きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2009.6.11 掛川・加茂花菖蒲園 |
2009.7.25(土)
昨年11月に86歳で亡くなった、詩誌『地球』主宰の秋谷豊さんを偲ぶ会が埼玉・浦和の「さいたま市民会館うらわ」で開催されました。会場には秋谷さん愛用のピッケルやランプも飾られ、登山家としての側面も持つ秋谷さんらしい偲ぶ会だったと思います。参加者は会場の定員2倍の300人ほど。そのため急遽第2会場、第3会場まで設置し、ビデオ放送までやったそうです。亡くなってすでに8ヶ月。衰えぬ秋谷人気に驚くばかりですが、それとともにスタッフの皆さまのご努力には頭の下がる思いをしました。
秋谷さんと私のつながりはそれほど深くはありません。『地球』主催のイベントに何度かおじゃましたことと、秋谷さんから一度『地球』同人にお誘いいただいた程度です。しかし、80歳を超えても海外に出掛け、各地の詩人と交流する姿には敬服していました。そんな思いから今回の偲ぶ会に参加させていただきましたが、良い会だったと思います。改めて秋谷豊さんのご冥福をお祈りいたします。
○季刊詩誌『地球』148(終刊)号 |
2009.7.25 千葉市若葉区 鈴木豊志夫氏方・地球編集委員会発行 2000円 |
<目次>
特集 秋谷 豊 追悼
秋谷豊追悼…金 南祚…7
秋谷豊論 戦後詩復興と抒情精神…中村不二夫…8
詩情はともし火の如く中天に帰る −秋谷豊先生を哀悼する(佐々木久春訳)…沈 奇…24
風鈴の音さやかに(佐々木久春訳)…楊 克…25
詩人交遊千里の開拓者 秋谷豊先生を悼む…陳 千武…29
秋谷豊さん逝く…金 光林…31
半世紀にわたる詩友 追悼秋谷豊氏…新川和江…32
浪漫主義者の傘 −秋谷豊兄に…石原 武…33
山の詩について語るとき…中島 登…34
西夏文字 −秋谷豊氏に…荒賀意雄…40
最後のロマンチストとの栄光 詩人・秋谷豊追慕…石原 武…41
秋谷豊・近年のアルバムより…45
追悼 秋谷豊特集 2009地球同人作品集
詩 エッセイ
秋本カズ子 風媒花 生きる道 48
秋山 公哉 タクラマカン 驚かされました 50
あさい裕子 みずのみち 錆びない人 52
阿部 正栄 黙示 秋谷豊先生との出会い 54
網谷 厚子 ハーフ・ムーン 時代が動くとき 56
荒木 元 爪のうちがわに吹く風 あるがまま 58
池上耶素子 不意に孤独 感謝のうちに 60
池田 瑛子 幼い文字 秋谷豊氏の思い出 62
石島 俊江 昼の月 二十年の思い 64
石野 茂子 異国の風のなかで さくら・もののあわれ 66
石原 武 カシュガルへ行く 秋谷さんどこを歩いているのですか 68
伊集院昭子 火曜詩会 旅と映画と音楽を 70
一瀉 千里 透明人間になって 秋谷さんが 居た日々 72
井上 朝之 天を仰いだ国定忠治 名伯楽 74
植木 信子 朧の空を抱けば 地球 76
鵜飼 攝子 飛びちる音 夏の十字架 78
梅本 賢次 願いの風 詩と私 80
浦田恵美子 お父さん、安らかに・虚ろ 「地球」との出会い 82
大石 親子 困る夢 永訣 84
大森 隆夫 半月 岩−秋谷豊氏の逝去を惜しんで− 86
岡崎 純 蛙と蛇 秋谷さんと福井 88
岡本 雅子 地球という☆(ほし)の中で 詩の心そして優しさを通して 90
小関 守 追憶の風景 秋谷豊氏の旅立ちを悼む 92
金沢智恵子 世界のどこかで ラニ(LANI)との出会い 94
金子万里子 少年は暗闇の中で/タトウ/てふてふが・・・・ 96
