きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.2.3 千葉県鴨川市・仁右衛門島




2009.3.9(月)


 
国立国会図書館の新館講堂で開催された「電子書籍の流通・利用・保存に関する調査研究」報告会を聞いてきました。現在、私が日本ペンクラブで関わっている電子文藝館とは直接関係がないんですが、電子文藝館委員会の以前の組織であった電子メディア委員会で議論していたことでもあり、個人的には興味が続いていますので、聞いてみようと思った次第です。

 報告は電子書籍概論、電子書籍の流通、電子書籍の利用、電子書籍の保存の4つで、専門の大学教授や業界の取締役などが行いました。それぞれに意義のある報告だったと思いますけど、なかでも最後の「電子書籍の保存」には考えさせられました。これは中西印刷という会社の専務さんが報告してくれたもので、フロッピーにしろCD-ROMにしろ、せっかくデジタル化したデータの保存が危ないんじゃないかという指摘です。これは私たちも体験していることで、よく判りました。すでにフロッピードライブを搭載していない機種も出回っていて、CD-ROMやDVD-ROMもいずれ同じ運命にあります。むかしワープロで書いた文書が読めない!という悩みを抱えている人は多いんじゃないでしょうか。では、最新のUSBメモリー、あるいはネットワーク保存と試みても、原理的には同様の危険に晒されます。

 その原因は、書かれた内容については興味のないパソコンメーカーやソフトメーカーの姿勢にあるわけですけど、そこを追求してもあまり意味はなく、メーカーからはテキスト形式で残せるようにしていますよという返事が返ってくるだけだと思います。そこでユーザーとしては数年おきにパソコンを買い換えて対応するわけですけど、専務さんはそれを「電子式年遷宮」と呼んでいました。大きな神社などは数十年おきに遷宮をして、建物の永続を図るわけですけど、電子データもそれをやらないといけないのではないか、特に国会図書館は、というわけです。

 まあ、図書館は予算が付いてOKでしょうが、個人としては数年おきの買い替えはツライものがありますねえ。しかし、20年に亘るデータの継続にはそれもやむを得ないでしょう。ただ、私としては多少お利巧になって、最近では新品のパソコンを買わないようにしています。ネットで売られている1〜2万の中古パソコンで何の問題もありません。これなら毎年でもできる(^^;

 当日の詳しい内容は、
http://current.ndl.go.jp/FY2008_research に出ています。興味のある人は覗いてみてください。




文芸誌『言の葉倶楽部-U』2号
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2009.2.28 山形県上山市
書肆犀事務局・言の葉倶楽部刊行会発行 非売品

<目次>
◎スカスカな田舎で生きる 安達敏史 2
◎前略 島耕作様 高橋英司 7
◎短歌 ふたとせの 尾崎まりえ 12
◎ぐうたら草 菊地隆三 17
◎「父と暮せば」演劇公演へ向けて 高橋美代 21
◎いのち果てるとき 佐藤藤三郎 26
◎詩/雪 大江利知 32
◎詩/森の絃 をゝさわ英幸 34
◎「モンテディオ山形フルモデルチェンジ構想」所感 高 啓 36
◎吉田大八と上山藩 岩井 哲 43




 短歌/ふたとせの 尾崎まりえ

居た場所に 居ない我が身を呼ぶ声は
   幼かりし日の「かくれんぼ」の君

人生のゴールちらつき観るテレビ
 ジェットコースターの娘
(こ) 我を追い抜く

検査後に
  灯る名前は
〔C14〕
 裁きも決まり閻魔の前へ
               
※予約時間帯と受付番号

「愛」と「恋」
  歌に携え乗り込めば
   独りの舟も 愉しからずや

二十二の吾子の躯に息づいて
     明日
(あした)の明日(あした)も微笑む私

生きるため
   自ら尻尾を切り逃げる
  トカゲの覚悟で麻酔に落ちる

 拙HPでは初めて紹介する文芸誌です。山形県在住の会員がほとんどで、多くの作品から山形に対する思いが伝わってくるようでした。
 ここでは尾崎まりえ氏の短歌の冒頭部分のみを紹介してみました。短歌についてはまったくの門外漢ですが、〈居た場所に 居ない我が身を呼ぶ声は/幼かりし日の「かくれんぼ」の君〉など、詩的だなと思います。〈居た場所に 居ない我が身〉とは時間の喪失だけではなく、身体の成長とともに忘れられていく身体の記憶をも謂っていると採りました。〈生きるため/自ら尻尾を切り逃げる/トカゲの覚悟で麻酔に落ちる〉も佳いですね。手術の経験はありませんけど、術前の患者の気持ちがよく出ていると思いますし、トカゲの尻尾切りに託した視点が見事だと思いました。




詩誌『詩区 かつしか』116号
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2009.3.20 東京都葛飾区 池澤秀和氏連絡先 非売品

<目次>
ほりきり酒場/小川哲史            筆名/小川哲史
阿弥陀経/小林徳明              こころの旅路/小林徳明
にがい朝/しま・ようこ            ひとかげ/みゆき杏子
足を止めて/工藤憲治             太陽の花時計/工藤憲治
階段/内藤セツコ               はぐくむ/池沢京子
きたかぜ と 謳う/池澤秀和         早春の朝に/堀越睦子
横向きの人/青山晴江             人間123 妻の癌/まつだひでお
人間124 四〇〇〇キロはるかな海(ミッドウエー)/まつだひでお




詩誌『砦』3号
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2009.3.31 沖縄県南城市 橋渉二氏発行 非売品

<目次>
絵「出エジプト記」
詩 楽園 4     逃れの島 10     残されたもの 16
イエス生誕の時−「イスラエル・ノート」補稿
雅歌 2:11-13(新共同訳)
あとがき



   
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