスポット、ぜひ一度おいでください。



詩誌『回游』31集
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2008.10.1 神奈川県相模原市
南川隆雄氏方・回游詩人会発行 非売品

<目次>
◆詩作品
愛媛詩話会の帰り道   柳原 省三 2   芽衣           鈴木 珠子 4
「赤毛のアンとわが娘」  牧  豊子 6   犬            大山 久子 8
対面(他)       吉原 君枝 10   道(他)         神津 歌子 12
或る雨の午後      伊藤 冬留 14   脚            富田 庸子 16
いつだってわたし    横山 宏子 18   理髪店          松本秀三郎 20
わけの分からない不安  折山 正武 22   日日草の花に       臼田登尾留 24
夜空(他)       江田 重信 26   鈍感力とは        市川 つた 30
騒ぐ人         中村 節子 32   四季(十三)・(十四)   多田 晃三 34
植物園漫歩       南川 隆雄 38
◆私に詩が芽生えたころ
偶然読んだ詩から    坂多 瑩子 41
◆詩集を読む
石下典子詩集『神の指紋』市川 つた 42   金敷善由詩集『薔薇の定義』南川 隆雄 43
松沢 桃詩集『青惑星』 南川 隆雄 44
◆受贈詩誌・詩集          45
◆あとがき             46   ◆表紙絵 露木恵子



 愛媛詩話会の帰り道/柳原省三

愛媛詩話会の帰り道は
薄霞の海岸線に沿って走る
列車の窓の景色をぼんやり眺め
眠気を誘うように揺られながら
会合の様子を思い起こす

中四国詩人会参加への提言は
真面目に検討されるのであろうか
詩はつるんで書くものではなく
一人一人の世界だと
いつか誰かがいっていた
団体に対する考え方も様々だ

けれども詩集誌や文通で親しい人と
会って歓談できる機会を
提供されるのは魅力である
現代詩は先ず親しくならないと
読んでもらえ難い現実もある

好みの詩を書く女性詩人が
美しく才気輝く人であったりすれば
掛け値なしに感動してしまう
また同じような男性詩人が
類希な変人奇人であったりすると
人生そのものが楽しくなってくる

だからぼくは小遣いはたいて
妻の顔色を伺いながらも
せっせと詩会に出かけている

 多かれ少なかれ〈詩会〉に加わっている人には賛同してもらえる詩ではないかと思います。たしかに〈詩はつるんで書くものではなく/一人一人の世界〉かもしれませんが、切磋琢磨という意味でもつる≠゙ことも必要だと私は思っています。もちろん、一番大きな理由は〈会って歓談できる機会を/提供されるのは魅力である〉のですが。そして〈人生そのものが楽しくなってくる〉ような人に多く巡り合えるのも〈詩会〉だからこそ、と云えましょう。作品は、詩を書いている人なら誰もが感じていることを上手くまとめたと思います。



詩とエッセイ『胚』24号
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2008.10.10 神奈川県相模原市
南川隆雄氏発行 非売品

<目次>
●連載 戦後現代詩の伏流『新詩人』−初期の足跡−(4) 4.創刊二年目 2−11
●詩  ごまめ 12−13
    大脳皮質の街 14−17
●ずいひつ 元兵士の証言 18−19
●あとがき(敬われる木々) 20



 ごまめ

なにかないかな 醤油味のもの
冷蔵庫の奥 まさぐる
銀紙に包んだ得体のしれないもの
正月の残り物 ごまめのひとかたまり
甘露煮のはぜの形に固まっている

そうか 冷蔵庫の隅で
皆して抱き合って
じっと耐えていたわけだ
すぐにまとめて往生させてやろう
口のなか胃袋のなかで
お茶漬けの飯粒ともども
なくなってしまうんだぞ
そう 無に帰する わけだ

がっとかみ切ると
十数匹束になったごまめの
さまざまな断面があらわれる
頭の断面 胴の断面 尾っぽの断面
ごまめの魚(とと)まじり
さぞ肩身の狭い思いをしたことだろう

でも すべて潔く忘れろ
さっぱりと
お茶漬けさらさらかっ込むぞ
正月以来の 好物のごまめの醤油味

 拙HPでは初めての紹介になる南川隆雄さんの個人誌です。紹介した「ごまめ」は拙HPの名前「ごまめのはぎしり」とは全く関係ないのですが、何やらコソバユイ思いをしています。私は〈皆して抱き合って/じっと耐えてい〉る〈十数匹束になったごまめ〉ではなく、情けない1匹のイメージで命名したのですけれど、〈肩身の狭い思い〉は同じかもしれませんね。作品は、そんな〈ごまめ〉を〈すぐにまとめて往生させてやろう〉としているわけで、いずれ〈無に帰する〉ものを、実はあたたかい眼で見ていると思いました。



詩とエッセイ『想像』122号
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2008.10.1 神奈川県鎌倉市
羽生氏方・想像発行所 100円

<目次>
ごくらくとんぼ・………………………………………… 1
北航路−旅日記抄(5)…………………………井上通泰 2
広島県・野山の植物の写真はがき(4)撮影 菅 泰正 4
くり返し見る夢・………………………………羽生康二 5
詩・「柿の花」ほか……………………………羽生槙子 6
「三番瀬」とラムサール条約登録湿地………羽生槙子 9
花・野菜日記08年8月…………………………………… 10



 夏/羽生槙子

夏が好きか? と友だちに聞かれます
ああ ずうっと昔
夏が大好きでしたよ 子どものころ
四国の海辺の田園で 梅雨の終わり 学校の帰り
空の一部に青空がひさしぶりに見え
梅雨が終わる 夏が来る
と 母に早く知らせたくて
野道をうちまで走って帰ったことがありました
その時ツバメが田の稲をかすめて低く飛んだ情景と
遠景の家々が
今もありありと目に浮かびます

夏が来る とは 泳げる夏が来るということです
学校が夏休みに入ったら八月の終わりまで 毎日
昼ごはんを食べると近所の子らと連れ立って
海へ泳ぎに行きました
やけどしそうに熱い砂浜を
アチチ と思いながら 追い立てられるように
海に走り込みました
ハタンキョウやそら豆の炒り豆を
袋に入れて水際に浸しておいたことがありました
夏はどんなに暑くてもいい そう思いました
それで 飽きたことがなかったのです
あれは
豪盛なあれは 何だったのでしょう
過ぎてしまったあれは 何だったのでしょう

 〈梅雨が終わる 夏が来る/と 母に早く知らせたくて〉というフレーズが佳いですね。作者は〈子どものころ/四国の海辺の田園で〉過ごしたからでしょうか、〈空の一部に青空がひさしぶりに見え〉たというところに南国らしい明るさを感じさせます。終わりの〈豪盛なあれは 何だったのでしょう/過ぎてしまったあれは 何だったのでしょう〉というフレーズにも惹かれます。私にとってもたしかに、本当に〈豪盛な〉夏でした。底抜けの明るさと〈過ぎてしまった〉時間を二重写しで見せてくれた佳品だと思いました。



   
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