香山 雅代 二羽の黄鶲(きびたき)と少女. この世の花そして天国の蕾 98
河内さち子 朝焼けの空 秋谷先生に 100
川中子義勝 大榧−秋谷豊氏を偲んで. 『地球』−「大榧」のころ 102
菊池 唯子 振り返ると 詩を愛する心 104
北川 山人 冬の芽 一瞬の生一瞬の死 106
北原 千代 地上の家 泉 108
木下ひとし 胡天西方詩鈔 胡楊林 遥かなる樓蘭 110
喜 春子 詩の祭り 秋谷豊さんからいただいた宝物 112
木村 和夫 優しげな空気に触れて 秋の終わりの詩 114
木村 ララ わたしという人. 『地球』からの風−昨日・今日・明日− 116
久保 克彦 時を鎖のかたちに 秋谷さんへの敬慕 118
熊沢 雅晴 海鳴り 蕗の薹に寄せて 120
香野 広一 変貌の秋 初対面は喫茶店で 122
小林 茂 苦い道のりを 124
小林登茂子 燃え尽きて 少年の日のままに 126
サーカー和美 休日〜流れるプールで〜 久遠まで 128
斎藤 正敏 山を呼ぶ 秋谷豊さんへ 原体験を生きる 130
榊原 敬子 水仙 愛する人の葬儀の日その知らせは届いた 132
桜井マリ子 馬酔木(アセビ) のりこえるおもい 134
佐々木久春 弾道下のわが町をいとおしむ 中国との交流 136
ささきひろし 永遠を歩く 秋谷豊先生との出会い 138
里見 静江 染みる手 輝いていた時 140
三宮 昭一 もう一つのご馳走 先生に感謝して 142
塩田 禎子 光のなかへ ある日の会話から 144
四釜 正子 トラウマ 殻をやぶる 146
島田 陽子 だから わたしは 「地球」という場所 148
清水 榮一 回想−モスクワ放送− 雑話三題 自転車掃除 教室 「月の砂漠」 150
下村 和子 男と女 恐れ 152
白川 淑 八という字は さざ波文字のひと 154
新川 和江 孤独な出発 「地球」の青春 156
鈴木豊志夫 顎氏の伝統 赤い糸 158
鈴木 正樹 ネパールに行こう 僕にとっての『地球』.160
関口 隆雄 どぜう. 『地球』をふりかえって 162
田井 淑江 Lhasa−天空の聖都ラサヘ−/−神の地へ− 「地球」をふりかえって… 164
高橋 絹代 永遠の少年は 薩た峠で 166
瀧 葉子 気配 −今でも耳底に− 168
谷口ちかえ この場所はどこ? 「瞬間(とき)」を書く 170
辻田 武美 あの時のシーンは風のように ふりかえれば煌く 172
対馬 正子 そらに生えて ヒトAのそらごと 174
都留さちこ 遺跡 詩 176
中尾 敏康 誰がための挽歌 一通の手紙 178
中島 登 幻影のかなたへ 「地球」よ さようなら 180
長田 一枝 野呂浄苑 秋谷先生 182
中原 かな 耳飾 詩の存在 184
中原 秀雪 夢の器 詩との出会い 186
名古きよえ ウミガメの卵 神を思う人 188
野間亜太子 お上への貝多羅葉 モンゴルでの思い出 190
羽田 敬二 弧状列島 192
花籠 悌子 日昏れて 天を仰いで 194
浜江 順子 隣人のうろこ 秋谷豊さんのこと 196
林 哲也 まなざし 出会いと別れ 198
比留間美代子 花水木の葉先からの滴り 私の小詩論 200
福井 久子 観念のような柔軟性−木の断面− 詩誌「地球」の思い出 202
藤坂 信子 花と父 ほろ苦い私の花物語 204
星 雅彦 天皇陛下 万歳 惜別 206
星 善博 遠い木霊 「成蹊」の人 208
星野美恵子 冬の蝶 継続は力なり 210
堀込 武弘 永遠の詩人秋谷豊先生に捧げる 秋谷豊先生との出会いと念(おも)い 212
前川 整洋 谷川岳の一ノ倉沢にて ネオ・ロマンチシズムの登山の詩 214
