きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.11.18 神奈川県松田町・松田山山頂付近




2009.12.17(木)


 西さがみ文芸愛好会の会報『文芸西さがみ』45号の印刷、発送を行いました。印刷は小田原市内の文房具屋さんで安い所があって、枚数によりますがコピーは1枚7〜8円、簡易印刷だと5円ほどです。店主は几帳面な人で、私たちにやらせるのではなくて、自分でコピー・印刷を全部やってくれます。B5の原稿は1枚コピーをとってB4にしてから印刷して、あとできちんとB5に裁断してくれます。今時そういう文房具屋さんも珍しいなと思いながら便利に使わせてもらっています。

 1時間ほどの時間をみていたのですが、20分ほどで印刷完了。そのあとは近くの会計係さんのお宅にお邪魔して発送作業をやらせてもらいました。総勢4人での作業ですから、これもアッという間に終わって、そのあとのお茶の時間の方が長かったかもしれません(^^;
 これで今年の西さがみ文芸愛好会の仕事は終わりです。お忙しい中、時間を作っておいでくださった編集委員の皆さん、発送会場を提供してくださった会計さん、ありがとうございました!




会報『文芸西さがみ』45号
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2009.12.20 神奈川県小田原市
奥津氏方事務局・西さがみ文芸愛好会発行 非売品

<目次>
《第14回西さがみ文芸展覧会》特別展『西さがみ文芸愛好会代表・播摩晃一の足跡』 1
《第14回西さがみ文芸展覧会》作品募集要項 2
《故・播摩晃一代表を偲ぶ会》を開催 3
《文芸を楽しむ会 −朗読とピアノ演奏−》を開催 3
会員の活動/消息 4
ひとこと 4




 上述の発送作業を行った会報です。今号では写真を3枚使いました。印刷をした文房具屋さんが写真入りなので気を遣ってくれて、今まで以上の奇麗さです。レイアウトは編集委員のOさん、センスの良い仕上がりになったと思います。会員の皆さまはどうぞご覧になって、何かありましたらご遠慮なくお知らせください。
 なお、《第14回西さがみ文芸展覧会》の内容はすでに拙HPでお知らせしていますので、
こちら をご参照ください。来年3月、多くの皆さまがおいでくださることを希っています。




俳句雑誌『紋』88号
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2009.5.1 神奈川県南足柄市
紋俳句会・松下康雨氏発行 非売品

<目次>
引く鳥……………………松下 康雨…2    風の圏……………………松下 宏民…4
はこべ摘む………………飯山 澄子…6    三方五湖…………………小林千鶴子…6
白鳥戻る…………………佐藤 陽子…7    趣の山々…………………田島 晶子…7
枝垂れ梅…………………田代 孝子…8    熊野古道…………………米山 律子…8
酒匂一月句会記…………石崎 シゲ…9    作 品……………………新井 昌子…10
秋の小半日………………酒井 愛子…16    紋第八十七号作品鑑賞…松下 宏民…18
作 品……………………西島 康乃…20    駿河湾内浦漁港祭………清水 勝子…23
三島から沼津へ…………松下 康雨…24    食いしん彷のたわごと…松下 康雨…26
紋俳句会作品……………………………28    表紙 出澤洋子




 
三方五湖  小林千鶴子


黄落や横風受けて派手にとぶ
校庭の落葉フェンスを駈けのぼる
秋桜色濃き風の吹き抜ける
人の世は変らぬまゝや月に雲
歌声の丸く軽やか冬ぬくし
時雨るゝや障子の紙の緩びをり
日溜まりに留守居の猫や浅き冬
天井に龍の滴れる寺の冷え
冬霧のあはひに見付け信濃川
三方五湖霧に隠れて霧の海
薮柑子千両万両冬富めり
千両のその優しは鳥の響
千両の一もと庭を広げをり
照り栄ゆる日陰の葉うら実千両
千両の赤き実黄の実ひびき合ふ

