きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.6.11 掛川・加茂花菖蒲園




2009.7.27(月)


 夕方から
東京電機大学の丹羽ホールで、グーグル問題に関する第2回日本ペンクラブ・日本出版学会合同シンポジウムが開かれました。今回のテーマは「日本版デジタル・アーカイブを構想する 〜公共基盤・民間運営・表現の自由の観点から〜」。パネリストと演題は下記の通りです(敬称略)。
 長尾 真(国立国会図書館長)「国立国会図書館のデジタル化計画と今後の課題」
 秋重邦和(大日本印刷株式会社 常務取締役)「コンテンツインフラの運営と将来像」
 三田誠広(作家 日本文藝家協会副理事長)「著作者にとってのデジタルアーカイブ」
 山田健太(専修大学 日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)「表現の自由の立場からの問題提起」
 植村八潮(東京電機大学出版局 日本出版学会副会長)=司会 「出版インフラの概況報告」

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 シンポジウムの詳細は、第1回に引き続いて電子文藝館委員長の大原雄さん(言論表現委員会委員・理事)が日本ペンクラブHP、http://www.japanpen.or.jp/about/cat81/post_195.html でコンパクトにまとめて公表していますからご覧になってください。

 その中でも書かれていることですが、今回はデジタル・アーカイブ大賛成の印象が強かったなと思います。もちろん私はデジタル化に反対するつもりはありませんし、むしろ推進側ではないかと思うのですが、従来の文化をどう守るかという視点が足りなかったように思います。この場合は紙の本ですが、戦後の一時期は酸性紙が使われてボロボロになってしまいます。それを救うためにもデジタル化するのは賛成。と同時に現物をどう保存するかという観点。具体的な例を挙げるとすればそういうことでしょうね。酸性紙本を救う研究も進んできているようですから、このシンポに合致するかどうか分かりませんけど、両方の視点で考えることが必要かなと思いました。

 話題の国立国会図書館長が出席するから、というわけではないでしょうが、雨の中、前回よりも多い200人ほどが集りました。関心の高さが伺えます。
 始まる前の時間を使って、10分ほど電子文藝館の宣伝・デモンストレーションをさせていただきました。こちらも興味を持っていただけたようです。





中津攸子氏著『戦跡巡礼』
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2009.8.15 東京都板橋区 コールサック社刊
1428円+税

<目次>
一章 大陸・巡礼
秋天の悲しきまでに白き雲 12
.         二〇三高地さざんか揺らす風 14
乃木坂の思はぬ蟇に逢ひにけり 16
.       秋風の僅か流るる盧溝橋 18
伏牛の辺より白蝶翔ちにけり 20
.        西日照る七三一の部隊跡 24
風激しくなる大連の夕焼雲 28
.         虹立ちぬライオンのはく水の弦 30
しぐるるや寝釈迦の前の一兵卒 34
.       ひっそりと赤の広場の春の雨 38
鳥追の布残されし刈田かな 42
.         残照の果てなかりけりうろこ雲 44
遠雷淋しき時に鳴りにけり 46
二章 太平洋諸島・巡礼
拳強く握る真夏の真珠湾 54
.          バンザイ岬海上に湧く雲の峰 58
夏草やモンテンルパの観世音 60
.        水牢をのぞき込みたる暑さかな 64
夏の海光るマゼラン上陸地 68
.         白き蝶舞ふ司令部の廃墟跡 72
炎天覆ふ千のこうもり乱舞して 74
.       涼しさや椰子の葉先の昼の月 76
三章 東京・広島・長崎・巡礼
飛行雲夏草の果て暮れ残る 82
.         亡き父の真意に気付く今日の花 84
(ともし)消し正座して聞く花火音 94       蜻蛉(せいれい)や水草揺るるままにゐて 96
逝く夏やB29の滑走路 100           天空に機影消えゆく原爆忌 102
陽を浴びてゐる半眼の雨蛙 106
四章 特攻兵士・巡礼
天炎えて特攻の碑の影探し 114
             白雲の映るがわびし夏の川 118
海に向く特攻の碑や寒雀 122          人間魚雷錆びひとひらの山桜 126
逃げ水や霞ケ浦に浮く帆船 130
五章 沖縄・巡礼
海原の沖へ沖へと白き蝶 138          秋の空墓石声なく群がりて 140
激戦の跡紫のすみれ草 142           獅子
(シーサー)を誘(いざな)ふに似て黄水仙 146
とかげの子瞬時石垣に隠れたる 152       炎上の幻に似てももたまひ 154
はまゆうや掌にある星の砂 158         春月と波打ち際を歩みけり 160
流れ星いくつ流るる喜屋武
(きやん)岬 164     小船漕ぐ人新樹光あふれゐて 168
遠雷や死なばなりたき夕暮色 172
六章 戦後・巡礼
藁馬に水を供へる敗戦日 178          一枚を文庫にはさむ渓紅葉 182
消防車幾台通る雪の夜半 184          色なき風白衣の人の会釈して 186
若夏や江田島に寄る波の音 190         甘薯煮て坊ちゃんの清に似たるかな 198
良寛の修行跡とや遅桜 200           背鏡で帯結びゐる終戦日 202
春灯
(ともし)嫁ぐ前夜の寝顔かな 206.       うぐいすや太古を語る要石 208
遠峰晴首立てて鳴く鶴の恋 212         遠き日やビルの谷間の夏の月 214
誰が魂と知らねど今朝の白桔梗 216
       指軽く結び秋風通しけり 218
 解説 鈴木比佐雄 222
 あとがき 234
 著者略歴 238