槇 さわ子 黒のバラード 詩人秋谷豊さんとの出会い 216
牧田 久未 最初の一歩と最後の一歩の会話 四日前 218
松井 郁子 蒼天の源へ 「風の匂いの人」を偲んで 220
松下美恵子 落花のあと キツネのはなし 222
見上 司 未来にふいに −火星大接近の夜− ぼくの歌 224
みくも年子 羊 詩人 生き成りの詩 226
水木 萌子 峠 峠での出会い 228
水橋 斉 ストレイ・シープ 「地球」は永遠に不滅です! −新黙示録運動(アポカリプス)をめざして−230
三田 洋 仮面のうしろ 抒情は知性や認識も包容する 232
三好由紀彦 端緒 地球のゆくえ 234
向田 若子 綾取り 詩作の旅 236
村田 寿子 水の在り処 砂漠のミイラ 238
森 三紗 雪の風紋 自未先渡得度他 240
森田 進 山の桜 神学と詩 242
森野 満之 巡拝 品川駅 故人の言葉を読む 244
安森ソノ子 山へのまなざし 秋谷豊氏たちとの四十年間 246
柳原 省三 猫がやってきた. 『地球』と私 248
梁瀬 重雄 生き返ってこい ありし日を偲んで 250
山崎佐喜治 シャングリラの一日 私の『秋谷豊先生語録』.252
山路 豊子 どこかから 「詩との日常」 254
山田由紀乃 どろどろドロン この時代に伝える詩 256
山中真知子 春の痣 ネパールへ 258
山本 衞 野球 ふたりの父 260
山本美代子 雪 詩と形 262
結城 文 エヴェレストの空を仰いで 独行と集団と 264
吉川 悠子 魂を運ぶ鳥 「地球」という詩誌が在(あ)ったからこそ! 266
吉田ゆき子 椿 回想 268
吉永 素乃 飽食の時代に 地球の上で「地球」に乗って 270
渡邊那智子 二都物語 修業の日々 272
見上 司 ソネット34 ソネット35 274
地球情報
訃報 秋谷豊さん…編集部…275
報告 「地球の詩祭 2008」…斎藤正敏…277
報告 2009『地球』新年現代研究会…関口隆雄…279
地球の詩祭2008(アルバム)…281
資料地球賞の33年…282
■編集後記
小林登茂子…283 大石親子…283 堀込武弘…283 中島 登…284 斎藤正敏…284 山中真知子…284 鈴木正樹…285 秋山公哉…285 結城 文…285 松下美恵子…286 谷口ちかえ…286 川中子義勝…286 塩田禎子…287 鈴木豊志夫…287 石原 武…287
(表紙・とびら・本文カット/鈴木豊志夫)
○詩誌『GATE21』6号 |
2009.6.30 茨城県つくば市 塚本敏雄氏方発行所 非売品 |
<目次>
【詩】
通い路 生駒正朗…2 農い川の流れのなかで 福田恒昭…5
サンクコスト 柴原利継…8 春の宇宙を 塚本敏雄…11
【特集】語りの言葉/言葉の騙り………………14. 【ゲスト招待作】せんせいあのね.西村健 …16
ヒトデナシ スイッチ(Nに) 塚本敏雄…18 喋喋哺哺 柴原利継…20
永遠の娘 福田恒昭…22 お遍路 生駒正朗…24
【エッセイ】
断章集 EDGE6「言葉の身体性」 福田恒昭…28
【同人短信】From the GATE
生駒正朗…32 福田恒昭…32 柴原利継…33 塚本敏雄…34
春の宇宙を/塚本敏雄
ある会議に出席した午後の帰り道
小さな町のはずれの
小さな橋を車で渡った
一瞬
土手沿いの
菜の花の咲きほこる小道を
傘をさした二人の小学生が
歩いていく
光景が見えた
そこは
細かい雨が降りそそぐ球形の宇宙
球形の宇宙がふわふわと
移動していく
光景
真新しいランドセルを背負い
黄色い帽子をかぶり
