きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.11.3 足柄峠より箱根・大涌谷を臨んで |
2009.11.4(水)
その2
○詩誌『北の詩人』77号 |
2009.11.5
札幌市豊平区 100円 日下新介氏方事務局・北の詩人会議発行 |
<目次>
孔版画・詩.ライオンは見つめる たかはたしげる 1 フィンランディア たかはたしげる 2
走り続けるヌー たかはたしげる 2 寄稿 まだ名前もない赤ちゃんへ 服部十郎 3
ウエディング たかはしちさと 5 ヒロシマとナガサキの空へ たかはしちさと 6
怒り たかはしちさと 6 白いキャンバス 内山秋香 7
金メダル輝く街 佐藤 武 7 コスモスの道で 佐藤 武 8
コトバは世界を変える 佐藤 武 8 畑は宝 大竹秀子 10
地球温暖化への警告 大竹秀子 11 小林多喜二を殺した人達 大竹秀子 11
叙事詩 白石(7) 阿部星道 12 絶対合一の光 仲筋義晃 13
短歌 いのちのつながり 幸坂美代子 14 朝の風景 八木由美 16
科二君へ 日下新介 16 朝六つ橋 日下新介 18
エッセイ 山宣のこと 倉臼ヒロ 20 中国旅行記 衝撃のたび(3) もりたとしはる 21
北の詩人 七六号作品評 佐藤 武 23 受贈詩誌寸感 日下新介 24
もくじ・あとがき 28
まだ名前もない赤ちゃんへ/服部十郎
ごめんなさい
ごめんなさい ごめんなさい
まだ名前ももらっていないあなたを
なんと言って呼んだらいいのでしょう
あの日
あなたに会ったのは地獄と化した広島市の比治山の麓
私が被爆者の救援にあたっていたときでした
水 水を 水をください
哀願する瀕死の被爆者の方たちの望みをせめて叶えたいと
折り重なる怪我人と息絶えた人たちの身体をまたぎ
踏みつけながら水を運んでいたときでした
あなたは原爆のショックで
お母さんの身体から出て来たのですね
打ち捨てられた戸坂に乗せられたお母さんの身体の下の方で
あなたはか細い声をあげ
糸のような手足を動かしていました
生きたい 生きたい
お父さんに抱かれたい
お母さんのお乳を飲みたい
広い世界を見たい
あなたの声はこのように聞こえました
お母さんは顔もわからぬ焼け爛れた姿で
あなたを抱こう
あなたに乳を飲ませようと必死に手を動かしていました
でも身動きもできないお母さんの腕は
空しく虚空を掴むばかりでした
この二人を助けなければならない
この二人の命を大切にしなければ
思いながらも私にはどうすることもできませんでした
そして比治山の中腹には
私の「水」を待っているたくさんの被爆者がいる
ごめんなさい
ごめんなさい ごめんなさい
地獄の中で私はあなたを見捨てました
見捨てざるを得ませんでした
二度めにあなたを見かけたとき
お母さんの腕の動きは止まっていました
三度めに会ったときは
あなたの声はなく
小さな足の動きもなくなっていました
まだ名前ももらうことができなかった赤ちゃん
あなたはどんなにか生きたかっただろう
大きく広がる未来も
豊かであるべき人生も打ち砕かれたあなた
わが子を抱くこともできず
乳を含ませることもできず
母になった喜びすら自覚できず
理不尽に命を断たれたお母さん
そして助けることができなかった罪の意識を
拭い去ることができずに生き続ける生存披爆者
このようなことをする権利が誰にあったと言うのでしょう
あなたを見捨ててしまった私を許してくれとは申しません
ただ 辛うじて生き残った生存被爆者も罪悪感を
常に引きずっているのです
あなたにお詫びしなければならないのは
原爆を落としたアメリカ
戦争の終結を引き延ばした当時の日本政府です
あなたは怒らねばなりません
私も怒りの声をあげ続けています
そして今
あなた方に対する詫びも反省もなく
世界には
驚くことに日本にも
核戦争を容認する動きさえ見えています
