きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.11.3 足柄峠より箱根・大涌谷を臨んで




2009.11.3(火)


 雨上がりの素晴らしい天気に誘われて、拙宅の裏山になる足柄峠に行ってみました。今日は休日だったんですね。駐車場は満パイ。路肩にもたくさんのクルマが停まっていて驚きました。いつもは閑散としているのに、みんな上天気に誘われたようです。私も空いていた路肩に停めさせてもらって、さっそく散策。道は少しぬかるんでいたものの、陽射しが強くてほとんど乾いていました。

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 足柄峠最高地点付近から臨んだ富士山です。この何十倍もの人が犇いていました。みんな見事な富士山に見惚れているのがお分かりと思います。このあとは知る人ぞ知る、箱根の大涌谷が見えるポイントに移動。その写真は、今月の写真として一番上にありますからご参照ください。

 ちなみに富士山の写真は70mm、大涌谷の写真は300mmのズームで撮っています。先日、中古のズームレンズを驚くほど破格の値段で買いました。しかも、今まで持っていた80〜200mmのズームレンズに比べると半分以下の重さ。持ち歩いていても重量感がありません。
 本当は同じタイプの手ぶれ防止機能付きのレンズが欲しかったのですが、今回入手したレンズの4倍ほどの値段になります。ニコンショップで試し撮りをしたときに、手ぶれが起きていないとお店の人も褒めてくれましたので、迷うことなく安物を選択(^^; またしばらく一眼レフデジカメの世界を楽しめそうです。




月刊詩誌『歴程』563号
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2009.10.31 静岡県熱海市
歴程社・新藤涼子氏発行 700円

<目次>
歴程半歌仙 法師蝉の巻…高橋順子 2
夏の詩のセミナー
 課題詩を繋ぐひと…新藤涼子 4
 朗読詩を繋ぐひと…編集部 26
エッセイ
「馬籠・春の詩の学校」と「馬籠・夏の詩のセミナー」…柴田恭子 34
 馬籠・藤村記念館へ行く…井川博年 34
版画…岩佐なを




歴程・夏の詩のセミナー課題詩

 
ふるさと

                  嵯峨恵子
逆あがりができるようになったよ
おじいちゃんにお礼のハガキを書いた
うそだってたまにはつけるよ
かき氷がぜんぶ食べられたし
プールで泳げるようになった
夏休みはどんどんみじかくなっちゃうな

 今号は8月に馬籠で行われたセミナーの特集になっていました。紹介したのは課題詩「ふるさと」の中の1編です。事前に準備して行くのか、その場で課題が与えられるのか分かりませんが、前者かもしれません。柴田恭子さんのエッセイによると〈参加者にはふるさとという言葉を使わない六行詩が課題〉となっていました。
 紹介した作品は子どもの頃を思い出してのものですが、〈うそだってたまにはつけるよ〉というフレーズにはドキリとさせられますし、〈夏休みはどんどんみじかくなっちゃうな〉は私にも覚えがあります。小学校低学年の夏休みはいやに長かったのに、高学年になるとアッという間に終わってしまいました。6行という制約の中で子どもの気持ちをコンパクトにまとめた佳品だと思いました。




詩誌『游』16号
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2009.11.1 東京都三鷹市 藤井慶子氏事務局
非売品

<目次>

珊瑚玉・他       佐久間郁子 2     五月・他        風 ちはこ 6
道 二題        深山 ゆみ 10     夏至の蛇・他      北谷 祐子 14
まどろみ・他      小川 淳子 18     もう一度!       藤  嶺香 22
緑響く・他       藤井 慶子 26
エッセイ
昔、健脚        佐久間郁子 30     病気を楽しむ      深山 ゆみ 32
大人のためのピアノ教室 北谷 祐子 34     大洗にて・他      小川 淳子 36
車椅子・他       藤  嶺香 38     雲の上の出会い     藤井 慶子 40
游子                42
一年のあゆみ・あとがき       44     表紙・カット 藤井慶子




 
ゆれるものたち/藤井慶子

ローズマリーの
枝と枝の間に
丹念に編まれた
ハンモック
夏の午後
子ぐもがゆらしつづける
次の瞬間
破壊されるとも知らず
木もれ陽に
つかの間の 命が光る

ほたる袋の花房がゆれる
落下をこばむ空気が執拗に
まわりの草花をゆらしつづける

思考はいつも
夕暮の街角でゆるみはじめる
街路樹がゆれる
街角の生ぬるい空間が
せきとめられ ゆれつづける
夕陽に 色づけされたことばがゆれる

 蜘蛛の巣という〈ハンモック〉、〈ほたる袋の花房〉、〈街路樹〉、〈街角の生ぬるい空間〉と、〈
ゆれるものたち〉が多く登場してきますが、やはり重要なのは〈ことば〉でしょう。それは〈思考〉とも繋がっていると言っているわけで、良い意味での作者の生活態度まで見えるようです。揺れない、ブレない、そんなものは何もないのだとこの詩は謂っているように思います。強固な言葉や思考というものを持つことは、本当に正しいことなのか、そこまで考えさせられた作品です。




詩誌『水流』2号
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2009.11.1 埼玉県北本市 林哲也氏代表
非売品

<目次>

<寄稿> 網          飯島正治 2
詩集“Y”          あさい裕子 4   月のウサギ         あさい裕子 6
壺               林 哲也 8   つり橋            林 哲也 10
ひとつの記憶         植原まつみ 12   病室            植原まつみ 14
母の手             三宮昭一 16   歩いてみたい         三宮昭一 18
神馬           ふくもりいくこ 20   活版印刷工場の青春   ふくもりいくこ 22
水辺
夏は山行           植原まつみ 25   寒立馬
(かんだちめ).      あさい裕子 26
「遠野物語」を追って(一)    林 哲也 28   懐かしい声          三宮昭一 29
深淵
生涯信仰を貫いた宮澤賢治 ふくもりいくこ 30
あとがき                 35
同人名簿                     (画・あさい裕子)




 
詩集“Y”/あさい裕子

なんと告げよう
素直な詩
(うた)なら
見たままを感じて話せる

この詩は掴みきれない
雲のように自在に姿を変え
余白まで想いが流れ込む
青から赤へ
自身の体温を染み込ませてくる

視界から入ったものが
頭の中で形象
(かたち)を結ぼうとしない
何ものかの気配を
ひもといたつもりが
片端からもつれてゆくのだ

何度も文字を掬いあげる
読み返すたび
喉元でからまり膨らむ毛玉
始まりも終わりもない迷路が
私を動揺させる

感動の発語を手繰り寄せたい
どこまで考えれば
ほどけてくるのか

赤から青へ
今いちど想いを鎮ませる
もつれた毛糸を
まさぐる

 〈詩集〉そのものについて書かれた詩を初めて見たように思います。たしかに〈掴みきれない〉詩はあります。〈雲のように自在に姿を変え/余白まで想いが流れ込む〉詩には往生して、私なら投げ出してしまうところですが、作者は真摯に〈どこまで考えれば/ほどけてくるのか〉と向き合っています。それが良い詩なのかそうではないのかは別にしても、そこまで読まれようとしている詩集は本望でしょうね。作者の姿勢に感動した作品です。






   
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