きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.11.21 静岡県裾野市・五竜の滝




2008.12.16(火)


  その1

 今日も特に予定はなく、いただいた本を読んでいました。




菊池唯子氏詩集
『すすきの原 なびいて運べ』
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2008.10.28 東京都新宿区 思潮社刊 2400円+税

<目次>
T
雫 10         寒い夜に 12      そこに 15
いちばん低い音を 18  水源 20        光の冠 23
渓流 26        夏の丘 28
U
雪 32         波 34         あし 37
日常 40        梁川 42        不動の滝 45
通りすぎて 48     近い影 50       離れて 53
返信 56
V
零下二十度 60     不来方城址 62     二月 64
手のひらのうちに 67  ある日 68       男 71
聞く 74        その日 76       八雲立つ風土記の丘にて 78
歩く 81        なごり雪 84      それでも 86
春に 88
あとがき 92
装画・板垣崇志 装幀・思潮社装幀室




 
水源

山の懐に住んでいるから
山女
岩の上で髪をすき
夜の木の間を
走る

霧は出ていなかった
風は誘わなかった
いなかった人を追って
木の葉を
踏む

男は峠の向こう
傷めつづけた骨を
折って
眠る

すすきの原
なびいて運べ
朱塗りの椀を一つ

家があれば家から
水があれば水から
星があれば星から
今日のいのちを汲み取るために

重なる稜線の四周に
生き物の気配が満ちて

水源は
星空

 9年ぶりの第3詩集のようですが、拙HPでは初めての紹介になります。タイトルポエムの「すすきの原 なびいて運べ」という名の作品はありません。紹介した「水源」の第4連から採ったと思いますけれど、こういうタイトルの付け方というのはニクイですね。「T」は著者の住む岩手県盛岡市の山から題材を得たと思われる作品が多く、「水源」はその中でも中核を成す詩と云えましょう。〈すすきの原〉が〈今日のいのちを汲み取るため〉の〈朱塗りの椀を一つ〉、〈なびいて運〉んでいる様子が鮮やかに浮かんできます。最終連の、たった2行置かれてフレーズ、〈水源は/星空〉という詩語とともに、菊池唯子という詩人を知ることができる佳品だと思いました。




詩誌『GANYMEDE』44號
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2008.12.1 東京都練馬区 銅林社発行 2000円+税

<目次>
巻頭翻訳 夏のすごし方規程(十二の時制による) ヴェーラ・パーヴロヴァ たなかあきみつ訳 4
エッセイT 法橋 登 歴史的現実からマラルメヘ 24
エッセイU 小笠原鳥類 動物、博物誌、詩−岡井隆の動物の短歌についての感想 26
翻訳連載詩 同一テーマの三つの詩 ハンフリーとギレン・サールヘ イーディス・シイットウェル 藤本真理子訳 35
詩作品T
岡本勝人 坂道で星の幽霊にであった 56
.   山岸哲夫 坂道 他三編 69
里中智沙 盛夏 78
.             丸山勝久 旅 85
山田隆昭 球体にて 90
.           久保寺亨 「白状/断片」Z 95
平塚景堂 月は沈みぬ 100          山田まゆみ 記憶あるいは私 他二編 105
進 一男 かつて光があった 3 110     中神英子 ハンカチ 120
くらもち さぶろう うし その ほか 130  荒木 元 連詩《四月の自転車の記憶》140
岡野絵里子 SHADOWS 7 148     松本一哉 アンコールワットの少女たち 他一篇(東南アジア記(6)(7)) 156
平野光子 水引草 164
翻訳詩 連作「洞窟の鳥たち」より テッド・ヒューズ 福井久子訳 169
短歌作品
林 和清 バルト・ロシア紀行「露の国」 182
. 鳴海 宥 Kangchenjunga 186
川田 茂 風 190              沼谷香澄 、谷津の 196
和泉てる子 「人間ドック」 200        小塩卓哉 不可視の闇 206
詩作品U
藤本真理子 うらのクチュリエ 210
飯浦 敏 ウヤウクリ 213          相良蒼生夫 自由を得て(二) 216
吉田博哉 バラ男 223            浜江順子 月透谷 226
中山直子 ロシアの蝋燭 他三篇 229     野村喜和夫 ルリ大街道 242
片野晃司 大庭園 250            望月遊馬 うさぎ 254
森 和枝 アンチーク・ショップ 258     吉野令子 (意味もなく)――溌刺と生きものでいたいから手が動く 262
松下のりを 鏡 268             仲嶺眞武 放下と解脱 他五篇 272
小笠原鳥類 イタチ 276           篠崎勝己 余白に Z 284
梢るり子 「暮れなずむ」 288         紫 圭子 閾 294
中原宏子 落ちる 298            小林弘明 エルデナ 302
渡辺めぐみ 旅路は続く 306         海埜今日子 《いきものがたり》紙、鉛筆 310
歌壇時評 小塩卓哉 表現の原野へ 313
詩壇時評 片野晃司 「無」をめぐる気まぐれな散策 321
編集後記 329




詩誌『左庭(さてい)12号
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2008.12.15 京都市右京区
山口賀代子氏発行 500円

<目次> 表紙画…森野道子「風の声」
【詩】
静かに、毀れている庭 岬 多可子…2    あてどなく    岬 多可子…4
蝋梅         山口賀代子…8    金木犀      山口賀代子…10
【俳句】脱じぱんぐ  江里 昭彦…12
【さていのうと】
・祥月命日      江里 昭彦…14    ・光源氏の始末  山口賀代子…15
・今回はうさぎのこと 岬 多可子…16
【小論】舟知恵の短歌を読む(その二)             岬 多可子…18
つれづれ                           ………………24



   
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