きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2010.4.9 山梨 中村キース・ヘリング美術館




2010.5.10(月)


 苗を買ってきて、裏の畑に茄子、トマト、紫蘇を植えました。それぞれ3〜4株程度ですが、さてどうなることやら。
 いままでは義母が裏の畑を使っていたのですが、90を越して、さすがにシンドくなったのでもうやらないと言われてしまいました。それで見よう見まねの俄か百姓となったわけですけど、うまくいくのかなと不安です。まあ、ダメならダメでスーパーに行けばいいだけの話ですけどね。




水崎野里子氏編訳『現代世界アジア詩集』
新・世界現代詩文庫9
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2010.5.15 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1400円+税

<目次>
◆カンボジア
チェイス・ピアサス Chath PierSath
私はこうカンボジアを思い出したい・10    メコン河・11
雨の日・12                 老人と悲しみの聖なる海・13
人生の子宮から・14             飢え・14
泣きながら見る夢・15            僕は書く砕かれた詩を・17
サヴリス・J・ブンカセン Thavrith J. Bunkasem
戦争の潮流・18               奴らは俺をグックと呼ぶ・19
オンカーの子供労働者・20          アフリカヘ−私が愛し 別れのつらい人々へ・21
美しい夜・22
プラック・ソシアリー Prak Sotheary
クメールの誇り・24             私は聞いた・25
私のおうち・25
◆ベトナム
レ・ファム・レ Le Pham Le
誰が風を造る・26              認識・27
第一部 マレーシアでの滞在
木霊・27                  贈り物・28
符合・28                  流浪の者たち・29
プロウ・ビドン難民キャンプにて・32     夜遅く・33
素朴な願い事・34              移民の審問・35
約束の地へ・35
第二部 望郷
深夜・36                  おかあさん・37
夜風・37                  上り坂の路・37
マイ・スアン・フェリーに乗る・38      愛情・39
祈り・39                  太平洋の向こう側・39
第三部 第二の故郷
再出発・40                 夜の影・41
砂の城・41                 教会の鐘の音・42
絵画・43                  母からの称賛・44
人生のあらゆる道筋から・45         キム・ソン寺 カリフォルニア・46
ラム・シ・マイ・ダ Lam Thi My Da
夜の収穫・47                庭の香り・47
田圃の鳥の歌・48              爆撃弾痕地の空・49
地下の顔・50                緑の稲・51
米の選別・52                半月・52
私の梅の木・53               檳榔樹の香り・53
◆インド
シード・アメールディン Syed Ameeruddin
愛の歌・55
プリーティ・セングプタ Preety Sengupta
鳥たち・56                 人る・57
アフタブ・セット Aftab Seth
砕かれた玩具・58              黄土色の砂と鑿
(うが)かれた骨 あるいは走る特等列車・60
夜明けのカーテン・61
V・S・スカンダ・プラサッド V.S. Skanda Prasad
路上の乞食・62               疲れた心・63
燻と血・65                 日々の真実・66
ビドハン・ダッタ Bidhan Datta
大いなる魅力・67
◆韓国
金光圭 Kwang-kyu Kim
詩学・68                  夏 蝉はいなくなった・69
故郷・70                  幽霊・70
会話レッスン・71
◆フィリピン
エルマ・D・フォティカーム Elma D. Photikarm
コーヒー?……コーヒー?・72        タイのクワイ河・73
フィリピンの田舎の稲作農夫・75
◆台湾・中国
モールス・ヤング Maurus Young
子守歌・77                 山と水・78
ベイ・タ Bei Ta
落ち葉を拾う男・79
イエ・ビン Ye Bin
愛 美しい幻想・89
◆モンゴル
G・メンドーヨー G. Mend-Ooyo
天国と燕・81                新たな牧草地・81
古い寺の上の月・83
センデンヤフ・ドラム Sendenjav Dulam
模様・84
ヤダムバト・バアアター Yadambat Baatar
川の波・86
T・S・バヴウドリ T. S. Bavuudorj
安らかな空虚・87              像・87
月光の中で・88
◆イラク
ヨウシフ・アル-サイフ Yousif al-Sa'igh
イラクの夕暮・88
ファドヒル・アル-アザウイ Fadhil al-Azzawi
奴隷の少女の歌・89
サイナン・アントン Sinan Anton
囚人の歌・90                戦争T・91
マフディ・ムハメッド・アリ Mahdi Muhammed Ali
さかさまの絵・92
ビーケズ・ジュニア Bekes Jr. (Sherko Faiq)
奪われる・94
ムラド・ミカイル Murad Mikha'il
絶望してはならない・94
◆イスラエル
エルネスト・カーン Ernesto Kahan
八時の停戦−街の風景・95
◆トルコ
タラト・サイト・ハルマン Talat Sait Halman
イスタンブール・97             最後の子守歌・99
◆オーストラリア
モリー・ケネリー Molly Kennealy
無題・100
.                 無題・100
無題・101
.                 霧の中の城・101
ルイス・エソン Louis Esson
羊毛刈りの男の妻・103
◆日本
有馬敲 Takashi Arima
広島のクスノキ・104
◆アメリカ合衆国
ヒロシ・カシワギ Hiroshi Kashiwagi(日系)
ツーリレイクでの集会・105
.         水たまりにオシッコ・110
トーフ・111
.                思い出・113
散髪・113
J・L・カトー J. L. Kato(日系)
雛人形・116
.                私の日本の着物・118
バンザイ・119
アラン・チョン・ラウ Alan Chong Lau(中国系)
最初の会見・120
.              二番目の会見・122
足跡・125
.                 謝罪・125
帰郷・125
ユン-ホ・チョ Yoon-Ho Cho(韓国系)
孤独な道・126
アンジェラ・E・チュン Angela Chung(韓国系)
白木蓮・127
.                コスモスの花に・128
サンヒ・クワック Sang Hee Kwak(韓国系)
芦の原・129
.                雨・129
クムスク・ムン Kum Sook Moon(韓国系)
白い月・130
.                山風・131
ヒェシン・リム Hyeshin Lim(韓国系)
最後の希望・132
.              パン屋の恐怖・134
ニノス・アホ Ninos Aho(アッシリア系)
新しい世界の秩序・136
デイヴィッド・クリーガー David Krieger
長崎の鐘・137
偉大な詩人が死んだことさえ知る者は少ない−マフムード・ダルウィーシュ(一九四一−二〇〇八)追悼・138
テレシンカ・ペレイラ Teresinka Pereira(ブラジル系)
ガザの子供達・140
.             ネルソン・マンデラ・141
◆欧州連合
ジャーメイン・ドルーゲンブルート Germain Droogenbroodt
禅・143
.                  ヒマラヤの安らかな朝・143
訳者解説
『現代アメリカアジア系詩集』から『現代世界アジア詩集』へ−日本の詩に求めるアイデンティティの確立・146
詩人紹介・151
謝辞・出典記載 Acknowledgments・168




