きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2010.2.25 神奈川県南足柄市・枝垂れ梅




2010.3.17(水)


 昨日、拙HPのアクセスカウンターが17万件を突破しました。16万件を超えたのは昨年の10月25日です。4ヵ月と3週間ほどで1万件が上積みされたことになり、1ヵ月で2100件余、1日では70件ほどのアクセスをいただきました。1時間で3件、実に20分に1回はどなたかが訪れていることになります。ありがたいことです。改めて御礼申し上げます。

 開設当初から比べると鰻登りのアクセス数となりますけど、冷静に考えると、そうでもありません。この10年余のインターネットの利用者増を考慮すると、相対的には減っているというのが数学的な見方でしょう。しかし、ここは濃度の問題ではなく、絶対的な数字が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかが観点だろうとも思います。
 ついつい現職の頃の癖が出て、商品の売れ行き分析のようになってしまいましたが、その視点を無視すべきでもないと愚考します。これからも少しでも世の中に寄与できるようなHPを目指します。ご指導いただければ幸いです。




詩とエッセイ『橋』129号
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2010.3.10 栃木県宇都宮市
橋の会・野澤俊雄氏発行 800円

<目次>
作品T
◇雲の上     相馬 梅子 4      ◇上空から      都留さちこ 6
◇音のないものが 冨澤 宏子 8      ◇二十四節季シリーズ 壺中 天地 10
◇いつの日か   草薙  定 12      ◇誇り        大木てるよ 14
◇花鳥      江連やす子 16      ◇或る日に・他    島小夜子 18
◇消えた世界   瀧  葉子 20
石魚放言
孤独について   瀧  葉子 22       新年放言      和田  清 23
犬の遠吠え ごまめの歯軋り(W)戸井みちお 24
評論 人間という語について  沼  文録 25
作品U
◇母の祈り    北見 幸雄 28      ◇御見舞       酒井  厚 30
◇冬の虹     國井世津子 32      ◇渡仏        斎藤さち子 34
◇古典を習う   簑和田初江 36      ◇桃源郷・他     和田  清 38
◇影考・笑い   戸井みちお 40      ◇ふるさとのことども そらやまたろう 42
◇きのうきょう  野澤 俊雄 44
書評−橋からの眺め  野澤俊雄
◇鈴木昌子詩集『白い骨』砂子屋書房 46   ◇金子秀夫詩集『満潮の音』福田正夫詩の会 46
◇野島茂詩集『千曲川』横浜詩人会  47   ◇ささきひろし詩集『海の血族』土曜美術社出版販売 47
橋短信 風声   野澤 俊雄 48
受贈本・詩誌一覧 49
編集後記                  題字 中津原範之  カット 瀧 葉子




 
母の祈り/北見幸雄

  ○
数えはじめると、
おれの手の指では足りなくて、
孫の指までも足している。
(お金は大切に仕舞っておくものです)

話しはじめれば、
家の者だけでは物足りずに、
仏壇に手を合せて話している。
(心はやさしく重ねるものです)

  ○
祈るだけでは足りないから、
母は働きながら、
大地と草花に祈っていた。
ときには泣きながら、
あるいは呼びながら、
青白い汗を流し、
赤い血を吐き出し祈った。

そうして母は深い眠りについた。

 〈母〉の人間性がよく描けている作品だと思います。特に第2連の〈仏壇に手を合せて話している。〉というフレーズにそれが端的に表れていると云えるでしょう。最終連で〈そうして母は深い眠りについた。〉とありますから、亡くなっていると読めます。第1連と第2連の( )もよく効いている作品だと思いました。




隔月刊詩誌RIVIERE109号
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2010.3.15 堺市南区 横田英子氏発行 500円

<目次>
落とし物          泉 本 真 里(4)  桜            正 岡 洋 夫(6)
ミカドの国の「王国」の少年 河 井   洋(9)  晩秋           立 野 康 子(12)
旅人と猫          蘆 野 つづみ(14)  高円寺の描        横 田 英 子(16)
春を呼んでいる       清 水 一 郎(18)  好きと言って       永 井 ますみ(20)
叱る人           内 藤 文 雄(22)
RlVIERE/せせらぎ      (24)〜(26)  石村勇二・永井ますみ・横田英子
受贈誌一覧                (27)
汝窯青磁 開片のフラクタル 嵯 峨 京 子(28)  男親           戸 田 和 樹(30)
入院前夜          石 村 勇 二(32)  冬の夜・真冬に      藤 本   肇(34)
冬の夜寒          ますおかやよい(36)  冬            後   恵 子(38)
風の街           松 本   映(40)  アルディ         山 下 俊 子(42)
私の弥勒菩薩        平 野 裕 子(44)  空鉢           釣 部 与 志(46)
同人住所録                (48)
編集ノート         永 井 ますみ     表紙の絵・水島征男/詩・山下俊子




