きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.4.18 東京国立博物館・平成館




2009.5.24(日)


 ある詩誌から「私に詩が芽生えたころ」というシリーズのエッセイを寄稿するよう頼まれて、下記のようなものを書いて送信しました。つまらない作文ですが、よろしかったらお読みください。


 
嘘つきは詩人の始まり  村山精二

 生まれて初めて詩らしきものを書いたのは小学校6年生のときでした。クラスの卒業文集の表紙がサボテンの絵で、それに合った詩を書けと、なぜか私が指名されました。10行ほどの詩をうんうん唸って書いたことを覚えています。
 実は実際のサボテンを見たことがなかったのです。見たことがあるのはの漫画の中と、白黒テレビの西部劇の画面です。想像力を膨らませて、中身は水だという乏しい知識をフル動員してでっち上げました。

 次に書いたのは中学1年だったと記憶しています。国語の時間に書かされたのではなかったかと思います。タイトルは忘れましたが、クリーニングから仕上がってきた白いYシャツの詩を書きました。
 ところがこれがまったくの嘘。もう半世紀近く前のことですから、当時、田舎の町にもクリーニング店はあったものの、そこへ出す家など少なかったのです。ましてや私の処はあばら家の貧乏暮らし。Yシャツをクリーニグに出すなど、逆立ちしてもあり得ません。それを知らん顔してせいせいと提出しました。あとになって「嘘つきは作家の始まり」という言葉を覚えましたが、詩人も同じなのかなと妙に納得しました。

 なぜそんな嘘を書いたのか、いまだによく分かりません。ただ、当時思っていたのは、詩にしろ作文にしろ、ありのままを書いただけでは面白くないだろうということです。本が好きでよく読んでいた方だと思うのですが、書かれているのは嘘ばっかり。心の優しい、見目麗しい女性など身の回りにいないし、足の長い細身のイケメン(当時はこんな言葉はありませんでしたが)なんて一人もいませんでした。でも、小説の主人公はみんな格好いいのです。これは現実と違うなと思いながら、それでも楽しんでいました。楽しいと、また学校に行こうという気になったのです。

 この人生最初の2編はいまだに尾を引いているように思います。詩を書くと必ずどこかに嘘を入れたくなります。そうしないと気持ちが悪いし、作品が出来た!という気になりません。長じてからの生業が化学分野でしたので、論文に嘘は書けません。そのストレスから作品には嘘を、となった、とは自己弁護でしょう、たぶん。で、この文章にも嘘が!?




詩とエッセイ『杭』51号
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2009.5.20 さいたま市大宮区
廣瀧光氏代表・杭詩文会発行 500円

<目次>
■詩■
別れ日の色彩         槇  晧志 2  繕いもの            大谷 佳子 10
もんぺ            山丘 桂子 12  何故              比企  渉 15
謎の都市           尾崎 花苑 18  百日柿の許           石川 和枝 21
ガリちゃんの小さな冒険    池上眞由美 24  白いタンポポの花が       白瀬のぶお 26
地球の臍           二瓶  徹 28  後悔しないで         長谷川清一郎 30
未明             伊早坂 一 32  冬の向日葵           廣瀧  光 34
届いたかな!         齋藤 充江 36
■エッセイ■
「槇 晧志を偲ぶ会」      尾崎 花苑 8  「萩原朔太郎の戦争観」      河田  宏 39
早稲田ノート 1956〜1957   平野 成信 42  ベトナム解放・統一30周年を祝う旅 平松 伴子 50
母(五)           郡司 乃梨 58  2009年独り言はじめ       笠井 光子 60
想う(エゴのはざまに)    遠藤 冨子 62  17歳の私            三浦 由喜 63
題字・槇 晧志




個人誌『軌跡』47号
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2009.5.25 三重県鈴鹿市
津坂治男氏方・稽古舎発行 非売品

<目次>
詩    
shall・ミサイル 2
評伝   やまと魂・谷川士清(その一、而立まで) 4
エッセイ 非人称の詩空間(戦中・戦後) 10
     ほんとうは?(完) 9
     増殖する“自由”――あとがき 12




詩誌『詩創』17号
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2009.5.31 鹿児島県指宿市
鹿児島詩人会議事務局・宇宿一成氏編集
茂山忠茂氏発行 350円

<目次>
特集・詩の言葉
ぼくの詩の言葉/ぼくの詩‥‥‥伊藤眞司 3   詩の言葉 叙情詩と叙事詩‥‥‥‥‥岩元茂 7
詩の言葉とは何か‥‥‥‥‥‥‥植田文隆 11   飛翔するための言葉‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 12
貧しい絵描き‥‥‥‥‥‥‥‥おぎぜんた 14   詩の言葉とは何か‥‥‥‥‥‥綱木平十辞子 16
ダイナミックな逸脱‥‥‥‥‥‥田中秀人 18   詩の言葉とは何か‥‥‥‥‥‥‥‥中俣勝義 21
咲くとき‥‥‥‥‥‥‥‥はなすみまこと 22   詩の言葉とは何か/はなぐもりの空‥美 澄 23
詩作品
言葉も尽きて‥‥‥‥‥‥‥‥おぎぜんた 26   枯れ葉の物理学‥‥‥‥‥‥‥‥おぎぜんた 28
プライド‥‥‥‥‥‥‥‥‥桐木平十詩子 30   やはらかに‥‥‥‥‥‥‥‥‥桐木平十詩子 32
帰り道‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥桐木平十詩子 34   記憶 T‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥妹背たかし 36
記憶 U‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥妹背たかし 37   桜の木の下で‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥田中秀人 38
髪‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥茂山忠茂 40   骨‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥茂山忠茂 42
もう一歩だけ‥‥‥‥‥‥‥‥‥植田文隆 44   なつかしくて‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥植田文隆 46
キリシマ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥尾堂香代子 47   ひったくり‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥岩元昭雄 48
美しい 匂い‥‥‥‥‥‥‥‥‥岩元昭雄 51   今居るここで‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 53
その固有の命を‥‥‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 54   命 −三色董に寄せて‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 55
温暖化防止策(1)‥‥‥‥‥‥野村昭也 56   流れて尽きず(4)‥‥‥‥‥‥‥野村昭也 57
予告‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥野村昭也 59   雲雀‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 62
サイレン‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 64
詩集評・詩誌評
培養室‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 65   おたよりから‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥76
詩創十六号読後感                後記‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥82
頭を打ち打ち生きて‥‥‥‥‥尾堂香代子 73   受贈詩誌・詩集‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥83






   
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