きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2008.9.27 栃木・和紙の里 |
2008.10.17(金)
今日も日本詩人クラブデーでした。昨日の「詩の学校」を詩人クラブHPにアップして、来週発送する例会・研究会案内状用の宛名シールを買ってきました。ついでにパソコンショップをぶらついていると、パソコン用のマイクを発見。以前から事務所のパソコンにマイクを取り付けて、会議や講演を録音できないかと思っていましたので値段を見ると、なんと880円。ためらいなく買ってしまいました(^^; 皆さんのお金ですから無駄遣いはできませんけど、この値段ならためらうことはないでしょう。
問題は録音ソフトです。標準では1分ほどしか録音できませんから、安いソフトかネットで無料のソフトを見つけて実装しようと思っています。うまく稼動すれば音声を文字化するソフトもあると思いますので、テープ起こし作業が飛躍的に早くなるはずです。
そんな詩人クラブデーでしたけど、半分は自分の趣味だわなあ。詩人クラブの仕事のお陰で、様々なことに挑戦できます。
○江口節氏詩集『草蔭』 21世紀詩人叢書・第U期34 |
2008.10.4 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 2000円+税 |
<目次>
吊り橋 6
*
草蔭 12 野 16 樹下 20
山の小さな駅 24 青空 26 スイッチ 28
タビビトノキ 30 春の手紙 34 シリア人。緑のシャツ 36
黄色のつぼみ 42 乗換駅で 46 朝顔 50
湧水 54 窓 58 入道雲 60
緑の草地 64 二月の机に 68 さがさないでください 72
小瓶の仕事 76 呼び声 78 虹 82
だまって 86 滝 88 ホシハジロ 92
Trails――踏みあと 94
あとがき 98 初出誌一覧 100
小瓶の仕事
すぐあふれてしまう
へんてつもない小瓶なので
数かぎりなく
汲んで
そそいで
土はいつも乾いている
陽は煌々と
遠く 出会う人の
影をさがしている
ある日
ひびが入り
粉々にくだけちるまで
宇宙の大海原を
牛乳瓶で掬うみたいな気がする
書いていると
8年ぶりの第6詩集です。この詩集の大きなテーマは詩を書くということは何だろう≠ニいうところにあるように感じました。そのひとつの回答が紹介した「小瓶の仕事」にあると思います。〈すぐあふれてしまう/へんてつもない小瓶〉で〈ある日/ひびが入り/粉々にくだけちるまで〉〈宇宙の大海原を〉〈掬う〉ことが詩を書くということだと受け止めました。決して終ることのない、まったくの徒労が詩を書くということなんでしょうね。徒労であるが故に尊いのだとも思います。
本詩集中の「吊り橋」、「青空」、「呼び声」、「ホシハジロ」はすでに拙HPで紹介しています。初出から一部改訂されている作品もありますが、ハイパーリンクを張っておきました。合わせて江口節詩をご鑑賞いただければと思います。
○河井洋氏詩集『僕の友達』 21世紀詩人叢書・第U期35 |
2008.10.20 東京都新宿区 土曜美術社出版販売刊 2000円+税 |
<目次>
きつね 6 うらしま 10 溢水 12
洲の町 16 お盆 20 満月の夜 24
庚申の夜の触れ 28 鳧(けり) 36 昭和史異聞 38
都市の記憶 T 42 都市の記憶 U 47 喫茶『茱萸の木』の客 T 52
喫茶『茱萸の木』の客 U 56 むじな 60
仕込っ子 76
謝辞(後書きにかえて)92
きつね
雨が降りだすと
下の娘はきまって眠っているのでした
ちいちゃかったころは私の腕の中で
まだ手元におった高校生のころは
遠出のドライブの帰り 後部座席で
寝息が聞こえてきたから きっと雨が降りだすと
助手席の 姉の方の娘がワイパーを わざとまわすと
五月の陽の下 葛城の山のあたりで稲光がして
水越の峠を越え 大阪方に下ろうとすれば
一陣の風のあと 激しい雷雨になるのでした
山をおりきるすこし前
小雨がまだのこるなか 陽が差しだして