 (帯文より)

天炎えて特攻の碑の影深し

忘れもしない、国民学校四年生の私は、一人で特攻機を見ていた。(
四章 特攻兵士・巡礼 より




季刊詩誌『新怪魚』112号
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2009.7.1 和歌山県和歌山市
くりすたきじ氏代表・新怪魚の会発行 500円

<目次>
  前河正子(2)夕暮れ               今 猿人(4)『実践』
  桃谷延子(7)この道              五十嵐節子(8)吾亦紅
  中尾彰秀(10)南方熊楠              中尾彰秀(11)ムニムニパー
  岡本光明(12)いつもの空白          くりすたきじ(14)空瓶の人
  細川治男(16)覚悟<T>・覚悟<U>         細川治男(17)膨らむ
 中川たつ子(18)鳥の鳥(その三)          井本正彦(20)風ひかる
  上田 清(22)初夏の一日             北山りら(24)夜桜・たんぽぽ・一本の・凋落
  北山りら(25)紅椿・おかえりなさい・空白      北山りら(26)雫・萎えても・あめふり
  エッセイ(27)山田 博
編集後記
装丁/くりすたきじ




 本号の全作品を 
http://blog.goo.ne.jp/shinkaigyo-417 で読むことができます。ご参照ください。




会誌『りんどう』34号
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2009.7.7 東京都渋谷区 実践国文科会発行
非売品

<目次>
〈挨拶〉大楠木のように…(会長)加瀬和子…2
〈総会報告〉…原 康代…3
〈総会講演〉日本人と植物行事……湯浅浩史…4
「源氏物語」は切れはしも大切…横井 孝…14
〈追悼〉分銅惇作先生…栗原 敦・宮木孝子・岩壁有里・野部亮子・大幡弘子…28
〈寄稿〉実践女子大学在職の頃…竹本幹夫…40  演博と私…飯尾美甫…43
 実践桜会の任を終えて…若松幸子…44
〈短大の学生編集〉学園案内…田中 薫・他…48
〈研究〉「志賀直哉」と「その祖父」…安西悠子…56
〈ふるさと紀行〉鉱毒の街足尾――幼時の思い出を辿って…大貫晶子…62  うまれ育ったまちに生きて…上田理子…80
 学生兼主婦の二足のわらじ…本田憲代…72
〈職場の現場より〉その1 図書館司書として働く…横山あや子…76  その2 おはなし源氏物語…内田由美子…104
〈研究〉福島県の「おくの細道」考X…田口恵子…86
 マレーシア・ペナンにて…藤倉万里子…90
 自著を語る 「にゃーごとあろう」父の後ろ姿の周辺…小山内富子…92
〈評伝〉原民喜評伝 花の幻Y…小野恵美子…108
〈新刊紹介〉鈴木政子(23)小澤八重(85)柳澤和子(116)深井美奈子(117)
〈短歌〉柳澤和子(24)小澤八重(26)新井静穂(36) 小崎靖子(38)
〈俳句〉吉岡美水(54)中田あかり(68)定松靜子(70)
〈詩〉 たてのたかこ(98)標野ゆき(100)小林比呂古(102)
〈国文科会からのお誘い〉バス旅行=沼津周辺・御用邸から若山牧水記念館…(67)
平成20年度決算報告・平成21年度予算案…鈴木美知子…120
・総務部のお知らせ…部谷紀久子…122
・事業部のお知らせ…加瀬和子…123
・財務部のお知らせ…鈴木美知子…125
・国文科会委員名簿…119
・編集後記…原 康代ほか…126
◎学生編集の学園案内について(118)
◎「りんどう」への原稿募集・編集委員募集(118)
〈表紙〉望月春江 〈題字〉於保みを 〈さし絵〉藤田京子(7)(9)(57)






   
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