きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2010.3.18 早稲田大学・演劇博物館




2010.4.12(月)


 特に外出予定のない日。いただいた本を拝読して過ごしました。




詩誌『炎樹』61号
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2010.3 千葉県我孫子市 鈴木文子氏発行 500円

<目次>
――作品――
チリクラブ…………………………萱野 笛子 4  河豚…………………………………西山正一郎 6
モルモット…………………………本多 照幸 8  柳湯…………………………………一宝  実 14
名前…………………………………瀬野 とし 16  夜間高校にて………………………宮崎  清 18
土砂降り……………………………光田 年雄 20  手をふる……………………………白永 一平 22
三国…………………………………赤木比佐江 24  初心…………………………………中村藤一郎 26
老春…………………………………恋坂 通夫 28  郷里…………………………………中山 公平 32
時…………………………………大久保せつ子 33  津波…………………………………三浦 健治 34
わがふるさと………………………猪野  睦 36  わたしの動物詩篇…………………佐藤 文夫 38
夜行車窓……………………………仲  玲央 41  黒ウサギのタマシイは……………堀内みちこ 42
チャップリン………………………茂山 忠茂 44  ペルシャ絨毯より上等だという…坂田トヨ子 46
溜池につづく道……………………高橋 英男 48  再会…………………………………鈴木 文子 50
――エッセイ――
中村藤一郎詩集『神の留守』読後感 中村藤一郎詩集『神の留守』を読んで=一宝 実…ほか同人 53
萱野笛子詩集『五丁目電停 雨花』読後感 『五丁目電停 雨花』の周辺 =猪野 睦…ほか同人 58
連載・反戦藷を読む(14)「コーヒーを断って六十余年」――宮静枝の反戦詩――………瀬野 とし 60
プロムナード…猪野 睦・佐藤文夫・中村藤一郎 30
*巻頭詩 高橋英男1 *編集後記62 *同人名簿63
*表紙絵 加藤 修  *カット 堀内みちこ




 
名前/瀬野とし

メアリだったか アン キャサリン シャーロット?
やさしく呼ばれると 彼女たちは じっと見つめて
moo ムー と答えただろうか

二〇〇九年の ユーモア研究賞ともいえる
イグノーベル獣医学賞
イギリス ニューカッスル大学の研究チームが受賞した
「一頭一頭名前をつけて大切に育てた牛は
  無名の牛よりたくさんの牛乳を出す」との証明で

そういえば 聞いたことがある
傷ついたイルカを治療する人たちは
患者を番号で呼ぶ、と
名前をつけると情が移って
治っても 海へ返せなくなってしまうから

やさしく名前を呼ぶ
答える
他の誰でもない あなたと
わたしが
あたたかく結ばれる

大輝 ひろき
君の若い父母がつけた名前を
わたしは
こころをこめて 呼ぶ

君の名が呼ばれなかったり
番号だけで呼ばれたり
まして ああ
番号が 腕に彫りこまれたりする世の中が
けっして 来ないように

 〈二〇〇九年の ユーモア研究賞〉の成果はユニークですし、そういうこともあり得るだろうなと思います。特に〈名前をつけると情が移〉るというのは分かりますね。作品はそれを最終連で見事にまとめています。〈名前〉の重要性を改めて認識されられる作品です。





『関西詩人協会会報』57号
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2010.4.1 堺市南区
横田英子氏方事務局・杉山平一氏発行 非売品

<本号の主な記事>
(1)面
. 『関西詩人協会自選詩集』第6集作品募集・第19回『詩画展』
(2)面  日本詩人クラブ関西大会のお知らせ・日本現代詩人会 西日本ゼミナール・大阪
(3)(4)面
.自作を語る14 日高てる氏
(5)面  新入会員紹介・インターネット情報・会員募集!・運営委員会の記録
(6)面  会員活動・イベント




 
まぶしい風景/日高てる

−それは
ひょうひょうと吹いているだろうか
ちろ ちろ ちろ と吹いているだろうか
それとも
びょう びょう と吹いているだろうか
“スリッツ”のように
ぶつ ぶつ ぶつ ぶつ 煮えているのだろうか 今も

mabui ということばは
タマシイを意味するそうです
日本語が沖縄に入ったことばといいます
詳しくは
“真振
(まぶ)”の意で
それは 石上神宮の
“魂振
(たまふ)り”に通ずるのでは
いつか日高の朗読をみどりさんは
石上神宮の祝詞
(のりと)に似ているといったが

それも
ひょう ひょう と揺れているだろうか
ちろ ちろ ちんちろりんといっているだろうか それとも
ひよ ひよ ひよ と燬けているのか
もしも びょう びょう と吹いていて
きょう きょう 眈々と炎えているとしたら

――大阪砲兵工廠の跡地の引込線、い
  まはヒマラヤ杉が林立する公園だ
  が、
――後日、爐の仲間となったN少年、
  本川小学校五年、敗戦の前年 父
  の郷里 山口に疎開 S22年 広
  島に戻ったが、彼は今、言う――
  罷災者40万、死者20万、を埋め相
  生橋の狭、川は流れていく。――
  原民喜の生誕五一年の会の司会に
  出かけると彼は言う。
――沖縄のT氏、幼いころガマの鍾乳
  洞の人骨の手や足をオモチャにし
  て遊んだ、今も、出てきます、と。

