きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.5.16 新潟・大棟山美術博物館(坂口安吾記念館) |
2009.6.5(金)
特に予定のない日。いただいた本を拝読していました。
○平川綾真智氏詩集『202.』 現代詩の新鋭10 |
2009.5.30
東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1800円+税 |
<目次>
桜舞う 6 P.M.11:47 10. 笑顔でさようなら 14
彼方の先ヘ 18 405から出る煙 22. 18歳だった 26
わらべうた 30 ツワ蕗ん剥い 32 こびりついた香りの中で 36
おっぱい 40 すごいぞマニキュア 44 外 37.6 ℃ 48
九月は 52 暖かい感触 56 新屋敷2丁目 8月24日 60
胎児 66 卒論漬けで今日、明日.70 ぎちぎち9 74
夜空にテラワロス 78 りんどう 82 空との距離 86
僕の先 90
空との距離
見上げた枝に
空との距離が
もっとずっと遠かった頃
理科の時間
先生の出した簡単な問い
−氷が溶ける卜
どうなりますか?
皆の同じ答えをよそに
隣席の子は大きく答えた
−春になります
バカ笑う皆の答えをよそに
一人誉められたその子の答え
先生の出した簡単な問いの
氷を溶かしたその子の答え
見上げた枝に
空との距離は
少し近づき やがて止まり
追いつくことなど出来ないと
予想だけでなく経験もした 。
隣席の子の答えは今も
空へと伸び続けているのだろうか
幾層もの氷を溶かし
何度目かの春を迎えて
第1詩集です。ご出版おめでとうございます。お名前は<ひらかわ あやまち>さんとお読みする、そろそろ30歳になろうとする若い男性(たぶん)です。詩集たいとるの「202.」という作品はありません。作品「夜空にテラワロス」中の、「>
202のこうぐしにハゲ同意 ぽ」というフレーズから採ったのか、著者がお住まいの202号室から採ったのではないかと思います。
紹介した詩は、この詩集の中では異質です。決して代表作ではありませんが、著者の詩人としての本質がこの中にはあると感じました。〈空との距離が/もっとずっと遠かった頃〉から〈空との距離は/少し近づき やがて止まり/追いつくことなど出来ないと/予想だけでなく経験もした 。〉現在までを見通す眼がここにはあると思うのです。エピソードも面白いのですが、〈氷を溶かしたその子の答え〉に着目する著者の姿勢こそを見るべきでしょう。今後のご活躍を祈念しています。
○長津功三良氏詩集『飛ぶ』 ――山峡過疎村残日録―― |
2009.6.15
東京都板橋区 コールサック社刊 2000円+税 |
<目次>
T
雷雨 10 初秋 14 飛ぶ 18
息子へ 24 生きること 30 田舎の愉しみは 34
女房を殺す 38 今日もまた無事の一日 42 酒仲間 46
呑む 50 極楽浄土 54 墓地道 58
U
山代飢饉 64 屋号のことなど 72 新ちゃんちの観音さん 76
熊が出た 86 鴉と葬式 86 八幡宮祭礼の日 90
天徳寺龍が淵 94 猿猴の初恋 98 錦川赤瀬物語 102
骨を拾う(ながとかずおへ) 106 夢葬(村上泰三へ) 110
レクイエム(大木堅二君へ捧ぐ) 114 またこんな話を聞きました 116
一人芝居 120. 夕陽 121. 雪降る 122
参道 125. 寒い夜に 126. 虚春(はる) 130
白の匂い 132. 三月・レクイエム 136. 昏い夜の扉の向こう側 138
著者略歴 142
本詩集中の「呑む」と「猿猴の初恋」はすでに拙HPで紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたのでご参照ください。
○個人誌『ポリフォニー』15号 |
2009.6.1 東京都豊島区 熊沢加代子氏発行 非売品 |
<目次>
詩 /早春 2 /世間 4
/場所は何処… 6 /雛人形 8
/鳥 10
コンサート・ホール/交響曲スコットランド 12
アド・リビテュウム/W杯スポーツ 14
後記/