黄色い傘をくるくる廻し
何やらしきりに話しながら
帰っていく男の子と女の子
たぶん他愛のない話なのだろう
だが
わたしにしても
うらうらと益体もない話ばかりしながら
いつのまにか
何十年も過ぎてしまった
菜の花の咲く小道から
会議帰りの弛めたネクタイまでの距離
「帰り道には十分に気をつけなさい」
担任の先生もたぶん
君たちにそう言ったことだろう
とおい昔
昼下がりの緩やかな光りが差し込む
木造教室で
幼かったわたしも
そんな声を
聞いたような気がする
拙HPでは初めて紹介する詩誌です。同人4人に今号はゲストが一人というこじんまりとした詩誌ですが、力のある詩人たちばかりという印象を持ちました。ここでは「会の所在」となっている塚本敏雄氏の作品を紹介してみました。〈二人の小学生〉が差す〈傘〉を〈球形の宇宙〉と見る視線が斬新です。〈二人の小学生が/歩いていく〉〈菜の花の咲く小道から/会議帰りの弛めたネクタイまでの距離〉という、現実の風景と時間の凝縮も見事です。〈木造教室で/幼かったわたしも/そんな声を/聞いたような気がする〉というのですから、たぶん私と近い年齢なのでしょう。今後も注目していきたい詩誌です。
○詩誌『詩創』18号 |
2009.7.31 鹿児島県指宿市 350円 鹿児島詩人会議・宇宿一成氏編集 茂山忠茂氏発行 |
<目次>
詩作品
もう一度はなくても‥植田文隆 2 もう一回‥‥‥‥‥‥植田文隆 6
行合の空‥‥‥‥‥‥島 洋 7 愛の歌‥‥‥‥‥‥‥田中秀人 8
恋の歌‥‥‥‥‥‥‥田中秀人 9 大人‥‥‥‥‥‥‥尾堂香代子 11
即興‥‥‥‥‥‥‥岩元しげる 13 神話‥‥‥‥‥‥‥岩元しげる 15
カメレオン‥‥‥‥おぎぜんた 17 ひまわり‥‥‥‥‥おぎぜんた 19
生と性‥‥‥‥‥‥おぎぜんた 21 昭和十六年生まれ‥‥桑山靖子 22
談話‥‥‥‥‥‥‥妹背たかし 25 妖怪‥‥‥‥‥‥‥妹背たかし 27
椅子がない‥‥‥桐木平十詩子 29 握手‥‥‥‥‥‥桐木平十詩子 31
ビラを配る‥‥‥‥‥岩元昭雄 33 平和について‥‥‥‥松枝 徹 35
早く見つけないと‥‥野村昭也 39 放火(2)‥‥‥‥‥‥野村昭也 40
流れて尽きず(5)‥‥野村昭也 42 詩の言葉‥‥‥‥‥松元三千男 44
勘所‥‥‥‥‥‥‥松元三千男 46 長生き‥‥‥‥‥‥‥茂山忠茂 48
花の香り‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 50 囁き掛けてくる‥‥‥徳重敏寛 51
私の心も‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 52 薔薇よ‥‥‥‥‥‥‥徳重敏寛 53
新しい世界に‥‥‥‥深谷篤史 54 雨の日‥‥‥‥‥‥‥田畑夏来 55
燕‥‥‥‥‥‥‥‥‥吉元留美 56 思い出のひととき‥‥岡田正美 57
ありがとう‥‥‥‥‥上薗理絵 58 手話教室‥‥‥‥‥町中奈津美 59
雫と卵‥‥‥‥‥‥木之下麻里 60 七分二十秒‥‥‥‥‥東 愛子 61
つゆあけ‥‥‥‥‥白仁田雅和 62 夕焼け‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 63
朝のメニュー‥‥‥‥宇宿一成 65 雨座‥‥‥‥‥‥‥‥宇宿一成 66
エッセー 不安いっぱいの毎日/女性県議三名はさびしい‥園田實則 67
詩集評・詩誌評 培養室‥宇宿一成 68
詩創十七号読後感 自然に湧き出るほどの思いが‥岩元昭雄 83
おたよりから‥88
後記‥94
受贈詩誌・詩集‥96