きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.8.18 佐渡・沢崎鼻にて




2009.9.26(土)


 日本詩人クラブの現代詩研究会が東大駒場で開催されました。今回は会員でもある詩人・哲学者の三好由紀彦氏による「哲学するこころ−存在の国の冒険」という講演でした。三好さんは分かり易い哲学書を多く出版していることでも著名なのですが、最近、祥伝社新書で『深海魚は海を知らない』という本も出しているそうです。講演は次の6点に渡って行われました。
(1)そもそも哲学とは何か    (2)「存在」と「無」を巡って
(3)科学的先入見について    (4)超越としての死と宗教
(5)21世紀と哲学の使命     (6)哲学と詩と私

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 ご覧の通りのスマートな先生で、講義内容もプラトンから始まってデカルト、カント、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガーと多岐に渡りましたが、よく内容が分かりました。久しぶりに、高校生の頃に文芸部の仲間と議論するために眠い眼をこすりながら読んだ『ソクラテスの弁明』、『純粋理性批判』、『ツァラトゥストラはかく語りき』などを思い出しましたよ。
 質問の時間で1点だけ質問したかったのですが、時間切れで残念。しかし、懇親会に向かう電車のプラットホームでわざわざ寄って来てくれて、何を質問したかったのですか?と聞いてくださいました。

 聞きたかったのは、配られたプリントの中の「(3)科学的先入見について」で、<科学はあくまでも「存在の内側」の学問。ゆえに「存在の外側」を知ることはできない>という総題のもとに書かれていた、ヴィトゲンシュタインの『論理哲学論者』の中の言葉として「およそ現代の世界観の根底には、いわゆる自然法則が自然現象を説明する、という錯覚がある」という言葉の意味についてでした。<自然法則が自然現象を説明する>というのは、それしか方法がないからであって、それは<錯覚>なのだろうか、という疑問です。

 それを説明しながら自分でも気づいたのですが、それしか方法がない、というのが錯覚なのかもしれませんね。自然法則を武器として自然現象を説明するのが科学の基本ですけど、自然法則は常に自然法則通りに存在するわけではありません。私たちはその一部を切り取って、これが法則だとして説明するわけです。だから本当の科学者はそのことをよく知っていて、この条件では、という前提のもとに説明します。それをしない、考えられない“科学者”が錯覚に陥るのかもしれませんね。
 もう少し突き詰めると、本当に、それしか方法がない、のだろうかとも思います。別の方法があるのに、私たちの怠慢で見つけられないのかもしれません。ヴィトゲンシュタインはそのことを言っているのだろうと思いました。

 そんな私の自問自答に先生は、そうですね、と笑って応えてくださいました。「哲学するこころ」とは、そうやって考えて、考えて、考え抜くことなんだろうと思います。回転のノロい頭の中が、少しだけ速度を上げたような<錯覚>を覚えました。三好先生、ありがとうございました!




文芸同人誌『桂』6号
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2009.2.1 さいたま市南区
火曜会・宮田智恵子氏代表 600円

<目次>
小説 恋文            宮田智恵子 5    待ちぼうけ        高木 唯花 20
   虹             まるこるま 29
随筆 (エッセイ二題)       佃  陽子 41    稲の盆栽         越智 鮎人 48
   駅             清水 寛三 56    アオイちゃん       平出 朝子 60
詩  私のなかを流れる川     清水 寛三 66    輪舞           まるこるま 68
   コモドドラゴンのこどもたち まるこるま 70
評論 「癌」を持った酒飲み爺さん
. 矢部  彰 72
小説 トリック・オア・トリート  高木 唯花 80    微笑           橘川 京子 102
後記 112
カット・塚本雪子




