きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2006.5.29 さいたま・見沼たんぼ「見沼自然公園」にて |
○総合文芸誌『まほろば』64号 |
2002.10.1
奈良県奈良市 河野アサ氏発行 1500円 |
<目次>
詩
血 時代駅舎 3 ペンダント 時代駅舎 5
太陽を盗んだ男 時代駅舎 7 一番大切なもの? 河野善充 11
山の向うの茜空 西畑季佐 12 龍門石窟 三木 昇 14
古里 石田天祐 17 アラル海 石田天祐 18
ザブちゃん、さようなら 『死を前にして』 阪上誠一 21
石田天祐 19
エッセイ
『シリーズ・おんなの名前』 チャッティ・キャッツの放言録
野口繁雄 56 寝猫ドラゴ 70
観音寺詣で 石田天祐 72 龍の珠 石原滝子 80
昆布の道 宮本克巳.128
小説
ゴッホと佐伯祐三の軌跡を訪ねる 黒髪山(五) 小間 甫 84
旅 山田一好 64 ためらい 小間 甫 97
魔法の駒 河野善充.105 妖 石原滝子.101
デワ・プトゥ・モコ 亀井はるみ.110 作家片影.埴谷雄高. 村井英雄.113
轍のあとを(二) 久我久美子.119 「チョクセン」 河野アサ.134
俳句・川柳
後楽園(十七句) 三谷惠一 23
和歌・短歌
祈念 遠藤壽子 24 時の流れに(十一首)真鍋佐紀子 25
論文
穢れ意識と清めの問題について 「プラトンの論理・その二」
原内信光 30 阪上誠一 44
イザナミ語造語辞典(二)
石田天祐 51
編集後記 .149 表紙(絵) 山田一好
一番大切なもの?/河野善充
一番大切なものはなにかしってる?
ランドセルがまだ大きいわが子が聞いてきた
なんやろうなあ
それは命やで
得意満面の顔
それから二番目は何やと思う
矢次の質問
なんやろうねぇ
頭の中で色々浮かべる
それは「心」や
こころで考えたらその通りになるんや。
なるほどなぁ
その通りやなぁ
誰に聞いたんや?
自分で考えたんや
こんなこと誰も教えてくれへん
子供の頃の心を忘れずにいる大人は少ない
我が家の星の王子さま
少し誇らしく思う親ばかの私
「こころで考えたらその通りになる」と信じていた「子供の頃」を思い出させる作品です。確かにそれを「忘れずにいる大人は少ない」かもしれませんね。私も忘れていました。それにしても「自分で考えたんや/こんなこと誰も教えてくれへん」と応える「わが子」はすごい。おおいに「誇らしく思」って良いのではないでしょうか。
○総合文芸誌『まほろば』65号 |
2003.11.1
奈良県奈良市 河野アサ氏発行 1500円 |
<目次>
詩・短歌・俳句
天女の舞 三木 昇 4 詩 三編 時代 駅舎 7
詩 七編 山下 康子 14 詩 二編 大頭 昭一 24
もう、いないよ 石田 天祐 26 還暦の歌 石田 天祐 28
わが古里奈良三〇句 三谷 惠一 29 短歌 遠藤 寿子 31
短歌 山下 康子 33 道 真鍋佐紀子 34
エッセイ
詩評 船田 清子 39 貧乏物語 宮本 克巳 42
ダンドゥット庶民の歌 亀井はるみ 49 誰そ彼の記 石田 天祐 53
玉津岡神社の大阪相撲番附 石田天祐 60 花盗人十話 第四話 荒 破天 63
志賀内牧嗣漫遊記 志賀内牧嗣 67 見つからなかった帽子 野口 繁雄 74
故郷 野口 繁雄 76
小説
黒髪山(六) 小間 甫 78 作家近影 埴谷雄高(六) 村井 英雄 92
小説 妖(連載第五回) 石原 滝子 96 宙は燃えたか(連載第一回) 渓 紅.109
轍のあとを(三) 久我久美子.140 遊湯記 山田 一好.149
チャッティ・キャッツの放言録 寝猫ドラゴ.164 夢枕(ドリームメーカー) 河野 善充.166
