きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.10.9 八方池 |
2008.11.18(火)
その2
○個人詩紙『おい、おい』58号 |
2008.6.6 東京都杉並区 岩本勇氏発行 非売品 |
<目次>
詩 なあんだ金なのか
たましいの枚数
元祖フリーターの伝(十五)
なあんだ金なのか
金がないとつき合いも出来ない
とは
よく言ったもので
つき合いが出来ないとコドクにもなってしまうもので
とは
よく言ったもので
だから私もコドク?
なあんだ
そういうことか
だから
こんなにも誰にも愛想よく
こんなにも一日置きにフロに入り
こんなにも毎日ヒゲを剃り
こんなにも毎日下着を取り替えているのに
なあんも
効果がないということか
なあんだ
そういうことか
だから
なあんも呉れない私からは公園のハトも
去っていくということか
なあんだ
そういうことか
なあんだ
金なのか
〈金がないとつき合いも出来ない〉ということを頭では解っているつもりですけど、その具体例として〈公園のハト〉を持ち出してきたところがおもしろく、岩本勇という詩人らしいなと思いました。結局、世の中はヒトも鳩も〈金〉なんですね。会社を早期定年退職して、だんだん懐が淋しくなってきた私には、実感できる作品です。
○個人詩紙『おい、おい』59号 |
2008.7.6 東京都杉並区 岩本勇氏発行 非売品 |
<目次>
詩 保留
自我
設問
元祖フリーターの伝(十六)
設問
男は
一人でも多くの女を
抱いてみたいと思い
女は
一人でも多くの男に
抱かれてみたいと思い
ただ
それだけのことを
むずかしく言うな
失礼ながら、思わず笑ってしまいました。〈女は/一人でも多くの男に/抱かれてみたいと思〉っているかどうか、私には解りませんが、〈男は/一人でも多くの女を/抱いてみたいと思〉っていることは間違いないでしょう。〈ただ/それだけのこと〉なのに、恋愛論や哲学などを考えていることは高尚な気がしていましたけど、〈むずかしく言うな〉と言われると、まったくその通りですね。平伏!
○個人詩紙『おい、おい』60号 |
2008.8.6 東京都杉並区 岩本勇氏発行 非売品 |
<目次>
詩 無名ゲージツカたち
少しづつ
元祖フリーターの伝(十七)
少しづつ
少しづつ
少しつつ
こわれていっている
少しづつ
少しづつ
世界はこわれていっている
少しづつ
少しづつ
にんげんはこわれていっている
その少しづつの
こわれに
気がつかないことを
ドンカンとも呼ぶし
幸福とも呼ぶ
こちらも盲点を突かれた作品だと思いました。私は以前から〈ドンカン〉と〈幸福〉は紙一重だと思ってきましたが、この作品はそれを〈世界〉と〈にんげん〉とで具現化していて、見事です。詩人は、こういう視点を持つことが大事なんでしょうね。
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