きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.9.27 栃木・和紙の里 |
2008.10.31(金)
午前中は近くの家電量販店に行って、Faxのインクリボンを買ってきました。あとは自治会の組長として組内から集金したお金を納めて、用事はそれだけでした。午後からはいつも通りいただいた本を拝読。日々これ平穏無事、といったところでした。
○アンソロジー『千葉県詩集』41集 |
2008.10.26 千葉県茂原市 千葉県詩人クラブ・斎藤正敏氏発行 2000円 |
<目次> 表紙・扉カット(原画の約1/4・1/2) 岩崎巴人
トランペット草の花の下で…赤木比佐江 6 魂魄…秋田高敏 8
夏のソウル…秋葉信雄 10. 南風(なんぷう)U…秋元 炯 12
花火…朝倉宏哉 14. 花と人と…天彦五男 16
肉声 −死者は語らない.だから私達は代弁する−…荒井愛子 18
断章…阿波三千子 20. 山羊の妄想…杏 平太 22
日韓文学交流…飯嶋武太郎 24. 蝋涙…池山吉彬 26
風日記…諫川正臣 28. 復元ポイント…石井弘知 30
尻をぬぐう…石井藤雄 32. あてのない手紙…石井真也子 34
紫陽花…石毛海津江 36. 私だけの傑作歌…石橋満寿男 38
《心音》回帰への旅…石村柳三 40. クロッカスの詩…磯貝景美江 42
それもひとつの生きる道…市村幸子 44. 月と田んぼ…伊藤ふみ 46
幸せな老人…稲葉セキ 48. 大笑安居(たいしょうあんきょ)の歌…岩崎巴人 50
球形の鏡…上野菊江 52. エシャレットとラッキョウ漬け…鵜飼千代子 54
河童の涙…宇田川敬之助 56. 日々…内田紀久子 58
激突…内山朱美 60. 彼岸花を見る時…宇山智子 62
人間のうた…瓜生幸三郎 64. 未完の『裸婦』…大掛史子 66
かぜくさの中で…大塚理枝子 68. 残照…大野杏子 70
「心」…大橋恵子 72 炎暑…岡田喜代子 74
空(から)っぽは…岡田優子 76. 紫陽花模様…小関 守 78
ビバ・サンビバ…尾田愛子 80 愛の精が実を付ける季節…尾村りつ 82
ジグソー.パズル…小山ふみ江 84 川…片岡 伸 86
遠い浜辺の記憶…金子 仁 88. 同級会…神尾加代子 90
手作りの風車伝説…上山ひろし 92. 渡り鳥になって…川本京子 94
星の墓標…鬼島芳雄 96. 忘れたいことが…倉田 茂 98
夾竹桃…くろこようこ 100 ある高層ビルについて…小池肇三 102
くじ引き…小笹いずみ 104 からまるもの…木場とし子 106
終着近い昼…小林貞秋 108 よろめいて…小林千恵子 110
こんなによい日はない…近藤文子 112 もしかして…斎藤正敏 114
初夏…榊原しのぶ 116 白いヨットヘの思い…坂口圭子 118
流れ星…佐藤つや子 120 魂の抜け殻/くすぐったがり…佐藤三夫 122
盆地…佐野千穂子 124 巡る季節に−厨房にて…志賀アヤノ 126
一枚の絵について…雫石尚子 128 風景…篠原義男 130
移ろい…柴田節子 132 猫になりたい…下野幸雄 134
夏空の色…庄司 進 136 てんてんと落ちている音符…白井恵子 138
満月とこおろぎ…末原正彦 140 母の日…杉浦将江 142
猫と仕切りと隣の奥さん…鈴木 俊 144 夜間パトロール…鈴木建子 146
返信「ごりの里」へ.荒賀意雄氏へ…鈴木豊志夫.148 十三夜さま…鈴木文子 150
化身…高崎 忠 152 秋音…高野利代 154
中華無粋亭…高橋 馨 156 花の抄…高橋博子 158
一閃…高橋文雄 160 厨房に入る…高橋昌規 162