風がわたる
mabui は雲根に揺れてまぶしい
“スリッツ”の地霊の声のように
ぶつ ぶつ 燬えているとしたら
――どれも これも まぶしい風景だ

 *スリッツ=イギリスの三人娘の総称名。「大地の音」CDはアフロミュージ
  ック風、呪文のようなやけにヴィヴラートのついた叫び声など。
  詩集『今晩は美しゅうございます』より

 ポエム・セミナー「自作を語る」14 日高てる氏の「沖縄のことなど」の最後に置かれた作品です。第2連の〈みどり〉には傍点がありましたが、きれいに表現できないので割愛してあります。ご了承ください。
 作品は沖縄の言葉と戦中・戦後の沖縄を〈まぶしい風景〉という共通項で見ているところが斬新だと思いました。




児童文芸誌『こだま』36号
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2010.3.21 千葉県流山市
保坂氏方・東葛文化社発行 非売品

<目次>
空がかがみ 岡嶋 芽 3           死と美の空間 美濃地弘樹 4
郵便ポスト キム ジェ ヨン 5       空 ハン ギョ レ 6
つりをしていたら 鶴岡彩乃 7        どろだんご 松崎奏人 8
ゆきの日に 村上龍之介 8          ゆきちゃんはカラス 中嶋早紀 9
体力テスト 鳥居大暉 9           初もうで 鈴木謙斗 10
きょう 野老由樹 10             もえつきた赤組 井上倭人 11
やった! 春山 樹 11            高槻市立生涯学習センター「子ども創作講座」から 12
信州大学教育学部附属松本中学校三年生の合作詩 26
小さなカニのようなクモが 菊田 守 28    名まえ 新川和江 29
梨の秋その後(遠い日の想い出) 松下和夫 30  明るい喪失 前原正治 31
トモコの冒険 宮本智子 32          光りのなかで 名古きよえ 33
百年史の片隅に 村田 譲 34         暁に翔ぶ 西隈哲夫 34
手紙を出しに 高島清子 36          もも色のポーチ 江本あきこ 37
花暦 冬−南天 神崎 崇 38         雪んこ 矢代レイ 38
チイチイ 津坂治男 40            羽化 志賀アヤノ 41
うれしいねんがじょう 中村洋子 42      新しい暦 市川つた 43
三猿 志村宣子 44              夏の日に 楠瀬貞子 44
小座布団 徳沢愛子 46            3つの春の詩 星 梨津子 46
迷い道 江部俊夫 48             お店のおはなし 神山暁美 49
仔ねこ 品田美恵子 50            アイドル 佐伯多美子 51
朝 葛城久美子 51              はじめまして 滝 和子 52
ありがとう またね 国吉節子 53       春のかくれんぼ 尾崎昭代 54
今年の節分 佐野千穂子 55          直美さんをしのんで 江島新子 56
佐久市立臼田小学校「五年生の教室」から    わかるが わからない 絹川早苗 70
 “お母さんって、今 幸せ?” 58      いかる 島田陽子 71
地雷 三本康子 71              はなちゃん 江島その美 72
白い海 大石規子 73             不吉 高橋あかね 74
にちようび 青山かつ子 75          パプー 伊藤ふみ 76
土竜叩き 武石
(たけいし)(つよし) 76.      風邪がなおった 岡島弘子 78
初めてのぼうず頭 星乃絵里 79        やわらかな地球 小沢千恵 80
ぼくのやる気 井立輝子 81          熊のあぶら 前田裕子 82
ぱんだのしっぽは 半透明 多田ひと瀬 83   引越し 田中眞由美 84
着飾っても 大倉 元 85           「ありがとう」 大石玉子 86
ともだち(二) 柳生じゅん子 87       虫籠 卜部昭二 88
回珍 久野美惠 89              サボテンが笑う よしかわつねこ 90
昭和時代のこども 渡辺京子 91        七草の日 原田 慶 92
太陽が顔を出す前に 清水栄子 93       旅立ち 村尾イミ子 94
地球を大切にしましょう 谷田俊一 95     江南再訪万歳 松尾美成 96
いのちの音 保坂登志子 97          フランスの詩 比留間恭子訳 98
アイルランドの詩 星 梨津子訳 110
.      見習水夫 トリスタン・コンビエール 水谷 清訳 104
オーストリアの詩 高橋あかね訳110
.      韓国の詩 徐正子(ソチョンジャ)訳 122
台湾の詩 保坂登志子訳 138
.         中国 雲南地方に伝わるお話(一)−竹筒のキセル− 保坂登志子訳 148
編集後記
表紙絵 内山 懋
(つとむ)




 
氷と水/河田陽向子 小三

氷は とけるとなくなる
水は とけない
氷は 水からつくる
水は ジャーッジャーッと ながれる
氷は 落とすと
「いたい」っと いっているみたいに音がする
水は「わあー」っと いって すべっていく

 小学校3年生の作品です。〈氷は とける〉けど、〈水は とけない〉という発想に驚かされます。〈氷は〉〈「いたい」っと いっているみたい〉、〈「いたい」っと いっているみたい〉という見方も斬新です。固体と液体の特徴を見事に言い当てています。この新鮮さを年齢に関係なく持ちたいものだなと思います。






   
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