きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2010.5.23 静岡 中勘助文学記念館




2010.6.16(水)


 日本詩人クラブ理事会からの要請で、会員の年齢構成を調べました。久しぶりにエクセルを使って計算して、グラフまで作ってみましたけど、使い方をすっかり忘れていました。以前は仕事で毎日使っていましたから気にもしていなかったのですが、4年も離れると難しいソフトなんだなと改めて思います。もちろん主要なところは覚えていますけど、グラフのX軸、Y軸の設定や文字列の挿入など、意外なところを忘れているので驚きました。もう10年も前の旧バージョンですから、新しいものはもっと使いやすくなっているのかもしれません。

 ところで日本詩人クラブの年齢構成。理事会の許可を得ていませんので詳しくは述べられませんが、平均年齢が60歳台であることは言ってもよいでしょう。決して若いとは言えませんけど、70歳台ではなかったのは意外でした。最近、30代・40代の若手が増えてきしたので、彼らが平均年齢を下げているんでしょう。ちなみに私は平均年齢を大幅に下回っていました。一安心(^^;




和泉田かおる氏詩集OBBLIGATO
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2010.6.30 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 2000円+税

<目次>
コンマ5秒のはざまに 4          聖なる願い 〜
Euphorbia helioscopia〜 10
告解 14                  散歩 18
シャボン玉 22               夕餉のひととき 24
かいな 28                 既望 刃
デジャ ヴユ 36              底に、其処に 42
コトバ 46                 不羈
(ふき) 48
すっぴん 54                TRIPLET 56
配達 60                  無常の 64
Conscious neglect 68           聞いてみなっせ 水面のその下 72
糸杉の梢 78                素描 82
冬 86
跋文「時の滴、存在の飛沫」 城戸朱理 90  後書 94




 
夕餉のひととき

ままごとあそびは たのしいな
あなたは 六つで
あたしは 四つ。
すなの ごはんは なくならない
なくならないから おわらない。

あなたは おっとで
あたしは つまで。
雑草ぬいて おかいもの
まいにち まいにち、
まいにち まいにち。
あなたは 七つで
あたしは 五つ。
よるの からすがなくころに
あなたは ゴザで ないている
わかれようよと ないている
しくしく しくしく ないている。

すなの ごはんは なくならない
なくならないから おわらない
あいしているよって
はらっぱで
すなの ごはんに うずもれる。

ままごとあそびは たのしいな。
くるしい あなたは
あたしの たのしい。

 35年ぶりの第2詩集のようです。副題には「不可欠な助奏」とありました。主旋律ではないが欠かすことのできない助奏、それがこの詩集の大きなテーマではないかと思います。紹介した作品は詩集の代表作とは言えませんけど、〈ままごとあそび〉に大人の世界が反映されていて、〈たのしい〉ながらも戦慄を覚えた詩です。〈なくならないから おわらない〉ままに私たちも生きているように思いました。




吉野重雄氏詩と随筆集『私の峠』
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2010.5.27 岩手県岩手郡滝沢村 高橋邦尚氏発行
非売品

<目次>

 T
春を待つ 2      清水の記憶 6     榛 10
鱗雲  16
 U
坊主山 24       家庭訪問 26      太平洋 28
 V
山峡の子 52
 W
四ツ家天守公教会 44  渡る 50
 X
レンギョウ 56     タラボ 60       カモシカ 62
野分け 64       南部牛追い唄 68
 Y
遠野盆地
(トオヌップ)寸描 74
 遠野三山 74      綾織 76        笛吹峠 77
 蓮台野 78       神隠し 79       青笹 81
 ザシキワラシ 83
 Z
河北小学校讃歌 86   白鳥の話 88
 [
運動会 94       道案内 96
随筆
笹峠 104
.       丸子峠 112.      大坊峠 120
山伏峠 128
作品に寄せて 國井達夫 138
あとがき
再版に寄せて




 
坊主山

あの赤いトタン茸きがタカオ
黄色の波は菜の花で
その向こうのくず屋根がツギオ
椿の油を絞って
母ちゃんが
天ぷらを揚げるといったミヤ子の家は
竹林の陰に見え隠れ

晴れた日には
気仙沼の海が見える坊主山で
みんなして口笛を吹き
競争で股メガネをしていたら
大船渡線の赤いジーゼルカーが
スィーッと
村を二つに分けた

新月駅は通過です

 1996年8月に初版が出て、14年ぶりに新装版として出版されたものです。著者は長く岩手県内の小学校に勤務し、3校の校長を歴任したあとに定年退職。作品は子どもたちへの視線があたたかく、とても読みやすい詩群でした。紹介した作品にもその一端が現れていると思います。〈大船渡線の赤いジーゼルカーが/スィーッと/村を二つに分けた〉というフレーズからは絵のような画面と同時に、ジーゼルカーが目の前を走っているような錯覚に捉われます。〈新月駅〉は急行が停まらないのでしょう。そんな田舎の駅への愛着も感じられました。






   
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