きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2010.4.9 山梨 中村キース・ヘリング美術館




2010.5.31(月)


  その1

 5月最終日。特に外出予定もなく、終日いただいた本を拝読していました。




すみくらまりこ氏詩集『光織る女(ひと)
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2010.5.20 大阪市北区 竹林館刊 1500円+税

<目次>
プロローグ Prologue
. 夢現(うつつ) 11    邂逅(めぐりあひ) 13
沼の花 17      潜る 19       刹那 21
空洞 23       秘密 25       月下の薔薇 27
涙川 29       露草 31       銀の蛇 33
しのび泣き 37    つぼみ 39      化身 41
抱擁 43       言の葉 45      忘れ草 47
水無瀬川 49     鏡 51        ともしび 53
命中 57       風草 59       帰り道 61
桜影
(はなかげ) 63   男傘 65       消失 67
無毒 69       恐れない 71     朝顔 73
思草
(おもひぐさ) 77   海藻 79       回廊 81
影草 83       語り部 85      気がかりり 87
息吹 89       沫雪
(あわゆき) 91.   雲母(きらら) 93
雨霧 97       ありのまま 99    痛み 101
写し絵 103
.     存在 105.      毀れた恋 107
沙羅 109
.      執着 111.      琥珀 113
金の鈴 117
.     頷(うなづ)き 119    舵(かじ) 121
こほり川 123
.    近くて遠いひと 125. 時ならぬ時に 127
のぞみ 129
.     再び 131.      沢蛍(さわぼたる) 133
明日への扉 137
.   おまへ 139.     空港 一 141
空港 二 143
.    空港 三 145.    草の香 147
油蝉
(あぶらぜみ) 149  途上 151.      無限(インフィニティ) 153
背後のひと 157
.   冬 159.       黙契 161
投企 163
.      無垢 165.      紫草 167
物思ひ 169 
.    夢衣 171.      走り星 173
エピローグ Epilogue
. 光織る女(ひと) 177.  糸車 179
あとがき 181




     
ひと
 
光織る女

虹の糸束
選り分けて、
時の経
(たて)
愛の横糸
光織る女
(ひと)

 A Woman Who Weaves Light

Sorting out
The rainbow threads made of dreams,
Warp of time
Weft of love
A woman weaves light.

 2008年『心薫る(ひと)』、2009年『夢紡ぐ(ひと)』に続く第3詩集です。英語対訳になっている詩集で、ここではタイトルポエムの日英語を紹介してみました。また、この詩集の意図についてはあとがきに書かれていますので、それも紹介しておきます。

 〈ここに第三詩集『光織る女(ひと)』をまとめましたが、これもヤフーブログ「喋のひとりごと」においてサンスクリット語をモチーフに五行詩を書いたのを集めて編みました。
 わたくしは龍樹の思想、「刹那滅」にたいそう惹かれており、詩を通じて儚さと、それに打克つこころを求めることが基底になっております。実際には恋愛を扱うことが多いのですが、それは生のエナジーが遺憾なく発揮され、その生涯を豊かに彩るものと思うからです。〉

 したがって1編だけの紹介では〈龍樹の思想、「刹那滅」〉まで読み取ることはできないと思います。機会があれば全編を読んでいただきたいものです。〈五行詩〉が格調高く呼びかけてくる詩集です。




『名古きよえ詩画集』2010
nako kiyoe shigasyu 2010.JPG
2010.5.5 京都市左京区 北斗書房刊 1500円+税

<目次>
はじめのことば 3
鐘 4        花ふぶき 6     視界 6
大地 10       結び且つ流れる 12  カバ 17
土は 19       空 20        茂る 20
さるなし 22     蓮の実 24      美しい炎を 26
ゆり籠 30      海の悲しみ 34    牛 37

平和の祈りが響く巧みな構成/ニコレッタ・チェッリ博士 10
軽妙なリズムで奏でる地球の未来像/山口知子 15
生命の尊さを考えさせられる/フランソワーズ・モリーレシャン 26
老婦人画家との出会い/名古きよえ 38
掲載作品 40
名古きよえ略歴




 


牛がいなくなってさっぱりした
衛生的にも良いし
草刈りもしなくていい
ずいぶん楽になった

ところが牛だけがいなくなったのではない
牛がいたからこそ
有機栽培をしていた
牛がいるからこそ
牛に愛情がもてた
草を刈り 病気を心配し
人と変わらないくらい
牛に愛情を持つことが出来た

牛の代わりに農機具が入り
堆肥の代わりに化学肥料が使われ
人手が要らなくなって
息子まで都会へ出た

牛は多くのものと一緒にいなくなった

 画家でもある著者の絵がふんだんに添えられた詩画集です。詩も絵も愉しめるのは、読者としてもありがたいし、贅沢な気分にさせられます。紹介した詩は最後に置かれた作品で、「しじまの階段」という絵が内容と合っていると思います。詩単独としても生命のバランスを考えさせられます。一つのものが〈いなくな〉るということは、他の〈多くのものと一緒にいなくなった〉のだと考えないと、人間の生存すら危うくなることを教えています。非効率でもよい、地球という生態系で物事を考えないと、人間そのものも〈いなくな〉るかもしれませんね。






   
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