 
コモドドラゴンのこどもたち/まるこ るま

 逃げなくちゃ早く
 そうしないと
 食べられてしまう
 ぼくの親に

コモドドラゴンのこどもは
樹に上り 擬態して
セイフティーゾーンに
身を潜める

月食の夜
流れ星が
海の彼方へ
落ちて行った

暗いビルの谷間で
泣いているこどもたち
の声を 缶詰にして
夕餉にする
大人たち

テーブルクロスに
擬態した
コモドドラゴンのこどもに
誰も気づかない

 コモドドラゴン…インドネシアのコモド島やリンチャ島に棲息するオオトカゲ

 拙HPでは初めて紹介する文芸同人誌です。紹介した作品は最初、“子どもドラゴン”と読んでしまいました。途中で気づきましたけど、“子どもドラゴン”でも言葉遊びなどのおもしろい詩ができるかもしれませんね。作品は4連目が秀逸です。〈ビルの谷間〉とありますから、〈
コモド島やリンチャ島〉のジャングルではなく、都市に舞台が変わりました。そこで〈泣いているこどもたち/の声を 缶詰にして/夕餉にする/大人たち〉は現代の寓話のようでもありますし、ジャングルへの橋渡しの役割もしている連でもあると思いました。




詩と訳詩のざっし『火片』171号
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2009.7.30 岡山県総社市 井奥氏方・火片発行所
500円

<目次>
訳と詩 ヘルムート・オーピッツ 忘れられない 鈴木 俊訳 1
エッセイ 再会 付 創作童話 シッピー 竹内志歩 3
記録 道すがらの記8 国民学校(3) なんば・みちこ 5
   母、永瀬清子の思い出 井上奈緒 7
【詩篇】
蚯蚓が光る         山下 静男 11   別れはいつも      なんば・みちこ 12
年上の 女       はやし・さちこ 13   緑から           則武 一女 14
老千行           皆木 信昭 15   梅雨入り          柏原 康弘 16
五月−桑の実 編−     玉上由美子 17   気象庁HP         木村 雅子 18
エッセイ 千の風      岩崎 政弘 10
【詩篇】
自然のなかで 外      竹内千恵子 19   裂け目           重光はるみ 23
花屋の守り 外       藤原由紀子 24
エッセイ
.山桜・初夏に伸びる 石川 早苗 26   塀の外へ.         しおたとしこ 28
【詩篇】
静かな時間         石川 早苗 30   人間様は勝手です      岩崎 政弘 31
風さんの魔法        川田 圭子 32   やわらかく自在な      白神直生子 32
三月            赤羽  学 33   音             鴨井 錦代 34
DEAD END      神崎 良造 35   余白            斎藤 恵子 36
 鬼のなげき(個人情報編) 片山ふく子 36   懐かしの施律        中田 文子 38
友達            山川 公恵 38   源氏の木          中桐美和子 40
雨宿り           妹尾 礼子 41   四行詩抄          井奥 行彦 42
読者の頁から     担当 山下 静雄 43
小林幸子・ある秋の日に外/山田じゅん子・十二単御奉納/田邉美和・このさきは/さとみ・れい・公園デート外
後記・井奥




詩誌『嶺』31号
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2009.9.20 東京都東村山市     300円
柴崎氏方事務局・日本キリスト教詩人会発行

<目次>
□詩篇
銀色の雨 水崎野里子 2            此処で 笠井剛 3
ひとり歩き 紫野京子 4            歩くよ歩くよ! 中山直子 5
風見つけた 新延拳 6             五月闇 池上耶素子 8
夜のあの花 森田進 9             ゴスペルコンサート 福井すみ代 10
スグリ 柴崎聰 11               シスター・クサヴェラ・レーメ 東延江 12
未完了 古田嘉彦 13              司祭の母 岡田恵美子 14
大きな空・縄跳び・影 大瀬孝和 15       花 喜春子16
ノスタルジィア 井上優 17           タダイの末裔 坂井信夫 18
□『環濠の楽国』8 藍の花 川田靖子 19
□近況――会員による 23            題字/高橋喜久晴






   
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