虹までかけてしまった嘘のように明るい坂を
花で飾った子供山車が通るのでした
お子の数はすくないのですが
それでもお供の母御や爺婆とおぼしきも多く
みんなお子がうれしいようにと
狐の面をつけているのでした
うちらのこどもや
せんしゅういちや
おおさかいちや
にっぽんいちや
と いつまでも いつまでも続くのでした
そしてたくさんの車も
それはそれは ゆっくりゆっくり 続くのでした
きがつけば助手席の姉も
後部座席の妻も
下の娘ともども
みんな尾をかかえて眠っているのでした
6年ぶりの第5詩集です。詩集タイトルの「僕の友達」という作品はありません。紹介した「きつね」を始め、「鳧」や「むじな」がみんな友達なんだ、という意味でよいと思います。ここでは巻頭の「きつね」を紹介してみましたが、最終連の〈みんな尾をかかえて眠っているのでした〉というフレーズに著者の意識がよく出ていると思います。〈お子〉と言い、〈にっぽんいちや〉と言い、子どもに対するやさしい言葉が心地良い作品です。
本詩集中の「うらしま」はすでに拙HPで紹介しています。初出では「浦島のおとこ」というタイトルで、内容も若干改訂していましたがハイパーリンクを張っておきました。合わせて河井洋詩の世界をお楽しみください。
○詩誌『北の詩人』68号 |
2008.10.15
札幌市豊平区 100円 日下新介氏方事務局・北の詩人会議発行 |
<目次>
木洩れ日 写真・詩 佐藤 武 1 燕 倉臼ヒロ 2
秋の収穫 大竹秀子 3 元気だった私よもう一度 大竹秀子 4
高齢者医療制度 大竹秀子 5 朝顔・向日葵 佐藤 武 6
ブータン賛歌 たかはたしげる 7 如来行 仲筋義晃 8
過去現在未来三千仏を拝す かながせ弥生 9 病の凪ぐ期 かながせ弥生 10
憤懣やるかたなし 岡本マヤ 11 真昼の月 内山秋香 12
短歌 不安に揺れゐつ 幸坂美代子 13 茂子 27 阿部星逼 14
仮病 たかはしちさと 15 老い たかはしちさと 16
目くらまし たかはしちさと 17 異常なメディア たかはしちさと 18
夏の終わりに 日下新介 19 父に想う 岡田 泉 20
詩人会議11月号より.空っぽの箱.倉臼ヒロ 20
受贈詩誌寸感 日下薪介 21
北の詩人 68号 もくじ・あとがき 24
後期高齢者医療制度/大竹秀子
五月十五日に 本人の承諾もなく
年金から天引きするのは
不当ではないかと また
国民保険から脱退させるのは不当
と国に対して不服申し立てをした
九月二四日第二回目道丁第1庁舎に
審査をするということで出かける
全国で四七〇〇人道内で八〇八人
呼ばれた人は二〇人足らず
審査員は来ないで一人づつ
マイクの前に座り喋る
私は夫のお供で同席したが
一切喋ってはならないといわれた
これはおかしいと思った
審査員が来なくて後で話したことを
コピーで間違いないか確かめろという
その返事はどうなるのか
戦争で命からがら苦労した
七十五才以上の人達に対して
失礼ではないかと思った
「長い間日本国を繁栄させてくれてご苦労様
保険も医療費もいりません
これからの老後は安心して暮らしてください」
と どうしていえないのだろうか
大企業二二兆円の儲けなのに税金を減らし
人殺しの 軍需費年間五兆円
アメリカには気前よく国民の税金を三兆円
生きるのにやっとの生活を強いている
国のやり方に対して怒り心頭だ
〈不服申し立て〉に対する〈審査〉があるというのは理解できますが、〈審査員は来ないで一人づつ/マイクの前に座り喋る〉とは驚きました。その上〈話したことを/コピー〉するというのでは、まるで不服申し立て人が犯罪者の証拠調べに遭っているようです。これではまったく〈失礼ではないかと思〉いますね。〈大企業二二兆円の儲けなのに税金を減らし/人殺しの 軍需費年間五兆円/アメリカには気前よく国民の税金を三兆円〉という指摘とともに、国民主権がないがしろにされ、国が誰に向いているかが明白です。この〈怒り心頭〉の思いは選挙で返すしかありませんね。
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