きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.4.18 東京国立博物館・平成館




2009.5.3(日)


 庭木の剪定をやりました。午前8時から始めて、終わったのが午後3時。梅や百日紅は単独の木なので楽でしたが、家の南西と西を囲っている垣根にはマイリマシタね。まあ、久しぶりにジャングル状態が解消されましたので良かったですけど。本当は季節ごとに剪定しておくと楽なんでしょうが、なかなかそうもいきません。近所の手前もありますので、時々はやっておこうと思っています。




野上卓氏詩集『仮定法過去完了』
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2009.3.27 東京都世田谷区 私家版 非売品

<目次>
戦争           3          秋立つ          4
旅立ち          7          通俗的          10
深夜の電話        13          らせん          17
飛行場のあとのコスモス畑 19          夜の向こう側       21
世界の今日        26          解雇する         29
イラスト 野上洋子




 
夜の向こう側

夜が凍てついている
私はコーヒーを飲んでいる
サイフォンで淹れた ハワイ・コナである
ヘレン・メリルが、静かに唄っている
とっておきの時間である

足もとに地球がある
地球は冷えて
地表の虫たちは死に絶えている
少し土を掘り下げれば
浅い眠りの小さな生き物たちが這い出してくるのか
だが、花壇に盛られた泥の下は
厚いコンクリートで固められている

地球は球体で
世界はつながっている

中国ではまだ夕方だ
日本産の霜降り肉に舌鼓を打つ役人出身の資本家と
腐りかけた肉と農薬漬けの葉物が包まれた餃子を喰らう農民戸籍の労働者が
距離をおかずに呼吸している
天安門広場では偉大なる毛主席の写真が
微笑んでいる

西を目指せば
イスラム原理主義の若者たちが
機関銃を磨いている
憎しみが金属を美しく装う
女たちが眦(まなじり)を決しているのは
自らが爆弾となる決意をしたからだ

ヨーロッパでは、午前九時
少し寒いが、気持ちのいい朝だ
三か月もたてば 英国は
しろしめす神の季節
かたつむりがはい
ひばりがうたいだす

その南にくだろう
アフリカ
人類発祥の地だ
昨日、眠った兄弟が今日は起きてこない
エイズや飢えや疫病が
当たり前のようにそこにはある
母親の乳房のうえで
今日も嬰児が死に続ける

ああ、なんと寒い夜だろう
だれかがテレビをつける
ヘレン・メリルの歌声に
漫才のノイズが重なる
ああ、なんという豊かさだろう
なんという静けさだろう

 拙HPでは初めて紹介する詩人で、お送りいただいた詩集は31年ぶりの第2詩集です。あとがきからは私と同年代の方ではないかと推測できます。本詩集には高校の文芸部時代から始まって現在まで、年代順にコンパクトに作品が収められていました。ここでは最も長い最近の作品を紹介してみました。〈とっておきの時間〉に〈私〉が感受する〈地球〉の様々な姿。著者の基本的な姿勢がこの中にはあるように思います。〈ヘレン・メリルの歌声〉を聴きながら、〈なんという豊かさだろう/なんという静けさだろう〉と感じながらも世界の矛盾を突くのは詩人本来の仕事です。詩団体に属したことはないそうですが、今後のご活躍を祈念してやみません。
 なお、第1連2行目は〈飲んである〉となっていましたが、誤植と思い訂正してあります。ご了承ください。




詩誌Void21号
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2009.4.30 東京都八王子市
松方俊氏ほか発行 500円

<目次>
『詩』
乱刃 …………………………飯島 研一 2    なづきの、鬼火 ……………原田 道子 4
新鮮と安心を食卓に… ……小島 昭男 6    海辺の散歩 …………………森田タカ子 8
水のない魚 …………………松方  俊 12
『小論』寄贈詩誌から ……中田昭太郎 15    『詩』かぜがやってきた …中田昭太郎 16
後記…森田タカ子・中田昭太郎・小島昭男・松方俊 20




詩誌『環』132号
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2009.4.30 名古屋市守山区
若山紀子氏方・「環」の会発行 500円

<目次>
加藤 栄子 妖怪村 2             若山 紀子 あそぶ 4
神谷 鮎美 ぎもんふ 6            菱田ゑつ子 不問 9
鈴木 哲雄 碁盤の目通り 12          高梨由利江 分岐する 14
東山かつこ 椿山のある村 16          安井さとし サヨリ 18
<かふえてらす> 加藤栄子 安升さとし 神谷鮎美 東山かつこ 21
<あとがき>  若山紀子 26
表紙絵 上杉孝行






   
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