 
叱る人/内藤文雄

叱る人を見ることがある
スーパーや百貨店で
店員を叱っていたりする
しまいには 責任者を呼べ などとなる
店員は なれているのか
適当にあしらっている

叱る人にとって
なってない のである
けしからん のである
人間だけではない
ゴミをあさる烏にまで
ステッキをふりあげて叱っているのである
電柱にマーキングする犬を叱る
ドアを閉めない猫を叱る
叱る人は
小言幸兵衛のように
叱る事を探している
まあ人にとって 迷惑な人である

それでも人語が分かるものに
叱っている内はよい
たとえば おばさんがしゃべりながら
歩いていて 水たまりに足を入れて
水たまりを指して
ふんとにもう と口を開いてから
次がでてこない
水語なんて あったかしら

叱る人は
すぐテレビ局に電話する
そく、化粧が濃い
服が派手だ などである
ケイタイ電話にトウロクでもしているのか
感心する

至って迷惑な人であるが
最近変ってきたらしいのである

レストランなどでは
一件に付き 三千円がもらえることがある
店名 店舗名を書き
クリンネスについては
店の入口周辺の清掃、床はきれいですか
テーブル、イスはきれいですか など
サービスについては
従業員の清潔感、接客用語、笑顔など
その他 お値打ち感などを
モニターすることでもらえるのである

犬 猫についても
地域モニター員になって
会議に出ると
月額一万円ぐらいもらえる

水たまり などでも
モニター会議で発言すると
道路が修理される

今や 叱る人は
貴重な人となったのである

そう言えば
嫌われるのを嫌いな人が多くなった

 たしかに何にでも〈小言幸兵衛のように/叱る事を探している〉人がいますね。人間観察のおもしろい作品です。しかし、この詩で重要なのは最終連ではないでしょうか。〈嫌われるのを嫌いな人が多くなった〉という世相を見事に捉えています。誰もがおりこうになったのでしょう。そう考えると〈叱る人〉の存在価値を見直さなければならないのかもしれません。意外な問題提起をされた作品だと思います。




詩誌『1/2』31号
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2010.3.15 東京都中央区 近野十志夫氏発行
400円

<目次>
雪夜/青木春菜 2             記憶の虎/辛 鍾生 4
夢 連弾な芝 憲子 6           ロゼット/佐伯けんいち 7
身と心と/宮本勝夫 8           母への伝言/西條スミエ 10
十枝
(とえだ)の森/枕木一平 12        ある日水中に/館林明子 14
やりすぎては/宮川 守 16         来なかったサンタクロース/野川ありき 18
天津乙女/野川ありき 19          放送されなかったインタビュー/黒 鉄太郎 20
破れ傘/呉屋比呂志 23           風のイタズラ/呉屋比呂志 24
わたし高齢者です/薄葉久子 26       木の終わり/都月次郎 28
火山島の言葉たち7/都月次郎 29      木の実 木のまま/近野十志夫 32
モスクワ零下二十七度/藻利佳彦 34
同人会報告/館林明子・42          『ムッシュ・フューグ』を観て/近野十志夫・45




 
破れ傘/呉屋比呂志

雨も降らないのに
いつか降るからと
毎日手に持って歩く
乞食
(おこも)さんのように
身にまとったものが多すぎて
ヨレヨレに汚れ
背にも大きな荷物

空いていた手にも風呂敷包み
これでは握手のひとつもできない

傘をひろげてみても破れていて
骨ばかりが目立つ
肝心なときに役に立たないよ

 私たちの身の回りには、なんと〈肝心なときに役に立たない〉ものばかりが溢れているんだろうと考えさせられる詩ですね。必要もないのに〈毎日手に持って歩く〉モノ。〈身にまとったものが多すぎて〉、〈背にも大きな荷物〉。さらには〈空いていた手にも風呂敷包み〉。だから肝心の〈握手のひとつもできない〉…。そんな現代文明の、現代人の馬鹿げた習性を突いた佳品だと思いました。






   
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