きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.5.16 新潟・大棟山美術博物館(坂口安吾記念館)




2009.6.4(木)


 天童大人さんプロデュースの「詩人の肉聲とコトバを聴く!」プロジェクト 
La Voix des Poetes(詩人の聲)に、第343回として再び参加してきました。タイトルは「第4詩集『22時の女』を読む」としました。どんな詩集かは こちら にリンクしておきましたので、よろしかったらご覧ください。

 場所は渋谷駅から東急田園都市線でひと駅、「池尻大橋駅」から徒歩15分ほどの、前回と同じ「
Star Poets Gallery」という小さな画廊です。時間は画廊の営業が終った午後7時からで、お茶も出ないのに前売り2,500円も支払って、今回も9人もの人が来てくださいました。しかも、宇都宮や小田原地方からもおいで下さり、感激!です。おいでいただいた皆さん、ありがとうございました。

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 撮影は神奈川県のO女史。拙HPに載せたいのでと無理にお願いしました。さっそく送っていただき、ありがとうございました。
 マイクなし、1時間連続というのは2回目ですから、それなりに慣れて、最初の頃ほどの緊張はありませんでしたが、今回も思ったほどの聲は出なかったなと反省しています。もっと練習しないといけませんね。
 前回の反省から、今回はトークを抑えました。そのせいか60分の予定が、50分ちょっと過ぎて終了。あとは天童さんが話をしてくれて時間調整。これも今回の反省点です。60分と言われたら、60±1分ぐらいにしないとね。

 懇親会は会場の目の前の居酒屋で。こちらもほとんどの人が残ってくれて楽しむことができました。この懇親会の席で、新たに朗読をしてもいいという詩人が現れました。天童さんがやっていることに理解を示す人が増えていくことは、賛同者の一人として嬉しいことです。
 次回はたぶん9月頃でしょう。2010年9月の国際ペン東京大会までに、もっと場数を踏んで、自分でも納得できる状態になりたいものだと思っております。




奥主榮氏詩集『日本はいま戦争をしている』
現代詩の新鋭11
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2009.5.30 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1800円+税

<目次>
レクヰエム 6                 こまねずみ 10
おおきなじしんがありました 12         あまかすさん 14
つみあげられた 16               みちしるべ・1 18
みちしるべ・2 20               たった半年
(はんとし) 24
らくど 28                   新しき都 34
生きる 36                   実は 38
日本はいま戦争をしている 44          柊の壁 48
ぴかどん 54                  夜のむこうがわから 62
ちかい  66                  百日紅の花が散り落ちて 72
奥主 榮 78                  日本はいま戦争をしている 84
パッション 90
あとがき 94




 
日本はいま戦争をしている

日本はいま戦争をしている
おおきみのみこころのまま
世界のとこしえの平和のために
多くの人々が力を合わせ そして
血を流している
日本はいま戦争をしている
ことばをつむぐわたくしは銃後にこの身を置き
つづる文字の一つひとつを
よりきたえあげていかなければならない

トーチカの中 凍える手で三八式を抱き寄せる若人
荒鷲の上でまなじりを決し蒼穹の彼方を見据える青年
土埃の中の遠い国境線を強い意思で守りぬくもの
あらゆるたたかう人々の心のひだに
しみいり力づける詞を書かねばならない
我が国はいま聖戦をおこなっているのだ

くろがねの船で海を越え
すぐれた力強い足で大陸を踏み分け
べとんの要塞を築きその上に
青空よりも尚高々と日章旗を掲げ
いかなる国も日本晴れたれと
世界の為のとおとい犠牲を
海に山にとつみかさねていく吾が祖国
その御民たるわたくしたちのことばは
けして柔弱であってはならない
みづくかばねくさむすかばねとなってゆく
一柱ひとはしらのたみくさの墓標となり さらに
世界へと日出る地の力をしろしめす
そんなことばでなければならない

 第1詩集です。ご出版おめでとうございます。この詩集の出版意図はあとがきで明確に述べられていますので、それも紹介しておきましょう。

<小学校の教室で、放課後本を読んでいた。
 太平洋戦争のとき、戦争に反対した人々がどんな迫害を受けたか。いじめられっ子だった私は、自分が心無い言葉を投げつけられ、理不尽な嫌疑をかけられるような気持ちになりながら読み進めた。そのうちにふっと、生まれる時代が違っていれば、私自身が主人公の側を非難する側にまわっていたのかもしれないと気がついた。
 何か大きなことが進行していくとき、それに賛同する人、協力する人は必要である。そうした背景を考えれば、かつての戦争は国民の同意のもとに行われたことであるという主張にも正しさはある。けれど私の興味は、人がどのような形で自分の意思を決定するのに外部からの影響を受けるかということである。これまたいじめられっ子であった経験から書けば、いじめられる子がいじめる子に対して卑屈になるのは、単に力の上で劣るからではない。相手によって巧妙に、自分が無価値な存在だと思い込まされていくからである。
 気がつかないうちに自分自身の意思を奪われていく。そうした状態そのものを描けたらと思った。ここでは十五年戦争を素材とした。今後も機会があれば戦後、あるいは時代をさかのぼり明治維新以降の日本の社会のいろいろな変遷を扱いたいと思っている。ここに収めきれなかったことにも、そうした中で触れることができればと思っている。>

 本詩集中にタイトルポエムは2つあります。ここでは最初の方の「日本はいま戦争をしている」を紹介してみました。この詩はあとがはからも明らかなように反語と採ってよいでしょう。〈ことばをつむぐわたくし〉の、〈人がどのような形で自分の意思を決定するのに外部からの影響を受けるかということ〉が見事に具現化していると思います。敗戦後14年を経て生まれた著者の、戦争を見る眼に敬服します。今後のご活躍を祈念しています。




濱本久子氏詩集『敦煌のカラス』
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2009.6.1 横浜市西区 福田正夫詩の会刊 1500円

<目次>
T 西風が吹くと
花の名前 8      赤紫蘇 10       詩人の名前 12
チロ 16        渡邉先生の向日葵 20  渡邉先生の授業 24
魚屋のお嫁さん 28   義母の死に顔 32    西風が吹くと 38
U 敦煌のカラス
アラジンのランプ 44  ひまわり 46      Kさんの大連 48
満州の夕陽 52     龍門石窟の廬遮那仏 56 殷墟 58
洛陽からの絵はがき 62 西安の花 66      敦煌のカラス 70
武則天 74       山丹長城の羊飼い 76  成田空港十一番ゲート前 80
カシュガルのクローバー 84           砂棗の蔭 88
ベナレスの少年 92
詩集「敦煌のカラス」に寄せる 金子秀夫 96
あとがき 濱本久子 98




 本詩集中の
「詩人の名前」はすでに拙HPで紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたのでご鑑賞ください。




個人詩紙『縞猫』19号
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2009 兵庫県西宮市 中堂けいこ氏発行 非売品

<目次>
詩 うら文字
  化石にはならない
「ブラザー軒」のタカダワタル



   
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