 
私はこうカンボジアを思い出したい/チェイス・ピアサス Chath PierSath
   The Way I Want to Remember My Cambodia

私は思い出したい
私は自由に野原を走った
見上げる空――手製の凧を空高く揚げる
風を愛しながら まっ白い雲を愛しながら

私は思い出したい
私は自由に太陽の中を走った
畑は私の自由 自由に走り回った 自由に歩き歌った
私自身に 木が生い茂る山々の神に
緑の田圃に
池のピンクの蓮の花に 黒い泥沼に
溢れる川の白い透明な歌に
幸福の虹に 野犬たちの
赤い交尾の叫びに向かって

私は感じたい 私の裸の体を愛撫する空気の戯れ
兄たちに包まれた子供のころの無垢な思い出
憎しみも戦争もなかった

私は思い出したい
割れた板の下に隠れたコオロギの甲高い啼き声
夜明けの霧の中それを聞きながら
コオロギを壺に捕まえた トンボを追った
鳥を狙って投げた石ははずれた 私の日々
釣り 太陽の中でのバッタ取り
太陽の燃える熱の中
牛の肥やしの中の甲虫探し
牛や水牛の群が小屋を離れている間に

私は思い出す 母の料理の火を 燃える炭の上で
焼かれる塩魚を 煮え立つシチューの匂い まな
板をたたく包丁の音を 戸外の台所で 料理の煙
は音を立てて 外に流れて行った 垣根の上で皮
を脱ぎ捨てるコブラのように


私は感じたい 私の浅黒いカンボジアの肌が大地
と遊びながらひび割れるのを 私の少年の茶色の
目が緑の竹を再び見つめるのを 花咲く黄色い丘
の香りに浸れるのを 私は欲しい 青い池の静け
さ 子供のころの白い川 感じたい 風が拭い去
るのを いまだ私の裸の体にしがみついている露


私は欲しい 私の百姓家 いまだあの村にある
あの労苦の大地の上に暮らしている人々の間に
そこで私は生まれた カンボジアに

私のカンボジアよ 再び語ってくれ
いかに古い幽霊が人間の魂に取り憑いているか
いかに怪物が死の芸術を形作るか 私は聞きたい
いかに女神が醜いものを美しいものに転じるか
私をその秘密の一部としてください
私を踊らせてください あなたの太陽の中で

 訳者解説でも書かれていますが、前著『現代アメリカアジア系詩集』をさらに世界的に拡大した編著詩集です。紹介したい詩がたくさんあったのですが、ここでは冒頭の作品を紹介してみました。戦争に明け暮れるカンボジアで、子どもの頃の〈カンボジアを思い出したい〉という切実な気持ちが表れていると思います。戦争という〈いかに古い幽霊が人間の魂に取り憑いているか〉を考えさせられました。




