きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2008.1.22 爪木崎・水仙群生




2008.2.14(木)


 午前中は父親の通院に付き添って御殿場市内の病院に行ってきました。タイヤをスタッドレスに替えてありますから、いつ雪が降ってきても大丈夫だったのですが、残念ながら(?)降雪は無し。裏道の所々に残雪があった程度です。
 午後から印刷所にも行ってきました。先日依頼した日本詩人クラブ3月例会・研究会の案内状が刷り上ったのです。もちろん三ッ折までやってくれていました。しかし、請求書には三ッ折分の金額が入っていません。ん?と思って聞いてみると、なんとサービスだって!
 私が総務担当になってからお願いするようになった印刷所です。毎月印刷を依頼するとはいえ、だいたい1万円止まり。本造りも手掛けている、市内では大きな印刷所ですから、月1万円の仕事なんてゴミみたいなもの。それなのにちゃんと対応してくれて、嬉しくなりましたね。理事会で報告しなきゃ(^^;



西村富枝氏詩集『野菊』
第6次ネプチューンシリーズX
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2008.2.29 横浜市西区 横浜詩人会刊 1200円

<目次>
野菊 6       鳥になりたい 8   秋の蝶 10
断章 12       つるもどき 24    会いに 26
窓を開けると 28   駅 30        今日 34
途中下車 36     ギニョール 39    凧 42
自衛 44       独楽 46       りんごのうた 48
ことば 50      朝顔 52       一月であるうちに 54
二月 56       生まれ 58      祈りといのり 60
桜散り 64      長い夏の夜の夢 66  都合 68
桜 70        ライン川のほとり 72  空はくもりて 75
せみ 78       家 80        巣 82
消える 84      風景 86       形もなく 88
神に 90       音 92        坂道 94
明るい方へ 96
あとがき



 野菊

月が出ていると庭が呼ぶ
霜寒の気配ただよわせて
雑草を消した土に
柿の実が影を落としている
巣を残したままで
小鳥の戻らない木の梢
間もなく散って行くのだと
散り残っているわくら葉
日々のことから昼も夜も
通り過ぎた者たちの話をするために
上弦によせて
下弦によせて
時には闇にも
庭が私を呼ぶ
今夜の満月は泣ける
庭の隅から野菊が香ってきた
植えた主は
ホームの窓から見ているか
昔に野辺から持ち込んだ菊の香りが今
主のいないこの庭で

 4年ぶりの第5詩集のようです。「あとがき」から夫君が認知症になり始めているのが判り、詩集の前半はそれと関連していると思われます。ここではタイトルポエムであり巻頭作品を紹介してみましたが、「植えた主は/ホームの窓から見ているか」、「主のいないこの庭で」というフレーズから、夫君の不在を読み取っています。「昔に野辺から持ち込んだ菊の香り」が、過ぎた時間を甦られている作品ですが、詩作品に入れるには難しい「香り」を巧みに採り入れている点でも、上手い詩だなと思いました。



季刊詩誌『裸人』31(休刊)号
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2008.1.10 千葉県香取市
五喜田正巳氏方・裸人の会発行 500円

<目次>
■詩
生きる−天彦五男 3            WATARI−田中眞由美 6
秋晴れの日に−くろこようこ 8
■エッセイ
疎開っ子の戦記−石原 武 12        スイスと自然と薔薇と詩と−水崎野里子 14
■詩
恵比寿で−長谷川忍 17           インドへの道−水崎野里子 20
そうじをしよう−水崎野里子 24
■エッセイ
川崎に「詩」を訪ねて−大石規子 27
■詩
蟻の行方−大石規子 32           分去りの−五喜田正巳 34
灯り点して−五喜田正巳 36
■雑記
受贈書・後記 39              表紙・森五貴雄



 蟻の行方/大石規子

蟻が一匹
バスの天井を しゃかしゃか歩いている
焦って

丸い 排気口のまわりを うろうろ
Uターンを繰り返す

蟻は逆さまになっても 歩けるんだね
土の上も歩けるし 尊敬ものだね
細いスマートな足は 天井も掴めるんだ!

