きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.9.4 筑波山・ガマ石 |
2009.10.22(木)
その1
昨日、西さがみ文芸愛好会の事務局長から電話をいただき、ここ2回のイベントの写真を送れ、と言われてしまいました。9月に「播摩晃一会長を偲ぶ会」、今月初めには「文芸を楽しむ会」をやっていて、私は写真班として記録していました。いつもなら忘れないうちにと思ってプリントして事務局長にお送りしていたのですが、今回はすっかり忘れていました。今日、プンントに出して、メール便で送る準備をしましたけど、他に何か忘れ物をしているんじゃないかと不安になりました。忘れたら忘れたでいいじゃないかと思うほど肝っ玉が座っていません。小心者なんです(^^; おお、あれを忘れているゾとご指摘を受けた方が心強いです。何かありましたら、どうぞお教えください。
○曽根ヨシ氏詩集『花ふる夕暮』 |
2009.10.15 群馬県前橋市 ノイエス朝日企画編集部刊 2000円(税込) |
<目次>
T
夕暮に帰宅する 4 彼方へ 6 日が暮れる 8
本棚 10 花の摂理 12 花談義 16
冬支度 20 山の墓 22 花ふる夕暮 24
転(うた)た寝の 26 眼の痕 28 山草が表紙になるまで 32
障子の部屋 36 梢の先に 40 シャツの背中 42
風が立ち 46 テレビをつけたのは 48
U
去年(こぞ)の椿 52 朝の食事 54 スーツの時間 56
陽のあるうちに 58 月見草 60 迎え盆 62
白木蓮 64 足踏みオルガン 66 夕暮になると 68
小さな紙の面 70 松林の散歩 72 自転車 74
枯葉の街 76
あとがき
花ふる夕暮
人生ではじめて 身近に
一人の女の息づかいをきく
とある日の日記にしるされてから
年毎に花はふりつづけた
今年の花が
この夕暮 私のうえにふる
空中の大きな花籠をゆするように
それは一瞬
つきることはないように思えた
花びらをあびるとき 人は
いないのに居る
夕陽に明るむ若草が
懐かしい距離のように
ひろがっている
人は花の下を去るとき
今日は寝小屋に帰って眠り
明日 又
朝の花びらをあびようと思う
けれど 人は
逝って帰らない存在だから
散り終えた花の樹も 又
分厚い緑のなかに没してしまう
共著写真集と編著遺稿集を除けば、2年ぶりの第7詩集です。ここではタイトルポエムを紹介してみました。〈花〉は桜と採ってもよいかもしれません。誕生から青春、そして死と、〈人〉の一生に関わる花を描いた佳品だと思います。〈寝小屋〉は病室から自室へ、と採りましたがどうでしょうか。最終連の〈散り終えた花の樹も 又/分厚い緑のなかに没してしまう〉というフレーズからは、時間の永遠性を感じさせられた作品です。
○個人誌『一軒家』26号 |
2009.10.1 香川県木田郡三木町 丸山全友氏発行 非売品 |
<目次>
お客様の作品
詩
人間ぞ/高崎一郎 1 人間が悲しい/高埼一郎 2
人生/高崎一郎 3 ヒガンバナ/山根 進 11
ささやかな紅葉狩り/中原未知/12 出穂のころ/丹治計二 13
揺れる秋/友里ゆり 14 晩秋/沢野 啓 15
秋の夕暮れ/万里小路譲 16 無花果/森 緑樹 17
バスで であった若者/吉田博子 19 あの女は/吉田博子 20
母と/吉田博子 21 夏の終わり/万里小路譲 28
マルティバース/万里小路譲 29 さなぎの時/丹治計二 34
ぼくらしく・あなたらしく/高橋文子 40 恥ずかしがりやの男の子/高橋文子 41
秋・浜辺で/友里ゆり 43 郷愁/三浦幹夫 45
歳月/三浦幹夫 46 たまごの未来/戸田たえ子 50
蘇鉄/森 緑樹 51 公園と男/吉村悟一 66
『ニッポン勝った』/吉村悟一 56 生き様/佐藤暁美 60
旅路/高橋智恵子 68 追憶/千葉喜三 64
つゆ/千葉喜三 64 赤紙/星野歌子 69
慈母神との対話/深野久栄 72 理由/戸田厚子 75
誕生日/戸田厚子 75 ゴックン/佐竹重生 80
湖/小山智子 83 疑問/小山智子 83
子どもの頃/小山智子 84 ため息/小山智子 84
あなたの虹/高松恵子 89 私の生きがい/高松恵子 89
あなたの卒業/高松恵子 90 あなたのスタート/高松恵子 90
妻/沢野 啓 93 聖ピート教会/角田 博 97
口癖/星 清彦 101. 帰り道/星 清彦 102
夏の日の思い出/吉原たまき 104. 八月の風/宇賀谷妙 106
春風さえ冷たく/小島寿美子 107. 2009年夏の終わりに/大山久子 108
電子ピアノ/田山民江 110. 妹よ許せ/小倉はじめ 112
随筆
仏生山漫遊記/坂戸敏明 26 闇に注がれた光/宮脇欣子 31
冬の夜話/寒川靖子 35 恐ろしい台風/高橋文子 38
『映画を無料で見る』/島田辰生 42 奈緒ちゃん/中井久子 48
なくてなんくせ/藤原光顕 62 なんやねん!/藤原光顕 53
