きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.10.9 八方池




2008.11.30(日)


 横浜詩人会第6次ネプチューンシリーズ刊行完結記念合同出版記念会という、ながーいタイトルの出版記念会に出席してきました。場所は野毛の「きんぴらキッチン」という面白い名前のイタリアンレストランで、午後3時から。30人ほどが集まりましたけど、身動きができないほどで、その分、膝つき合わせてという親密さでした。今回のネプチューンシリーズは全部で16冊が刊行されていまして、ほとんどの著者が出席していました。印刷会社の担当者も出席して、横浜詩人会の地域密着性もよく表れているなと思いました。
 2次会はシリーズ参加のお一人に誘われて、印刷会社担当者とともに福富町のお店へ。男3人、終電までバカ話に興じました。誘ってくれたRさん、ありがとうございました!




伊藤浩子氏詩集『名まえのない歌』
現代詩の新鋭1
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2008.11.11 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1800円+税

<目次>
冬 10                   花 12
土祭 14                  楽器 16
井戸 18                  陶器 20
寺院 22                  少女たちの歌 春の歌 24
黄昏 28                  祈り 30
少年の祈りの歌 なまえ 34         妻 38
靴下 40                  ジャック・ダニエルの夢 サンクチュアリ 42
海 46                   夢解きの歌 ゆめのわたり 48
木霊 52                  石室 54
青年の歌 からだ 56            笛 60
朝 64                   眼を覚ました少女の歌 木霊の夢 66
懐かしい窓 70               ジャック・ダニエルの妻の歌 樫の木 72
少年 76                  わたしたちの歌 海ときみときみの歌と 80
白蛇 86                  名まえ 88
変化 90                  兵士 92
守人 94                  影 96
日記 98                  終わりと始まりの歌 葬列 100
春 104
夢解きの住む場所 〜あとがきに代えて〜 107




 


真白な景色に挟まれながら、空色の服の兵士たちは、ジャック・ダニエルの
手下のように多くの犬を殺すに決まっている。
死んだ犬の耳と鼻は、そのまま、兵士たちの耳と鼻になるから、落ちてくる
血の音と匂いには臆病なほど敏感だ。

昨日までの青春はまぶしいだけで、家族と同じように窮屈だった。肉のぬく
みは禍々しい。
靴もきちんと履かないうちに彼らは家を出る。出て行くときはドアを閉める
だけでいいと、教師たちから教わった。
兵士たちの瞳の光は薄く、歌はない。

ジャック・ダニエルは、この冬の間中、犬を殺し続け、戦争を辞めないと宣
言した。もし辞めてしまったら、それは戦争に負けたことになると信じてい
るから。
負けたらどうなるか、分かっているかい? それが合言葉だ。
兵士たちはジャック・ダニエルを父の名で呼ぶ。
死んだ犬の大文字の首輪を、等間隔に並ぶ電信柱に括り付けて、兵士たちは
靴紐をもっときつく結びなおす。
サーベルが雪道に淡い影を作り、道の途中、母親がくれたハンカチをポケット
の中で握り締める。

ゆっくり歩けば、それだけゆっくり年をとる。
大地に流された血の痕には、春になると、真赤な花が咲く。

 第一詩集のようです。ご出版おめでとうございます。この詩集の特徴を帯文は端的に表していますので紹介してみましょう。
<その空の向こうで戦争が続いている。
 「お父さん、あなたはなぜぼくを捨てたのですか?」
 失われた名まえを取り戻すために、ぼくたちは旅は始まる――
 さまざまな声が融け合い一つの物語を語り出す交響的・総体的な連作長編詩>

 ここでは冒頭の「−旅−」を紹介してみましたが〈交響的・総体的な連作長編詩〉の始まりを感じさせる作品だと思います。〈落ちてくる血の音〉という詩語、〈ゆっくり歩けば、それだけゆっくり年をとる。〉というフレーズだけでも著者の並外れた感覚を知ることができると云えましょう。シリーズ「現代詩の新鋭」1号にふさわしい詩集です。今後のご活躍に期待しています。




詩と評論PF36号
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2008.11.20 静岡県菊川市
ピーエフ編集部・溝口章氏発行 500円

<目次>
溝口 章  聖考 壱八 蝉曼茶羅……………2
溝口 章  無のコスモロジー序説(十二)…12
武士俣勝司 般若…………………………………17
嶋田 峰子 赤い色………………………………20
編集後記……………………………………………22




詩誌『たまたま』17号
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2008.12.1 東京都多摩市
小網氏方・たまたま本舗発行 300円

<目次>
■ 
吉元  裕 家族の検索・電話道 訓 2
小網 恵子 煮る 6
松原 みえ 午後の社会保険事務所・行方不明 8
富山 直子 ひらいしん 12
李  美子 郷愁さらさら・いわし談義 14
皆川 秀紀 僕らの
Big Motherは何処か・Walking Rain 18
丸山 緑子 その時には・古希の秋 22
おのめぐみ 夜の記憶 26
      短歌 ★ 冬の夜空 29
エッセイ
同窓会でのこと 李 美子 30
十月の木崎湖にて 丸山緑子 34
反省 松原みえ 36
正しい状態 小網恵子 38
隣の晩ごはん 吉元 裕 40
オールド・シネマ・パラダイス 〜「天国と地獄」篇 おのめぐみ 42
●訳持 私が読んだ韓国詩 高炯烈詩集『夜 彌矢嶺』から 訳 李 美子 45
●詩集紹介 斎藤恵子詩集『無月となのはな』を読んで 小網恵子 48
表紙・吉元 裕



   
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