もうあの悲劇を繰り返してはなりません
あなたは原爆死者の一人だけれども
安らかに眠らないでください
あなたのような無垢な人が安心して暮らせる世にするため
怒りをこめて
私たちの心の中に生涯生きて
この理不尽な死に抗議を続けてください
詩作品ですから、事実かどうかを問う必要はありませんが、おそらくこれと同じことが実際に起きたのだと思います。〈原爆のショックで/お母さんの身体から出て来た〉〈まだ名前もない赤ちゃん〉は、私であり、あなたであったかもしれないというように考えなくてはいけないでしょう。その上で〈このようなことをする権利が誰にあった〉かを問い続けなければならないのだと思います。原爆の碑にある“安らかにお眠りください”とは違う、〈安らかに眠らないでください〉という言葉は、〈この理不尽な死に抗議を続け〉るためにも必要な思考だと感じます。それは原爆に限らず、あらゆる理不尽なものへの言葉だと受け止めました。
○機関誌『コロポックル』23号 |
2009.10.7 札幌市豊平区 日下新介氏発行 非売品 |
<目次>
核兵器廃絶へ奮闘します=@安井晃一さんの陳述から 133
北の詩人 コロポックルのブログは村山精二さん 133
the Web 0.1:死は希望を消せない−凶弾に仆れた伊藤市長を悼んで 日下新介 134
長崎市長射殺二審は無期 減刑はなぜ? 135
歴史/日下新介(「ごまめのはぎしり」より) 136
詩
北からの発信/日下新介 136 服装点検/熊谷ひとみ 137
アポロと貧民/堀尾昌司 137 おつゆ/山本正敏 137
地球/坂本竜作 139 崖/石垣りん(参考作品) 139
エッセイ 映画『太平洋戦争』を見て 堀尾昌司 138
『詩の本』(集英社)より 著者・谷川俊太郎さん 140
おつゆ/山本正敏
夕飯の時
ぼくがおつゆを飲んでいたらこぼれた。
「何やってるんだ。」
と父にしかられた。
しばらくして
父がおつゆをこぼした。
急にシーンとなった。
少しして
みんな笑った。
今号は中学生の詩が多く載っていました。紹介したのはそのうちの1編で、中学1年生の作品です。私も〈父〉として似たようなことで〈しか〉ったり、失敗したりしていましたから、よく判ります。〈急にシーンとなった。〉が良いですね。そして〈少しして/みんな笑った。〉というフレーズから、この家族の普段の姿が見えるようです。
なお、今号では2頁に渡って拙HPを引用していただきました。御礼申し上げます。
○機関誌『コロポックル』27号 |
2009.10.25 札幌市豊平区 日下新介氏発行 非売品 |
<目次>
全国コンクールで最高賞−幌別中の学級文庫『雑草』(北海道新聞 昭和44年5月15日号より) 161
草の根パワー脈々と 「ゆきのした」創刊35周年(福井新聞 昭和61年9月8日号より) 162
全国コンクールで最高賞−幌別中の学級文庫『雑草』(北海道新聞 昭和44年5月15日号より)詳細 164
後列の右端は木下忠芳校長。その前は副担任の中野先生です。中央前列、文集を開いているのは打方です。木下校長から「どこの表彰だ」と言われたので、「日本作文の会です」と私が答えると、「な〜んだ、民間教育団体か」と言われたことが今も鮮明に耳元に残っています。集団教育の推進者だったという評判の校長でした。時代の変わり目でした。
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ちょっと見難いのですが、上の写真にあった説明文です。見つかった新聞記事だそうですが、1969年当時の「な〜んだ、民間教育団体か」という校長先生の言葉に、改めてその時代を思い出しています。官尊民卑の時代だったのです。今でもその傾向は大きく変わっていませんけれど、多少は変化してきたかなと感じていますが、さあ、どうでしょう。地域差もあるかもしれません。