きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.5.16 新潟・大棟山美術博物館(坂口安吾記念館)




2009.6.17(水)


 制作依頼されている小説集『見捨てられた人々』の再校を受け取りに市内の印刷所に行ってきました。その際、著者から問い合わせがあった、ハードカバーにしたらいくらになるか、その見積りも聞いてみました。現在はソフトカバーで計画していますが、予算からのはみ出し具合によってはハードカバーの方がいいかな、という著者の希望に添うものです。結果は、不可でしたね。予算の1.6倍ほどになってしまいます。もともと都内の出版社に比べれば半値ほどの制作費ですから、比率が高くなるわけです。

 その旨は著者も理解してくれて、当初の予定通りのソフトカバーでいくことになりましたけど、日本の書籍はハードカバーが多すぎるというのが海外作家の意見のようです。海外にはほとんどハードカバーがなく、日本の書籍を見ると奇異に感じるそうです。その感覚が良いか悪いかは別問題で、出版文化の違いがありますから一概に言えませんが、そう思う人も多いということは知っておいてもよいでしょう。書籍カバーに見る彼我の違い、なんて論文が書けるかもしれませんね。




宮城隆尋氏詩集『ゆいまーるツアー』
現代詩の新鋭13
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2009.5.30 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 1800円+税

<目次>
川 6         ゆいまーるツアー 8    交通道徳 12
空の切れ目 18     協定 22          教育 30
ぽきぽき 36      これがうちなーさあー 40  人形 46
白い生物 50      依存症 54         ドレッシング 58
権利 64        かさぶた 68        澱み 74
雪 78         名前を付けて保存する 80  かなし実 86
しまう 92
あとがき 96




 
ゆいまーるツアー

ゆいまーるツアーにご参加下さいまして誠にありがとうございますゆいまーる
とは助け合いの心でございまして強盗殺人強姦放火などがあっても米兵を疑わ
ずに土地や予算を提供し基地を一県のみに押しつけられてもようこそおいで下
さいましたと笑顔で観光客を出迎える沖縄県民こちらではうちなーんちゅと言
いますがその心を表しております

右手に見えますのが空手でございます毎朝のラジオ空手は夏休み中の子どもた
ちにとって日課のひとつです体育の授業で全員が型から実戦まで経験していま
すので沖縄の子どもとケンカになると正拳突きでみぞおちをやられますご注意
下さい

左手に見えますのがハブでございます沖縄の子どもたちは網を持ってハブとり
に出かけますが最近はデパートでハブ飼育キットなどを買って観察日記をつけ
る子も多いようです子どもはハブを持ち歩いてケンカをしますのでマングース
と血清は手放せませんご注意下さい

前方に見えますのが演習の砲弾が積もってできた烈火宇乱岳でございます標高
504メートルで沖縄本島一の高さを誇り休日は家族連れのハイキングでにぎ
わいますが帰宅すると髪の毛が抜け落ちて体中に黒い斑点が現れますご注意下
さい

後方に見えますのが婦女子をナンパするイラク帰りの米兵たちでございますむ
げに断ると拉致・輪姦されますので女性たちはやんわりと英語で遠慮したい旨
伝えます英語を勉強していない婦女子は後悔することでしょうご注意下さい

大変お疲れ様でした那覇国際空港に到着いたしましたそれでは新東京国際空港
までKC130空中給油輸送機での空の旅をお楽しみ下さい任務の状況によっ
ては目的地がイラクやアフガニスタンに変更されるかも知れませんがごきげん
よう

 1980年沖縄県生まれの著者の第3詩集です。まだ若い詩人ですが、沖縄の置かれた地位を告発する優れた作品を多く書いています。本詩集のタイトルとなった「ゆいまーるツアー」もその典型と言えるでしょう。〈強盗殺人強姦放火などがあっても米兵を疑わ/ずに土地や予算を提供〉するのは、沖縄県民の〈ゆいまーる〉という〈助け合いの心〉から、は決して皮肉ではないと思います。先祖伝来の血としての伝統なのでしょう。しかし、〈基地を一県のみに押しつけ〉る側の私たちへの鋭い視線は見落としてならないと思います。
 本詩集中の
「協定」「人形」「権利」はすでに拙HPで紹介しています。ハイパーリンクを張っておきましたので、合わせて宮城隆尋詩の世界をご鑑賞ください。




詩誌19997号
1999 7.JPG
2009.5.1 沖縄県那覇市  500円
宮城隆尋氏連絡先・
1999同人発行

<目次>

太陽は垂直に落ちる/伊波泰志 六        冬の花/トーマ・ヒロコ 九
ぬーそーが/宮城隆尋 十三           閉じられた世界/松永朋哉 十六
気になる/松永朋哉 十八
《招待作品》詩
マリア/トミー 二十              タララ/トミー 二十一
《特集》部誌を歩く ――高校文芸部の今(上)  宮城隆尋 二十二
《連載》現役の小部屋 −沖縄国際大学文芸部−  第5回 三十一
 詩  月が涙を流したら/つき
 報告 最近の文芸部/アングラ猫
《連載》投稿欄「つぎの琉球詩壇」第二回 三十五
 がれきの城/青島ヨウイチ           世界/陣
 評 宮城隆尋
編集後記・同人近況               表紙 トーマ・ヒロコ




会報『木ごころ』13号
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2009.6.11 神奈川県南足柄市 非売品
鈴木章好氏発行責任・木ごころの会発行

<目次>
とびら…鈴木章好 1              「持続する社会」と「発展」とのはざま・三題…日康弘 4
「奥の細道を尋ねて」−日光と室の八島−…相原宗由 7
建築協定に試される…長田雅彦 10        初めての海外ひとり旅…平野博子 14
めでたい財布…小山寛子 16           ネコの額の大きな変化…木口まり子 20
ピコの受難…尾崎絹代 22            法事への旅…丸山鮎子 25
【俳句】足柄界隈…平林恵子 28         【短歌]諸鳥…湯山 厚 30
【短歌】二〇〇九年春…越坂部貞子 31      【俳句】春の窓辺…川口克子 32
「雪」「ジレンマ」「アド・バルーン」…内藤房江 33  ミュージカル「鶴のおんがえし」顛末
(てんまつ)…滝本小夜子 36
男の物語…山田行雄 39             用意万端整えて…鈴木章好 40
シチリア・南イタリアを旅して…米山淳子 43   【詩】さくら…小澤敬子 48
ぶらり訪ね歩き〈春〉−多摩森林科学園− 木ごころ編集委員 49
戸川砥…一寸木 肇 51             アオキの雑記帳…竹内 清 55
編集後記 木ごころ編集委員 56
 *本文中の挿絵・書・図は、小山寛子さん・長田雅彦さん・内藤房江さん・竹内徳さん・竹内清さんによるものです。
 *裏表紙カットは、石田晴雄さんの作品です。






   
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