 毎回書いていることですが、私は伝統的な俳句や短歌にまったくの門外漢です。従ってトンチンカンだとは思うのですが、〈人の世は……〉は良いなと思います。〈月に雲〉はおそらく人類の発生以前から〈変らぬまゝ〉でしょう。それに対して〈人の世は〉移り変わりが激しいとよく言われます。でも、よく考えてみれば人の世だって何も変わっていないじゃないか…。生まれて食べて、そして死ぬ…。そんなことをこの句は言っているように感じました。
 〈日溜まりに……〉もおもしろいなと思います。〈日溜まり〉と〈留守居の猫〉で微笑ましい情景が眼に浮かんできますし、その季節が〈浅き冬〉というのも絶妙です。真冬ではこの微笑ましさが出なくてダメで、春先では日溜まりの暖かさが出てきません。もちろん夏は論外。
 こうやって見ると、詩に比べて俳句の切り取り方は厳しいなと感じます。詩は言葉に制限がないだけに冗長になっていないか、それを改めて考えさせられました。




詩の雑誌『鮫』120号
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2009.12.10 東京都千代田区 鮫の会発行 500円

<目次>
鮫の座 飯島研一――表紙裏
[作品]
さ迷う言の葉 瓜生幸三郎――2       始まりの終わり 大河原巌――4
あ・そう 仁科龍――6           放射線シンドローム 松浦成友――8
老婆と娘 芳賀稔幸――10          HANAKAKUSI――12
つう 岸本マチ子――14
[詩書案内]
石川逸子・詩集『ロンゲラップの海』 高橋次夫――16
柴田三吉・詩集『非、あるいは』 原田麗子――16
君島蓮晶・詩集『蜜酔い蜜はだし』 瓜生幸三郎――16
[作品]
みたまのふゆ 原田麗子――18        海上渡御 井崎外枝子――21
冬の月 飯島研一――24           具現 いわたにあきら――26
へんな ひ 前田美智子――28        ヒガンバナ 高橋次夫――30
鳥居くぐり 原田道子――52
[謝肉祭]
遊びたい・む 前田美智子――34       冤罪?絹の枕事件 仁科龍――35
日常言語と詩語の狭間で 原田道子――36
[詩誌探訪] 原田道子――57
編集後記    表紙・馬面俊之




 
さ迷う言の葉/瓜生幸二郎

水はときに激しく身もだえる
澄んだ瞳が
ひとを呑み込む蛇の目に変わり
せまい空間をのたうち
やがて跡形もなく消え失せる

みよ鰯のように大挙して
時代の波涛に打たれながら
言の葉が水のような空を泳いでいる
あ行から始まり んで終わる
楷書体から草書まで
意味を求めて雲が流れた

せわしなく過ぎる午さがり
一期一会を求めて
一足跳びか三段跳びかの
暁と夕の物語
なぞめいた言の葉が
まなうらを飛び交い
影のように散り敷いていく

足早に過ぎる千年の足音
立ち去りがたい地点に立って
うなじを回すと
遠く血煙りとともにかけていく軍馬のいななき
さらに遠く防人のうた

とどめたい言の葉は一体どこをさ迷うのか
多くの空間を傷つけ
多くの人身を奪った
手垢のついた言葉は
水に浮かんだ
悪の紋所

 〈言葉〉についてこのように書かれた詩を初めて見たように思います。たしかに〈鰯のように大挙して〉〈楷書体から草書まで/意味を求めて〉〈流れ〉ているのが言葉なのかもしれません。〈軍馬のいななき〉は日清・日露戦争の頃、〈防人のうた〉は万葉の時代。そんな昔からの〈手垢のついた言葉〉に私たちはまみれているのだと改めて感じます。その〈悪の紋所〉である言葉に、詩人はこれからどう向き合うのか、そんなことも考えさせられた作品です。






   
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