きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.5.16 新潟・大棟山美術博物館(坂口安吾記念館) |
2009.6.6(土)
♪6月6に雨ふって〜 の唄通り、雨の土曜日。なぜか体調が悪く、午後2時から翌日まで寝てしまいました。酒も呑まずに(^^;
○黛元男氏詩集『地鳴り』 |
2009.6.23
東京都板橋区 コールサック社刊 2000円+税 |
<目次>
第一章 最後の煙草
最後の煙草 10 家屋解体 14 花火遊び 17
たてがみ 20 昼の金星 24 ある騒乱 27
ぼくの富士 36 壕の中 40 空港にて 44
方舟 46 梨園 51 ガジュマルの木 54
針の山 58
第二章 地鳴り
地鳴り−浅井十三郎と村人に 64 雪の嘆き 68
松阪牛 71 水銀(みずがね) 75 水銀(二) 80
飢えるクマ 85 イカとぼく 88 萓生(かよう)城址 91
第三章 介護日誌
青い崖 98 満月 100. 境界型糖尿症候群 103
魔物 108. 海の女 111. リハビリテーション 114
介護日誌より(1) 116 介護日誌より(2) 119 介護日誌より(3) 122
介護日誌より(4) 124 介護日誌より(5) 127
あとがき 132
略歴 134
地鳴り
――浅井十三郎と村人に
越後の山麓から
ひとりの詩人がよみがえる
火を噴いて屹立している浅井十三郎
九尺の雪が軒下をうずめる豪雪地帯に住み
電線をまたいで歩く村の道
積雪を割って苗代をつくり
ヤロビ農法の種子をまきつける
四、五反の田畑の土に心血を注いだ
困窮と飢餓
の重い火焔を背負いつつ
詩の鬼となった
詩誌「詩と詩人」と詩書の刊行
が どれほどかれの家計を圧迫したか
着物がなくなり畳がなくなる負債の日々
どしておらのうちはフトンが無いのかという子供
だが 五〇年代
その雑誌に
リアリズム詩人の若い俊英たちが集って書き
地方から反乱し
芸術の野望を燃えたたせた
五六年六月一一一号のうら表紙
黄ばんだ地に刷られた六号活字の発行所が
ぼくの目をうばう
新潟県北魚沼郡広神村並柳 詩と詩人社
あ 浅井十三郎の村は
震度7の川口町から15キロ
全村民が避難した山古志村から10キロ
まさに震源地ではないか
山が動いた
山が消えた
棚田がくずれ落ちた
言葉を失った村人が喉から声をしぼり出す
自転車から落ちて頭部を強打する。田の畦がくずれていたのを修理
したあと寝につくが、出血が止まらず車で病院にかけつける。入院。
頭を抉るような痛みとおのれの死の予感の中、病状と心象を記録し
た一〇六行の詩「脳蜘蛛膜下出血」を書き残す。十月二十四日永眠
する。四十七歳であった。
揺れうごく大地から
雪のちかい中越の里にあらわれたあなた
孤独で反骨で苦悩の人であった浅井十三郎よ
村人の心にあなたの姿は見えているか
ようやく自分の家に戻り
壁にすがって泣きだす老婆に余震がくる
心配だねえ
心配したって どうしようもないけれどもねえ
地鳴りがひびき
また余震がくる。
参考資料=錦米次郎・浅井十三郎ノート(農民文学)、「詩と詩人」106〜111号
拙HPでは初めて紹介する詩人です。私よりちょうど20年先輩の予科練出身者です。第1章で戦中を題材にした優れた作品を書いていますが、ここではタイトルポエムを紹介してみました。〈浅井十三郎〉という詩人の人間像が良く描けていると思います。勉強不足の私には未知の詩人ですが、〈どしておらのうちはフトンが無いのかという子供〉というフレーズに壮絶な生活が見え、〈余震〉に怯える現在の〈村人〉が重なり、時間を超越させた佳品だと思いました。
○詩誌『青衣』129号 |
2009.5.20 東京都練馬区 青衣社・比留間一成氏発行 非売品 |
目次
<表紙>…上平紗恵子
花ミズキ再び…伊勢山峻 2 透明体…布川 鴇 4
雨あがり…井上喜美子 8 遠い日−はまなすの花・凍る舞・赤い燈火…表 孝子 10
ソワレポエティク…比留間一成 16 見知らぬ土地を…上平紗恵子 20
上平紗恵子・影の受容…23 島 朝夫・供物…31
井上喜美子 島 朝夫 森 常治 中村不二夫
<あとがき>…33
○詩と評論『操車場』25号 |
2009.7.1 川崎市川崎区 田川紀久雄氏発行 500円 |
<目次>
■ 詩作品
渇きと眠り ――23 坂井信夫 1 風のダンス(6) 鈴木良一 2
鳥の歌 田川紀久雄 4 日暮里で 長谷川忍 6
■俳句 陽炎えり 井原修 7 ■短歌 桜蕊 保坂成夫 8
■エッセイ
ポオと哲学者 −つれづれベルクソン草・わき道篇(3)− 高橋 薫 10
山本萌個展を観る 井上リサ 12 削り屋は見た −DPCのとばっちり(中) 野間明子 14
さんちゃんがお嫁にいった 坂井のぶこ 16 末期癌日記・五月 田川紀久雄 17
■ 後記・住所録 31