夏の手紙…高安ミツ子 164 五行五連詩 春風…高安義郎 166
捕る捕られる段…滝口悦郎 168 月・銀木犀…田中智子 170
十七日…田村きみたか 172 草笛…田村重子 174
散る桜…近村沙耶 176 母…土倉ヒロ子 178
電車…角田 博 180 「国の交戦権は、これを認めない。」と報復の方向なのではなく…遠山信男 182
モロッコのタンジェにて…富田和夫 184 麦笛と少年…中井 清 186
真夜中の散歩…中嶋清一 188 蒼空よ…中谷順子 190
ふる里喪失…中村日哲 192 白い息…中村洋子 194
ある日…中村淑子 196 やわらかい決意…永井たかこ 198
野呂浄苑…長田一枝 200 追憶の秋…西田 繁 202
鬼来迎…根本 明 204 李花さん…野村 俊 206
或る日…橋川幸子 208 ゆきのした…長谷部桂子 210
壁…浜野好春 212 花のやうに…早瀬 岳 214
夢…春林秀夫 216 ロマンチックな悪球…平野きよはる 218
あじさいT U…福原弘子 220 癒しという名の闖入者…保坂登志子 222
妻の口癖 〜銀婚式の日に思う〜…星 清彦 224 森の生命のバトン−はじめての自由研究− 星野 薫 226
手放す…細野幸子 228 新年の手帳…本間義人 230
老樹…前田孝一 232 落日…前原 武 234
ぼくの宇宙旅行…松下和夫 236 あららの誕生日…松田悦子 238
あさがお…丸山彩子 240 百合のこと…岬 多可子 242
坂…水崎野里子 244 朝のノート…三方 克 246
庭に来る鳥…南浜伊作 248 化石の世紀…宮内泰彦 250
五月の風…宮崎 聰 252 編集後記…宮武孝吉 254
老樹…宮本勝夫 256 あの児が泣いている…村上久江 258
蝮…村上佳子 260. 『月のまぶしいサクランボ』…村崎深樹 262
言葉の絵/葉の無い柿…山形栄子 264 靴…山口静雄 266
非連続の連続−小景紡ぎ歌−…山佐木 進 268 旅の人…山崎全代 270
窟…山中真知子 272 ふるさと…山野井悌二 274
雨/空にさよならする日…山原まほし 276 アルミの弁当箱…山本龍生 278
虫が往く…吉川純子 280 霜の朝…吉沢量子 282
つばき花…よしだおさむ 284 たそがれ…米元照子 286
(以上 141人、五十音順)
参加者住所録……288 発行にあたって・後記…294
中華無粋亭/高橋 馨
歳末に近い深夜。
残業帰りのサラリーマンがラーメン屋の前で、小銭入れを確認してい
る。もさっと入ってくる。ダスター・コートの中年男である。
狭い店内は客でほぼ満席。
空いた丸椅子に掛けて、壁に貼られた品書きを読む。
サービス・ラーメン三百五十円、他に焼豚ラーメン八百円、五目ラー
メン七百円、味噌ラーメン六百円、醤油ラーメン五百円――。
「サービス・ラーメン」と男。
客はもくもくと食べたり汁を飲んだりしている。
しばらくして、男の前にラーメンがどんと置かれる。
箸を取って、もくもくと食う。
隣にいる男のドンブリよりも自分のが、ひと回り小さいのに気づく。
男、それでも食い続ける。
ふと自分が隣の男よりも肩ひとつ小さいように感じる。なおも食べ続
ける。気づくと、自分もドンブリも、まわりの男たちよりも小さい。
男、うっかり箸を落とす。拾おうと腰をかがめるのだがどうにも手が
届かない。仕方なく丸椅子から飛び降りる。
箸を拾い、椅子に攀じ登るようにして食卓に戻る。前に大きなドンブ
リがある。その縁に手をかけて苦心して登る。
登りきったところで、ラーメンの中にぽちゃんとすべり落ちる。ぎち