蟻は二番目の足から歩き始めるっていうけれど
どれが二番目の足なのか 私には見えない

排気口のまわりを ぐるぐる
出口を探しているにちがいない
きゃぁ とも 助けて とも言わずに

終着の停留所で するする
下へ下へ歩いて
運転手さんの置き傘の中へ どぼん!
もう出られない

世界は 殺人 強盗 テロ 爆弾
私一人 一匹の蟻の行方を心配している

 代表者の体調不良で、しばらく休刊にすると「後書」に書かれていました。毎号楽しみにしていた詩誌だけに、残念です。早いご回復を念じております。
 今号で紹介した詩は、「一匹の蟻」から一気に「世界」に目を転じた最終連が見事です。「一匹の蟻の行方を心配している」ことと世界の「殺人 強盗 テロ 爆弾」への思いが同質なところに詩人の面目躍如たるものを感じます。「尊敬もの」の蟻を見つめる眼が、そのまま人間の平和を願う眼と重なった佳品だと思いました。



一人誌『粋青』52号
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2008.2 大阪府岸和田市
後山光行氏発行  非売品

<目次>

○詩絵「花」抄 つわぶき(4)       ○紅紫檀 (5)
○すいふよう(6)             ○柊(7)
○厄除けに(9)              ○朝の星(10)
○あかり(12)               ○漂流する朝・9(14)
スケッチ (8)(17)
エッセイ
●絵筆の洗い水【28】(16)         ●アメリカ出張記(16) 
Elkhart,Indiana(18)
●舞台になった石見【42】山陰土産 島崎藤村(20)
あとがき
表紙絵:2005年12月 ベトナムにて



 あかり

子供のころ
夜の山道を通るときなど気をつけろと教わった
遠くいつもは無いはずの位置に明かりが見えたら
キツネが近くにいると
近くに明かりを見つけたら
まだ遠くにキツネはいるから大丈夫だと

人生の過半を過ごして
遠くコンドミニアムかマンションか
明かりを見ながら帰路を進む
明かりだけを見ていると
たくさんの幸福な家庭があるような気がする

いつか
異国の有名な国際空港に夜遅く到着して
向こうの丘に灯るたくさんの明かりに
ほっとした記憶がある
よくよく聞いてみると
この国では低地ほど高級住宅で
そこは盗電された明かりの
スラム街だったけれど
夜のなか 明かりは輝いていた

夜のなかに輝くことで
すべてをかくして人に安心感をあたえる
もう都会には
キツネも住めないだろうが
キツネ火のようなたくさんの明かりのなかで
人は人類の首を絞めながら化かされている
明かりが増えた量だけ
人類の将来が閉ざされはじめている
キツネ火の不安が見える

 「キツネ」の話は私も子どもの頃に聞いたことがあります。もう半世紀も前のことです。今では確かに「都会には/キツネも住めないだろう」と思います。そして、同じ最終連の「キツネ火のようなたくさんの明かりのなかで/人は人類の首を絞めながら化かされている/明かりが増えた量だけ/人類の将来が閉ざされはじめている」というフレーズに納得します。作者と同じ団塊世代の一員として、私にも「人類の将来が閉ざされはじめている」責任があると思った作品です。



個人詩誌『玉鬘』44号
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2008.2.3 愛知県知多郡東浦町
横尾湖衣氏発行  非売品

<目次>
◆詩 「空いていない土地」  「足音」
   「バグダッドの雪」   「空へ」
◆御礼*御寄贈誌・図書一覧
◆書作品
◆あとがき



 空いていない土地

草が生い茂り
そこに一本の樹があった

「空き地ってさ、
 もったいないよね」
という会話が聞こえてきた

 空き地?
 何となく抵抗を覚えた

そこには
バッタやミミズ
トカゲやヒバリ
クロモジの樹やススキ
いろいろなものが

生きているのは
人間だけじゃない
いろいろな命が
つながって生きているのだから

区画整理で
消えていった小さな世界
開発は
本当に豊かになるものなのだろうか
絶滅危惧種が
どんどんどんどん増え
絶滅種も
どんどんどんどん増えていく
 共存と共生は違うもの
共に存するではなく
共に生きていく方が
豊かなのではなかろうか

空き地なんか
本当は存在しないんだ
そこに生きているものが
確かに息をしているのだから

 「空き地なんか/本当は存在しないんだ」という発想に共感します。人間にとっては「もったいない」かもしれませんが、「生きているのは/人間だけじゃない/いろいろな命が/つながって生きている」ことに改めて思いを馳せます。「共存と共生は違うもの/共に存するではなく/共に生きていく方が/豊かなのではなかろうか」というフレーズにも考えさせられますね。どこにでもある「空き地」を動植物の視点で描いた佳品と云えましょう。



   
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