金精峠/篠永哲一 61 絆と笑顔/千葉喜三 66
過ぎて分かる御恩/星野歌子 68 野鳥二題/池田みち 73
芭蕉と蕪村の句に思う/田島伸夫 82 「サンシン三昧」/平山洋一 91
チャボの尻尾/佐久間智子 94 抱夢園 −管理人を発見するの巻き−/荒木伸春 98
出会いの嬉しさをこめて/吉原たまき 103. 命の支えとなり、生きる喜び/吉原たまき 103
満州よりの引揚体験記/小倉はじめ 111
童話
木彫りのおじいさん/林美智子 57 級長さん/森ミズエ 76
めん吉の毛刈り/内藤ヒロ 85
短篇小説 夫婦桜/坂戸敏明 22 民話 ほろ助じいさんの熊退治/千葉喜三 64
俳句 徳増育男 37 中井久子 47 小倉はじめ 113 松尾芭蕉 露を詠んで・与謝蕪村 露を詠んで 田島伸夫 81
川柳 川西一男 70
短歌 千年後の人類なんて 藤原光顕 54 田山民江 109
全友の作品
時代小説 灯(その1) 115 随想 規格外野菜 126 鼠捕りやーい 132
詩.協力 134 電線 134 アレルギー 135 渇水 136 郵便 136 秋 137 ゴミ箱 137
.鳥目 138 吊るし柿 表4
電線
観光バスで四国山地を行く
山の頂を延びる電線から
深い谷へと二本の電線が分かれている
これほどではないが我が家も
浅い谷間に一軒だけ家がある
幹線から分かれて棚田や池の上を
電線が延びてきている
この電線の行きつく先も一軒家なのであろう
田んぼだけしているのだろうか
働きに行っている人がいるのだろうか
それとも老人だけが住んでいるのだろうか
今だから一人一台テレビがあるのではあろうが
夜には祖父ちゃん、祖母ちゃん、
父ちゃん、母ちゃん 妹と
揃ってテレビをみていた
五十年も前の我が家の姿が浮かび出る
毎日の生活を 子どもたちの楽しみを
毎日休むことなく運んでいる、
だが衣服や食糧までは運べまい
自動車で毎日買い物にいくのだろうか
勤めの帰りにでも買って帰るのだろうか
どこまで買いに行くのだろうか
道はこのバスの通る道と繋がっているのだろうか
眠気だけの退屈な
観光地から観光地への移動の時間を
他人事なのに
どこにでもある電線が
旅の楽しさをもたらしてくれる
〈観光バスで〉の〈眠気だけの退屈な/観光地から観光地への移動の時間〉に見た〈電線〉。そこから様々に〈田んぼだけしているのだろうか/働きに行っている人がいるのだろうか/それとも老人だけが住んでいるのだろうか〉と想像する作者は、きっと想像力豊かな人なのでしょう。最後の〈他人事なのに/どこにでもある電線が/旅の楽しさをもたらしてくれる〉というフレーズからは、作者の前向きな姿勢を感じとることができます。日常の(旅という非日常ではありますが)何気ない風景から詩を切り取った佳品だと思いました。
○詩とエッセイ『ネビューラ』9号 |
2009.10.15 岡山市北区 壷阪輝代氏代表 非売品 |
<目次>
袋…岩アゆきひろ 2 ハナミズキ…武田理恵 3
彼岸花…田尻文子 4 吉備野の花詞([)−あさがほ(ききょう)−…中川貴夫 5
空に見た夢…谷口よしと 6 三番叟…三村洋子 7
風に吹かれる猫の後ろ姿…中尾一郎 8 おばんです…田原伴江 9
もくもくもく…香西美恵子 12 芽生え…西ア綾美 13
白い風…広畑ちかこ 14 神秘なるもの…吉形みさこ 15
器…下田チマリ 16 喪失…武田章利 17
青いろの変遷(沖縄にて)…川内久栄 18 季(とき)の輪…今井文世 19
鍵がない…日笠芙美子 20 五角箸…壷阪輝代 21
エッセイの窓
私のエクス・リブリス 岡山読書案内一…行吉正一 10
寂歌 −石井直三郎に出会って−…田尻文子 11
装幀・尾崎博志
袋/岩アゆきひろ
私の部屋に誰かが置いて行った袋がある
気になりながら
そのままにしているが
どうも
私の気づかない内にどんどん大きくなり
少しずつ動いてもいるようだ
私は忘れっぽい質なんだが
この頃
大事にしていたものが
いつの間にか無くなってしまう
一階、二階、天井裏
引きだし、金庫、本棚と
血圧を上げながら
探し回るが
結局私には探し出せない
見かねた妻が部屋に入ってきて
その袋を
ちょこちょこといじると
それは声を立てて
逃げ惑うのだが
その中から
探し物はもちろんのこと
大事にしていたものがわんさと出てくる
それらの獲物を取り上げると
袋はずいぶん小さくなって
しばらくはしょぼくれているが
まもなく太り始め
部屋の真ん中にでんと居座り
嚊までかき始めるのである
これは面白い詩ですね。面白いんですが、具体的に〈袋〉が何を指すのかよく分かりません。袋で思い出すのは紙袋、ビニール袋、皮袋、ズダ袋、巾着袋、麻袋、南京袋。そして胃袋、浮袋。さらには堪忍袋、お袋、子袋などが連想されますけど、そのどれにも当て嵌まりません。おそらく、そういう具体的なものを考えてはダメなのでしょう。記憶、あるいは脳と採ってもよいかもしれません。何かな? と楽しみながら読んでよい詩だと思いました。