きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2009.6.11 掛川・加茂花菖蒲園




2009.7.31(金)


 広尾の「ギャラリー華」に行ってきました。天童大人さんプロデュース「詩人の聲」に天音琴さん(琴天音さん改名)が出演したのです。6月の私の朗読においでくださり、私もやってみたい!と声を挙げたことから実現しました。1990年刊行の『聖子宮』をたっぷりと1時間聴かせてもらいました。琴さんはもともと舞台女優だったそうですから、発声は抜群、情感もたっぷりでした。拙HPでも紹介していますから、どんな詩集かは
こちら をご覧ください。

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 第1回ということでほとんど声をかけなかったそうですから、観客は7人ほどと少なかったのですが、良い朗読だったと思います。
 今日は実は私の誕生日。驚いたことに、とうとう60歳になっちゃいました。琴さんには言いませんでしたけど、密かに誕生日を祝ってもらったようで、内心ほくそえんでいました。琴さん、ありがとうございました!




荻悦子氏詩集『流体』
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1997.10.25 東京都新宿区 思潮社刊 2000円+税

<目次>
 *
雨の午後のレッスン 8  荒れ地のアーモンド 13  運河 16
石塁 20         ラべンダーが咲く斜面 23 終わりの空 26
祖父の庭・十二月 30   冬の市 34
 **
燕 40          黄色の鯉 43       渓谷 46
空の球面 49       空と湾 52        島 55
蝶と日時計 59      星群 62         光と球体 65
視線 68         空・五月 71       流体 74
残響 77         薔薇の谷 80       蜂 85
 ***
痕跡 88         砂の数行 91       インスタレーション 94
タスマニア 97
あとがき 102




 
流体

なぜ馬なのか
それも白い
疾走する肢体が
薄明のなか
青ざめて見える

濡れた砂に
わたしが残した旋律
わたしの歌はやがて乾き
砂はうねって丘を作った

だが
やさしい稜線
などと
なぜ感じるのか

大きく揺れあがる馬の背
背の上に身を低く伏せる娘の身体も
激しく上下する
長い髪が吹き上がって
額を打つ
たてがみが渦巻いて
視界いっぱいに広がる

疾走は青ざめたまま弾け
しぶきとなって散る
自在な流体
流れ続ける目であるわたしのなかに
彼らがどっと身を跳らせたのだ

 12年ほど前の詩集を頂戴しましたが、第4詩集だそうです。ここではタイトルポエムを紹介してみました。〈流体〉というと水に代表される液体を思い浮かべますけど、この詩では〈馬〉の〈疾走〉と捉えています。〈流れ続ける目〉も流体と見てよいでしょう。おもしろい視線です。荻悦子という詩人の作品をそれほど多く拝読しているわけではありませんが、この視線が魅力だと思っていました。それを再認識した詩集です。




詩誌『現代詩神戸』228号
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2009.7.27 神戸市須磨区 和田氏方発行所 400円

<目次>
【詩編】
蹲る/丸本明子 3               待っている/水こし町子 4
百済寺にて(2)/大石玉子 5          真珠 −英虞湾で−/小西 誠 6
父を見送ってくださる皆様へ/川田あひる 7   いい気なものだ/北原文雄 8
青葉の中で/土屋宣子 9            夕景/春名純子 10
行進/中川道子 11               土手の白い花/和田英子 12
音の在処/寺本躬久 13             三田再発見/岩ア英世 14
なぜまた 同じことを/宮川 守 16       落差/藤井 清 17
虹へ/永井ますみ 18              加茂茄子/今井ふじ子 20
生還のメモ/児玉勅顕 21            父のメガネをかけた豚か、羊/豊原清明 22
スケボーをする少年/中野百合子 24       バルトの街角はエイリアン風/大賀二郎 26
昨日今日/松尾茂夫 27
【散文】直原弘道氏の詩(四) −阪神・淡路大震災/石橋美紀 28
編集後記 30
表紙カット:水こし町子






   
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