見チャッタ 河野 アサ.170
論文
部落差別とは何か? 原内 信光.193 イザナミ語造語辞典(三) 石田 天祐.201
新約聖書の説得力 阪上 誠一.209
編集後記 .224 ●表紙(絵)「潮騒の村」 山田 一好
花の芯−老人病院にて−/大頭昭一
入浴開始のアナウンスが終ったので
ひからび こうちょくして
まるで化石のように やせこけた老婆を
やさしく抱えてあげる
シャボンの泡を
いっぱいたてながら
すり切れた タワシのような女の芯も
ゆっくり洗ってあげる
老婆のボショボショとした
まなうらに
あの春の日の うららな想いがこみあげたのか
花芯のまんなかが
ピクリッ と動いた
作者は介護士なのでしょう。「ひからび こうちょくして/まるで化石のように やせこけた老婆」でも、やはり女≠ネのだなと思います。「ゆっくり洗ってあげ」、「あの春の日の うららな想いがこみあげたのか」と見る作者の優しさが感じられる作品です。
○総合文芸誌『まほろば』66号 |
2005.2.20
奈良県奈良市 河野アサ氏発行 1500円 |
<目次>
詩・短歌・川柳
義兄の九月 三木 昇 4 AMERICA 時代 駅舎 6
ブッシュは馬鹿でない 石田 天祐 14 カンタータ 龍見 悦子 15
短歌 松坂 誠二 17 和歌三十一詠 眞鍋佐紀子 19
川柳「お題」死 森岡 満男 23
エッセイ
書簡エッセイ 職場放棄第一号の 鳩 亀井はるみ 28
露伴青年と古里余市の出会い 新井田 豊 25 相撲史研究ノート 石田 天祐 33
志賀内牧嗣漫遊記シリーズ 志賀内牧嗣 43 ウェールズ日記−ドーバーを越えて 野口繁雄 55
小説
ヨイトサット(一) 小間 甫 61 小説 妖(連載第六回) 石原 滝子 72
小説 宙は燃えたか(連載第二回) 渓 紅 89 轍のあとを(四) 久我久美子.110
チャッティ・キャッツの放言録 第五話 寝猫ドラゴ.117 水が溜まって、そして(前編)河野 アサ.120
蛇精の薮 山田 一好.128
論文
イザナミ語造語辞典(四) 石田 天祐.148 偽史倭人伝 石田 天祐.157
倒錯としての「死への憧れ」
−『午後の曳航』論− 阪上 誠一.174
編集後記 .184
□表紙(絵)とカット 山田 一好 □カット ねねこ すず子
表紙‥「アルノ河遠望」(イタリア・フィレンツェ)
ブッシュは馬鹿でない/石田天祐
ブッシュは馬鹿でない
金壺眼(かなつぼまなこ)で 顔が細く
臆病者に見えるが
馬鹿ではない
石油会社の経営に失敗し
アル中になったこともあるが
みごと立ち直り
大統領になった
アメリカの国益を訴え
大衆を熱狂させる演舌もすばらしい
一国行動主義を掲げ
世界制覇の戦争プランを立て
異教徒に先制攻撃をかけた
大量破壊兵器を投入し
劣化ウランをばらまいて
アフガニスタンとイラクの
独裁政治を撃ち倒した
石油施設を手に入れて
アメリカ軍需産業も潤した
テロリズムの誘発にも怯(ひる)まず
一兵卒の死体の山を乗り越えて
日本犬コイズミを従え
桃太郎ブッシュは今日も鬼退治
金壺眼の桃太郎を
馬鹿にするな (平成十六年九月二日)
確かに「ブッシュは馬鹿でない」でしょうが、姿勢がおかしいと思います。「一国行動主義を掲げ/世界制覇の戦争プランを立て/異教徒に先制攻撃をかけた」のは「石油施設」と「アメリカ軍需産業」という「アメリカの国益」のみを考えた行動で、そのためには「一兵卒の死体の山」が出来てもかまわないという発想には人間性の欠片も感じられません。そこを逆説として捉えた作品で、共感しました。
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