文芸誌『ノア』21号
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2010.4.30 千葉県山武郡大網白里町
ノア出版・伊藤ふみ氏発行 500円

<目次>

まほろば…飯島研一 2           桃太郎幻想…伊藤ふみ 4
ひばりと百姓…右近 稜 6         早春…倉田武彦 8
もう一度…野崎久彌 13           予約券…小倉勢以 14
ひだまりの時間…宮田まほ 15
旅行記 世界の半分に船からこんにちは!…森 ケイ 16
エッセイ
久万美術館の始まり…松岡義太 21      大きなブンダ…橋本榮子 22
俳句 びいどろの笛…上村文子 25
エッセイ 桃の節句…馬場ゆき緒 26
創作 千恵の場合(二)…川村 慶子 28
エッセイ
吉保さんの庭…高島清子 31         ある「母の日」に…保坂登志子 32
山の詩小説…山本 牧 34

生きる…伊藤ふみ 39            深紅のアンコール…伊藤ふみ 42
編集後記…44




 
予約券/小倉勢以

「友愛研究所」って
何をしているところ?
そこへ行ったら病気や怪我の手当て
食べ物も掟供してくれるかも知れない……
と考えたので
取りあえず今日の食事にも困っている連中が
行ってみることになった

リーダーは確信する
なにしろミスターHATOの党首が
実権を握ったのだから
われわれを見捨てておく筈がないと

みんな希望を捨てないで生きていこう
か細い宣言だったが
平和のシンボルマークを連ねた一群が
静かに進む冬の空

だがやがて先発隊は
オリーブの葉ならぬ一枚の
白い紙を銜えて次々と帰ってきた
何か食べさせてもらった?
いいえ と首をふり
空腹に涙目で
ぽとり と落とした
予約券

 〈友愛〉の精神で登場した〈ミスターHATOの党首〉だったのですが、結局は〈予約券〉しか出してくれなかったという作品です。〈希望を捨てないで生きてい〉けると思ったのですが、現実はかなり厳しいです。予約券すら発行しなかった前政権よりも良いのか、なんの形も見えないのに予約券だけを発行するのは、より悪質なのか、判断が難しい今日この頃ですね。




情報誌『oami あっとほっと』11号
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2010.3.1 千葉県山武郡大網白里町
あっとほっと編集室発行 非売品

<目次>
女神が見守る宮谷の杜 八幡様と本國寺
郷土芸能「宮谷坂」
グリンツーリズム大網




 
郷土芸能「宮谷坂」

 関東の三大檀林として正法寺の小西檀林も有名だが、ほかにも本町には本國寺の宮谷檀林があり、そこから分かれた遠霑寺
(おんでんじ)の細草檀林もあった。檀林とは仏教の学問所で、本國寺の宮谷檀林は250年もの歴史をもち、家康から10石の寺領を賜っていた。
 学僧は多い時には800人以上といわれるから、当時の宮谷檀林周辺はたいそうな賑わいであったろうし、門前町として栄えていただろう。現在は大規模な団地ができて大きく様変わり、新道も整備され地形も変り、当時の面影はほとんどない。

 しかし寺の近隣に「宿」のつく地名が残るのはその名残だろうか。当時学僧にもはかない恋があったようだ。
 大網宿の飲屋におさんという美人の娘がいて、このおさんは学僧たちのあこがれの的であった。学僧たちは修行を終えると、それぞれの郷元に帰る。その時、おさんとの別れをうたった「宮谷坂」という唄と踊りが残っている。学僧たちによって各地に広められ、念仏講などの集まりの時に鉦や太鼓を交えて皆で謡い踊ったようだ。その歌詞を一部紹介する。

〜宮谷坂では お鳩が鳴きます。鳩ではないよ 檀所
(だんしょ)の御所化(ごしょっけ)のこまぢ(学徒の履物)の音だよ。『山武郷土誌』大網白里町民謡の『宮谷坂』では
〜(1)宮谷坂で 宮谷坂で 宮谷坂で 鳩が鳴きます (2)何にとて鳴く 何にとて鳴く 何にとて鳴く おさんさらばと (3)鳩ではない 鳩ではない 鳩ではない こまずの音だよ (4)小西の台で 小西の台で 小西の台で 浜を見れば……と続き9番まであり、船橋から船に乗り、江戸へ渡った様子が唄われている。「宮谷坂」は保存会の方に郷土芸能として継承されているが、唄を謡う人も踊る人もまた、「宮谷坂」を知る人も少ない。宮谷の地に伝わるこの踊りを多くの方に広め、盆踊りのように皆で踊る事ができたらと願うが……。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 なかなか粋な話だと思います。〈こまぢ(学徒の履物)の音〉が〈鳩が鳴〉く声に似ているのでしょう。〈船橋から船に乗り、江戸へ渡った様子が唄われている〉とありますから、地域性もよく出ている唄なのではないかと思いました。






   
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