ぎちした脂の浮かぶ汁の中を夢中になって泳ぐ。麺やシナチクが浮かん
でいて、それにかじりつこうとするのだが、うまくいかない。
溺れそうになったとき、箸がすいと伸びてきて――、
「ちぇっ」と舌打ちして、摘ままれて、ひょいと投げ捨てられる。
丸椅子の下でダスター・コートのミニチュアのような小男が頭を土間
に打ち付けて鼻血を流している。
虚ろな目には、丸椅子に腰掛けて、ラーメンを平らげ瀬戸のスプーン
で汁をすすっている男が映っている。
総勢141名という大冊です。紹介した詩はなんとも面白い作品で、カフカや安部公房を思い出してしまいますが、これはあくまでも高橋馨という詩人のオリジナルな世界だと思います。絵に描いたような〈もさっと入ってくる。ダスター・コートの中年男〉がだんだん小さくなっていくところ、〈「ちぇっ」と舌打ちして、摘ままれて、ひょいと投げ捨てられる〉ところなど、まるで私のサラリーマン時代を見ているようでした。「中華無粋亭」というタイトルも良かったと思います。
○季刊文芸誌『礁』8号 |
2008.10.30 埼玉県富士見市 礁詩社・穂高夕子氏発行 非売品 |
<目次>
詩作品
夕焼けて 佐藤 尚 2 雨・ふりつのり 佐藤 尚 4
破片 濱 泰雄 6
俳句 墓洗ふ 川端 実 10
エッセイ
八月の夢 川端 実 10 平家物語の世界(3) 川端 実 12
金子みすゞの詩を読む(8)穂高夕子 18 水泳雑考 秦健一郎 22
花青みゆく日々 中谷 周 26
詩作品
晩夏 近村沙耶 32 蝉になる 穂高夕子 36
滝の方へ 穂高夕子 38
編集後記 …………………………… 40 表紙デザイン 佐藤 尚
滝の方へ/穂高夕子
下がり花 下がり花
夜明けになると
滝の水を湛えた
ゆたかな川面いちめんに
花が落ちる
スポットを浴びて舞いながら
あでやかに着水した一輪ずつは
触手を伸ばす羽虫になって
ふるえ たゆたい 絡まり合い
今年も
珊瑚礁の海を目指す
下がり花 下がり花
右舷と左舷に
灰白い花群れを掻き分けながら
わたしの小舟は遡る
滝の方へと
滝の方へと
〈下がり花〉というのは花が下がっている状態を言う一般名詞かと思いましたが、ネットで調べると固有名詞であることが分かりました。別名サワフジ、舞香花とも言い、西表島に自生しているようです。添えられた写真では〈あでやかに着水した一輪ずつは/触手を伸ばす羽虫になって〉いることも確認できました。さらに〈夜明けになると〉〈花が落ちる〉様子を見るためにカヌーで漕ぎ出すようで、作品の〈小舟〉もそれを指していると思われます。〈右舷と左舷に/灰白い花群れを掻き分けながら〉〈滝の方へと〉進む〈小舟〉が、映画の1シーンのように眼に浮かんでくる作品だと思いました。
○会報『文芸西さがみ』41号 |
2008.11 神奈川県小田原市 非売品 奥津氏方事務局・西さがみ文芸愛好会発行 |
<目次>
《文芸作品に描かれた西さがみ》完成 1
12月13日に《5人の出版を祝う会》開催 2
《第13回西さがみ文芸展覧会》開催のお知らせ 2
◆野地安伯歌集『風の通る道』 3
◆鈴木冨士子句集『紫苑』 3
◆加藤三朗詩集『ガラス玉の地球』 3
会員の消息/活動 4
今号の目玉は「《文芸作品に描かれた西さがみ》完成」です。この春から出版の準備に入りましたが、ようやく完成の運びとなったものです。拙HPの更新遅れのため、紹介は前後してしまいますけど、どんな本かは
こちら をご覧ください。小田原の伊勢治書店でも発売されますので、よろしかったらお求めください。
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